『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』横断車道(53)**<2008.9. Vol.54>

2008年09月06日 | 横断車道

祇園精舎の金の音……驕れるもの久しからず……▼第二次大戦で無傷だったアメリカは、唯一超大国として、経済的・軍事的に世界制覇したかに見えた。イラクで行き詰まり、サブプライムローンを端緒に、その陰りが急速に現実のものとなった。ソ連の崩壊で資本主義は勝利したかに見えた。しかし、その実態は新自由主義が社会主義計画経済を取り入れたに過ぎない。ただし、それは一部の大資本のためだ▼マネーゲーム(経済賭博)は資本主義制度を悪用した不道徳。本来、株式は資本の共同出資。外国為替は貿易で得た外貨の交換。先物取引は将来の売買権を売り、価格変動によるリスクを回避する保険。それが、金融テクノロジーという美名に隠れ、経済ギャンブルと化した。ゼロ・サム・ゲームとも言われ、誰かが得をした分、誰かが損をする。所詮、金融テクノロジーは非生産的存在。マネーゲームの取引量が莫大になろうが、人が生きてゆく糧は一切生産されない▼サブプライムローンは低所得者向け高金利住宅ローン。日本のサラ金である。住宅ローンを組ませた債権は、高利回りの債券として売られた。ローン会社は債券を売って、また他にローンを組ませる。実体を伴わない住宅建設(バブルそのもの)で、アメリカは好景気を維持した。そこに非正規雇用の低賃金で、国際競争力を高めた日本の輸出産業が高収益を上げてきた▼日本の特定輸出大企業は、戦後空前の好景気を維持し続けている。反面、庶民は税金と社会保証費の高騰、その対価たる社会サービスの切捨てにあった。30代を中心とした若者と高齢者・障害者が、特に犠牲になっている。60年代には80%ほどあった一般消費は、60%まで落ち込んでいる。その一般消費部門の不振により、庶民の景況感はトコトン落ち込んだ▼日本にお金が無いのではなく、その集め方(税金)と使われ方(国・地方財政)が歪なのだ。数千億円の純利益を上げているメガバンクの法人税はゼロである。健康保険財政が逼迫しているのは「高額医療機器と新薬の独占価格にある」と厚生省の担当官。実態とは異にして、後期高齢医療制度により、高齢者に負担を強いている。日本は終末期医療に最もお金を使わない先進国(?)だ▼無駄な公共事業の典型である高速道路。誰も造ってくれとはいわないのに、行政は無理難題をごり押しして強行する。行政にとって、獲得した予算は使い切らねばならない。来年度の国交省の道路予算概算要求は8兆円を越える。ゼネコンは裏金作りマシーンとして、政治家に重宝がられた。今日、ゼネコンは不良債権の塊である。ゼネコンに与えた餌は、不良債権の持ち主の銀行の純利益となる。国民の税金で銀行の不良債権は、既に解消しているからだ▼これからの道路住民運動は、日本再生の課題も包含してゆくことになる。日本と世界のターニングポイントは今、ここにある(コラムX)

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『みちしるべ』**バックナンバー在庫発表**<2008.9. Vol.54>

2008年09月05日 | 藤井隆幸

『みちしるべ』のバックナンバー在庫発表

世話人 藤井隆幸

 『みちしるべ』が発刊されて、早くも9年になりました。創刊号から総て揃えている方も居られることと思います。また、揃っていない号がある方や、途中からの読者の方で、シリーズの前の号が欲しいと思われている方もあるかもしれません。

 当初の印刷部数は記憶に無いのですが、最近は550部の印刷を行なっております。そして、ある程度の残部数があり、今まで雑然と保管してきました。今回、残部数の点検をしましたので、お知らせする次第です。もし、欲しい号のある方には、何らかの方法でお届けしようと考えています。

 残部数の無いものもあり、今後無くなるものもあります。その場合でも、コピーを作ることは可能です。残念ながら、デジタルデータで保存していないので、全部は無理ですが、部分的にはEメールでのお届けも出来ると思います。

 ご希望があれば、下記までTEL・FAX・E-mailで、どの号(または、どの記事)が欲しいのか明確にして、お知らせください。お届け方法は、私の方からご相談の連絡を差し上げます。電話の場合は留守電のことが多いので、御容赦ください。

 さて、30号記念でレセプションを行ないました。50号では何も出来ませんでした。60号は来年の9月号で、創刊10年目の節目に当たります。何をすべきか、ご意見・ご希望もお寄せいただければ幸いです。

ご注文先(世話人藤井隆幸)TEL&FAX(0798)●●-●●●●
E-mail +++++++++++++++++++++

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『みちしるべ』まったなしの気候変動**<2008.9. Vol.54>

2008年09月04日 | 川西自然教室

まったなしの気候変動

川西自然教室 井上千栄子

 京都議定書での日本のC02削減業務は、1990年比6%減が2008年時点で逆に6.4%増加しています。

 今や、地球温暖化は気候変動と共に、私達の暮らしを大幅に変えつつあります。世界に目を向けると大型ハリケーンが続出していますし、日本でも名古屋、豊橋の大洪水、各地にゲリラ豪雨、スコールで人命を奪われる被害が出てひます。

 この夏の異常な暑さに悲鴫を上げた人は多かったと思いますが、これが毎年繰り返されれば、加速度的に間違いなく生態系は崩れ、食料の危機に発展し、感染症などの病気が蔓延する危険すらあります。北極の白クマも絶滅の危機が叫ばれています。

 C02の6%削減を確実に達成するために、①国内排出量取引 ②環境税 ③自然エネルギー(風力、太陽光、地熱、水力、バイオマス等)の加速度的導入と、併せて電力の買い取り保証制度等、抜本的強化が必要です。

 私達の身近な暮らしの中でも、三種の家電製品、テレビ、クーラー、冷蔵庫は省工ネタイプにするだけで、二年未満で元がとれるし、C02削減なので買い替える方がよいとの話も聞きました。

 車の利用はできるだけ公共交通を利用するようにする、地産地消でゴミの発生を抑制する・・・・これはすぐに実行できますよ。

 最後に、平和憲法9条を守る立場からしても、今や戦争をやっている場合ではありません。戦争などやめて人間の生存をおびやかす、地球環境問題に皆が一丸になって取り組み、選暖化をストップさせないと私達の未来はないのです。

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『みちしるべ』園田西武庫線の整備問題**<2008.9. Vol.54>

2008年09月03日 | 神崎敏則

園田西武庫線の整備問題
多くの住民と一緒にこの動きを止めたい

みちと環境の会 神崎敏則

 園田西武庫線は、塚口にある三菱電機で途切れていますが、この三菱電機の地下をトンネルで結ぶ整備を兵庫県は07年12月に174億円で予算化しました。

 三菱電機のさらに東の藻川に、いまは橋が架かっていないのですが、こちらにも新たに橋を架けて大阪の内環状線に結ぶ予定です。

 本当にこの整備事業が必要なのかどうか、多くの住民と考えるための資料を作成途中なので、ぜひみなさんのご意見ご指摘をお願いいたします。

クルマの通過が住環境を悪化

 園田西武庫線がつながる内環状線は豊中市を起点にして、江坂で国道423号線に、守口市で国道1号線にアクセスする4車線道路です。豊中市内の渋滞は極端に多くはありませんが、現在行き止まりになっている東園田や食満などの住宅地を、大型車をはじめとしたクルマが通過することになります。安全で環境の良い住宅地の雰囲気は一変するのではないでしょうか?

5分の迂回路で充分です

 実は、園田西武庫線としては途中が途切れていることになっていますが、同じ経路を県道606号西宮豊中線が重複しており、こちらは豊中から尼崎に入ると南に下り、聖トマス大学前を西に向かって通逓し、尼崎池田線に合流して北上するという迂回路でつながっています。

 確かに直線的な道をつくれば、この部分だけで5分程度の時間短縮は可能かもしれません。しかし、そのために174億もの税金をつぎ込むべきなのでしょうか。

 5分程度の時間短縮というメリットよりも、住環境の悪化というデメジットのほうが大きいのではないでしょうか。

三菱電機への補償費が82億円

 この工事で三菱電機への補償費は、当初見積もり28億円から82億円に引き上げられました。

 どうしてそんなに補償費がかかるのでしょうか?82億円の内訳をぜひ説明していただきたいものです。

土地の汚染は大文夫??

 工場の跡地を整備すると、重金属やPCBなどの有害物質が検出されたとの報道が後を絶ちません。今回の道路整備事業に際して、これらの調査は行ったのでしょうか?仮に危険物質が検出され,たら、余分にかかる処理費は三菱電機がきちんと負担する契約になっているのでしょうか。

 大事な問題なので、ぜひ事前に適切に処理していただきたいものです。この件についての情報の開示を求めます。

止まらない道路整備事業

 県道尼宝線は、中国自動車道・宝塚インターと阪神高速5号湾岸線末広ランプを結ぶ南北12.4kmの道路です。およそこの10年間に10の工区に分けて4車線に拡幅整備が進められています。そのうち武庫工区の拡幅整備は2011年度に工事が着手されます。この10の工区うち4工区の「事業認可申請書」によれば、それだけで107億9千万に予算額が達します。予算額が把握できていなぃ元浜工区。大浜エ区では、その9割以上を30m~33mの幅員に拡幅しますので、軒並み立ち退きなどが発生していますから、この二つの工区だけで相当の税金が投入されたと想像します。

 さらに、今度は阪急神戸線をまたぐ尼宝線の陸橋部分の整備事業が計画されようとしています。

 また、尼崎伊丹線は南北15.3kmの道路で、すでに4または6車線に拡幅され、総事業費は1015億円かかりました。

 山手幹線では、2010年に芦屋川トンネルが開通し、神戸から尼崎まで約30kmの区間が一直線に結ばれることになります。こちらは、住宅地を無理やり収用して、直線的な道路を新設した部分が多く、芦屋市部分だけで約407億9千万の事業費が計上され、県と国が47.5%を補助しています。西宮市域でもあまり変わらない事業費がかかったと想像します。さらに、山手幹線の東端である神崎・戸ノ内工区では、約151億4千万の事業費がかけられました。そして現在は大阪府との境界で終点となっていますが、将来は、豊中市の三国塚口線に結ばれ、豊中市内で176号線に接続する予定になっています。ここまでまっすぐに道路を延長させる必要があるのか、強い疑問を感じます。

自動車の減少傾向に反する動き

 全国の自動車保有台数は、07年9月をピークにして減少しています。減少要因は、人口減や若者のクルマ離れによるといわれ、自動車検査登録情報協会は「バブル期には年間約600万台の登録車があったが、ほぼ半分に落ち込んだ」と言います。国の道路整備事業は、自動車保有台数の伸び(推計値)が計画の「前提」になっていますので、減少に転じたことは、道路整備事業を見直すことに直結します。

 道路の延伸や車線拡幅などの新規事業ではなく、歩道の安全確保などのリニューアル事業に道路整備の軸足を移す時期を迎えています。道路整備事業も成熟社会に対応すべきです。

県も市も財政はひっ迫

 兵庫県は、2018年度までに見込まれる累積収支不足が1兆円を超すと予測して、新行革プランを立ち上げています。給与カットや定数削減、事務事業見直しなどを含む全体の財政フレームは1次プランで確定し、2次プランでは、定数削減などを達成するための県民局組織再編や外郭団体の見直しなどをテーマにしています。県立病院再編では、尼崎市にある尼崎、塚口の二病院を統合し、塚口病院を廃止する計画です。このような逼迫した財政状況なのになぜ174億円もの予算を計上したのでしようか。

 同じく財政問題を抱える尼崎市もこの園田西武庫線の整備のために、約40億円を負担することになります。

 福祉が次々に切り捨てられ、不安のるつぼに陥っている市民をよそに、道路整備だけが着々と進められている状況には、大きな疑問符がつきます。バランス感覚が悪すぎます。

 財政状況からいっても整備事業を中止すべきです。

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『みちしるべ』**第34回全国交流集会参加案内**<2008.9. Vol.54>

2008年09月02日 | 道路全国連

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『みちしるべ』“汚染米”が問うもの**<2008.9. Vol.54>

2008年09月01日 | 大橋 昭

“汚染米”が問うもの

代表世話人 大橋 昭

 世間を騒がせる三笠フーズなる悪徳、拝金業者による汚染米の不正流通事件は、過去の米国産牛肉輸入事件を想起させ、日本の食管理行政がいかに甘く杜撰であるかを改めて暴露した。

 人は生命を維持し生きてゆくためには、毎日食物を摂取しなければならない。しかし、このところ「毒ギョーザ」や「メラミン」事件に続く汚染米の禍々しい事件の連続に、食の安全が揺らぎ生命の危機すら感じるなかで、一体何を信じ何を食べればよいのか、ふと疑心暗鬼に陥ってしまう。とりわけ汚染米が悪徳業者を経て学校、幼稚園から老人ホーム、病院、障害者施設へ無差別に流通したことは言語道断で、食の持つ重大さを無視した罪は万死に値する。幸い今のところ毒米の人体への影響なしと言われているが、役人たちの言い訳を信じるめでたい消費者はいないし、一連の犯罪的行為に監督、防止を怠り平然とデタラメな管理業務をして来た農水省の大臣から平役人たちに血税で飯を食べさせていることが空しい。

 役人と業者の癒着などは珍しいことではないが、許せないのは汚染米の流通を未然に防止せず、日常の管理点検を怠った職務怠慢だけではなく、業者への立ち入り検査前に事前通告するなどの失態を犯し、検査時の手抜きや見落としがまかり通る実態などは検査に値いしない。しかも事後の汚染米の処分の行方を点検せずカネさえ手にすればよしとする業者任せで、後は野となれ山となれの我関せずとする無責任な対応には開いた口が塞がらぬ。今回のような農水省汚染米事件や社会保験庁の年金改ざん、C型肝炎事故などの不祥事を引き起こし、助長する役所体質は同じであり、ここには憲法15条に掲げる「官僚や政治家は国民の利益を守る奉仕者である」ことを無視し、憲法遵守精神を蔑ろにし、何事にも事なかれ主義で臨み、自己保身と雀益確保を優先の官僚主義の当然の帰結が見られる。

 農水省は消費者への救済策を第一に考えるべき責務を忘れ、あろうことか件の汚染米で損害をこうむった業者への救済を云々し、消費者を置き去りにしようとしていることも許せない。今こそ、なぜこんな事態を招いたのかの徹底解明と政治家や官僚が隠しているすべての情部を開示させることが先決であり、それを通じて事件の全容解明を急ぎ事件を風化させないためにも、行政官僚の責任の所在を明確にしておくことが肝心だ。そもそもカネを出してまで汚染米(輸入米・ミニマムアクセス米)を買い、その安全管理をサボリ保管費が嵩むという理由から、経営モラルなき悪徳業者に放出した無謀は責められるべきであり、日本の「米」の安定供給に大きな役割りを果たしてきた「食糧管理法」を自由経済主義と規制緩和の名の下に撤廃に追い込み、それまで維持されてきた「米」の販売秩序を破壊した失政と今回の汚染米は無縁ではない。

 その一方で米価の安定化と称して滅反政策を強行し、多くの休耕田を発生させて貴重な自然環境をも破壊したことも見逃せない。

 こうした減反政策やミニマムアクセス米が日本の農家が作った安全な米の流通を妨げ、その間隙を縫うように汚染米の横行を許し、架空の伝票操作だけで1kg9円の汚染米が最終的に1kg370円に化けると言う、現代版「錬金術」を生む土壌を作った責任をだれに問えばいいのか。

 しかし今、汚染米事件の原因に根本的なメスを入れず、事件の反省とその対策を欠いたまま、主権者たる消費者抜きで新たに「消費者庁」設置なるものが、国会の政治的混迷に紛れ込んで画策されている。ここには一連の不祥事の責任を不問にし、消費者生活の安定に活かす視点を欠いたまま、狡智に長けた各省庁の官僚たちが失敗の教訓に学ばず、政治家や有識者を巻き込み、結局は自分たちの都合よい「天下り先」を作る意図が見え見えだ。そもそも官僚や政治家の作る法案など「ザル法」に等しく、自分たちの免罪用に作られるものといっても過言ではない。

 私たちは今回の汚染米事件の教訓を活かし、輸入食品をはじめすべて食品を対象とした安全への検査体制を早急に構築させ、検査結果の迅速な全面公開と消費者の参画のもとに悪徳業者の駆逐と厳罰化への法改正を要求し、併せて役人任せでなく消費者の目線から現行「食品衛生管理法」の不備を正すことに声をあげるときだ。

 周知のように国内の食糧生産を担うべき農村は、農業従事者の急激な高齢化と、後継者不足で田畑は荒廃し崩壊の危機に直面している。今こそ「食」の安全と安定供給のために地産地消を実践し、国の基盤である農業の活性化に向け、休耕田の活用で食糧自給率向上をめざし、人生に希望と生甲斐を求める若者たちにこの国の農業を担ってもらい、そのことにこそ血税は有効に使われるべきだ。

 農業従事者と消費者がこの国の農業ビジョンをどう創り上げてゆくのか。これまでのビジョンなき農業政策と食物輸入自由化政策に決別し、何よりも食糧自給率39%からの脱却を根本命題に据え、次世代の生存をも保障してゆく政策が求められている。

 地球温暖化による気候変動の影響が食料輸入に依存する私たちの前途に大きな影を落とす中で、今、私たちの生命を左右する食糧を初め「水」や「エネルギー」資源の枯渇にどう備えるのか。

 “汚染米”事件は主権者としてこの国の民主主義を問い直し、政界、財界、官僚支配の社会システムをどう変革して行くのか問いかけて止まない。

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