『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』**横断車道(82)**<2016.5. Vol.93>

2016年06月04日 | 横断車道

横断車道―82―

「パナマ文書」で世間は騒がしいが、その意味を理解しているか疑問。金持ち連中が、「制度脱税(節税ではない)」をしている程度の理解か▼海運事故があるたびに、リベリア船籍・パナマ船籍であることを記憶している方は多いかも。商船会社の多くの船は、パナマに架空子会社をデッチ上げ、そこに所有させ、税金だけでなく安全運航規制なども回避する。「制度脱税」など、過去の問題に過ぎない▼パナマのモサック・フォンセカと言う法律事務所の膨大なデータが、南ドイツ新聞の記者にリークされた。元CIAのエドワード・スノーデンや、WikiLeaksのジュリアン・アサンジンのように、巨悪支配者の秘密をバラシタので、命がけの筈であろう▼しかし、先進諸国政府は軽くサボタージュしているし、報道各社は国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ)から、資料入手しているのに、報道に消極的。プーチンとか習金平の批判記事だけが飛び交う。何か胡散臭い気分▼タックス・ヘイブン(税金天国)は、パナマに限らない。零細弱小国など、その国家の何百万倍もの資産の企業にとって、懐柔は簡単。今やアメリカ国家よりも、そこの巨大銀行資産は、遙かに大きい▼それらのマネー・ゲームは、信じられないペースの巨額の利益を、さらに膨らませつつある。外国為替(FX)は貿易で受けた他国通貨と、自国通貨の交換業務だが。世界の貿易総額の何百万倍ものFXが行われ、日単位で何億円程度の差益を生む輩がいる。株式も創業者の資金調達方法だが。東証一部で、日に何十兆円もの取引があり、やはり億単位で必ず儲ける連中がいる。何故、必ず儲けているのかは、またの機会に▼巨大銀行はマネー・ゲームをヘッジ・ファンド(投資組合)にやらせる。ファンドの管轄役所はなく、実態は不明。マネー・ゲーム(架空経済)が儲ける裏で、必ず損をする側が。「風が吹けば桶屋が儲かる」式で、勤労者所得が減少する。商品コストの圧倒的部分は人件費である▼勤労者は所得税・消費税・他の物品税・高速道路料金・健康保険税・介護保険税etc.を、容赦なく盗り立てられる。支配企業は法人税等の減免だけでなく、連結決算では数%の税金。その実態の一部が、「パナマ文書」で明らかになるかもしれない▼要するに、分業による報酬の分ち合い制度、金融制度を悪用する。投資組織は大企業から収奪する。大企業は役員報酬引上げで、自社株買いで防衛する。また、低賃金を加速し、ブラック企業化する。TPP(環太平洋戦略的経済協定)に見られるように、投資家は国家まで支配する▼奴らは、実態経済から生き血を吸う寄生虫だ。寄生虫が巨大化すると、宿主を殺す。それが現実的な時代に突入。奴らの先祖は、中世から金融をやっていた。その頃は、金塊を溜め込んだ。現代ではコンピュータの信号のみ。さて、バブルが弾けて、如何するのか?

(コラムX)

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『みちしるべ』**揺れる頭で考えた(斑猫独語 69)**<2016.5. Vol.93>

2016年06月04日 | 斑猫独語

揺れる頭で考えた(斑猫独語 69)

澤山輝彦

 確か熊本地震の数日前、寝入りばなに地震があった。私の住む兵庫県川西市大和でもややきついと感じたもので、しばらく目がさえて眠れなかった。翌日記録をみれば隣の亀岡市南部が震源地、能勢町、三田市などで震度3が記録されていた。震度3は、よほど鈍感か、泥酔でもしていなければ、誰もが「あっ地震だ!」と感じる揺れである。この後、熊本地震が起きるのだが、4月14日の震度7、以来5月5日の23:50までの3週間に1,250回余の地震が記録されている。こいつは堪らんだろう。被害も大きく、これは言語に絶すると言ってもいいものだろう。

 こんな大変な時に、ちょうどいい機会だと憲法改正に、これを利用しようとしているのが、安倍首相とその政権である。「緊急事態条項」である。――大規模な災害や有事などで国が緊急事態を宣言し、人権保障や権力分立などの憲法秩序を一時停止して非常措置を取る権限(国家緊急権)を定めた条項。緊急事態が宣言されると政府に権限が集中され、個人の権利の強い制約が可能になる。2012年の自民党第2次憲法改正草案に盛り込まれた――【毎日新聞解説より引用】

 火事場泥棒のような事を平気で考える政府に対し、国に権限を集中させるのではなく、逆に国の権限を都道府県に、都道府県の権限を市町村に移すことを求めたい、と被災自治体は言う。現行の災害対策基本法や災害救助法は、緊急時の首長の権限強化を定められているから、改憲緊急事態条項の必要はないと、災害に詳しい弁護士らの意見もある。

 今度の熊本地震に関する災害報道に接して私が感じたことは、自動車による避難とその結果、車内生活によるエコノミー症候群についてのとりあげで、これを新聞は書きたてている。東日本被災3県への緊急事態条項に対するアンケートを行った毎日新聞は、その結果が否定的であったのを静かに報道した。それに比し、エコノミー症候群による死者の報道は騒がしすぎた。まさにこれは緊急事態条項への援護射撃になっている。そうなるように仕向けざるを得ないのが日本の新聞なのだ。

 避難所まで自動車を利用するのは仕方がないとしても、プライバシーとか言って車中泊でエコノミー症候群を引き起こし死に至るというのは、そこで寝る人の勝手だと言っては言いすぎだろうか。避難所にてエコノミー症候群で死んだという話しは聞かない。日常とほぼ百パーセント異なる避難所での生活だろう。平穏な地の平穏な生活者が、たやすく言うのはなんであるが、どうもそんな気がするのだ。避難所での生活ではそこなりの一致した要求などもあることだろうから、緊急の場での共同体意識を持つことは大事なことではないだろうか。車なしの人たちはプライバシーもくそもなしの動物的生活をされているのだろうか。一寸勝手な言い過ぎかもしれないが、そんな所でもプライバシーということを真剣に考え行動する人々は、国家権力によるプライバシーの侵害の各種にいかに戦われたのであろうか。これも言い過ぎかなあ。

 相変わらず通行人を巻き込み死傷させる自動車事故が多い。無人運転が可能なところまで技術は進歩してきているのに、あのような暴走事故を食い止める装置が無いのである。技術的にはなんとかなると思うのだが、そんなものを組み込んだ車は高価になり売れ行きが鈍る。だからあんな事故も自己責任にしてしまってしらん顔。

 それではこんなんはどうだ。先の車中泊エコノミー症候群の発生を防ぎ、災害時プライバシーを確保するキャンピングカー仕様の車、とまでいかなくても足をのばして眠れる座席に変更出来る座席を持つ車は、推奨されてもいいのではなかろうか。これは変な用途に使われる可能性もあるなあ。気をまわしすぎかなあ。自動車をすすめてしまったなぁ~。

 若者の車離れ、持ち家離れが顕著になってきているといわれる。主義、主張もあろうが、低所得・貧乏化があるのだ。失業青年は兵隊に行く、アメリカではそうなっていると、ある本で読んだ。地震で改憲、九条を破棄、戦う国にする。貧乏青年は兵隊に行く、おぉ、いやだ。こんな事を防ぐためにも若者はしっかり先を見据えねばならない。老人のありかたも問われるだろう。爆弾をおしめに仕込んで杖ついてよろよろの自爆老人の出現もあるかもしれない。片や地震でオスプレイを出場させることが出来るンだもの。

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『みちしるべ』**三菱自動車の燃費不正表示事件の裏側**<2016.5. Vol.93>

2016年06月04日 | 藤井隆幸

三菱自動車の燃費不正表示事件の裏側

藤井隆幸

19世紀末からの過剰生産恐慌とリーマンショック

 資本主義は市場競争原理が基本となる。19世紀末から20世紀初頭にかけて、欧米では過剰生産恐慌が繰り返された。20世紀後半に入ると、情報の伝達・分析が高度となり、各国政府も自由競争に規制をかけ、過剰生産恐慌はなくなったかに見えた。

 資本主義に対して、社会主義という理念が台頭し、計画経済では恐慌は起こらない。社会主義と言うと、旧ソ連や中国だけと思う向きは多いが、北欧の多くは社会民主主義政権だ。また、中南米の国々も、社会主義傾向を強めている。

 ともかく、資本主義を標榜する国々でも、政府の経済介入と言う、社会主義理念を取り入れている。G7やサミットも、国際経済コントロール(社会主義理念)である。

 こうして、過剰生産恐慌は起こらないかに見えた。が、1990年の日本での「バブルの崩壊」や、2008年のアメリカでのリーマンショックと言う、経済危機が起こった。これは過剰金融恐慌で、本来の意味からかけ離れた、架空経済の暴走したものである。マネーゲーム(架空経済)は、コンピュータの発達とともに、人の判断能力を超えたスピードで変化する、新たな危険要素となっている。

 そんな新たな危機に注目しているのではあるが、古典的な過剰生産恐慌というものが、消え去った訳ではないことを指摘しておかねばならない。

20世紀の最大の発明と言われた自動車

 18世紀には蒸気機関の自動車が現れたようであるが、内燃機関の自動車が普及しだすのは20世紀初頭のことのようだ。日本の場合、明治維新からの富国強兵政策と共に、鉄道と海運に力がそそがれた。したがって、モータリゼーションは1970年頃からの事となる。欧米では20世紀初頭から、自動車の普及があり、日本との感覚のずれはある。

 ともあれ、戦後世界のモータリゼーションは、急速に拡大することとなる。BRICS(ブリックス)という言葉を聞いたことがあるだろうか。ブラジル・ロシア・インド・中国の頭文字をとったもので、急速に経済拡大している国を指す。これらの国の自動車生産も、並外れた勢いということができる。

 自動車の関連産業は広大で、先進国の中心産業の一つとなっている。そして、相当高額の商品ということができる。市場売上に占める占有率も高く、その生産と販売のシェア争いは、他の産業に比べても苛烈なものがある。

 ここに過剰生産恐慌と言うリスクが、常に見え隠れしているのである。価格競争の為に、賃金の安い国に生産拠点を移す競争も激しい。生産量はコストとリンクする。大量生産方式が徹底している産業でもある。

 ここに、地球上での必要量を上回る過大な生産が進行しつつあるのだ。

VWと三菱がターゲットになった

 一国の社会主義国であれば、政府が生産調整すれば、何の問題もなく解決する話であろう。事は先進各国と、急速に発展する国々の競争の中で起っている。マネーゲーマーの利益追求は、人々の生活と関係なく、巨大な勢いで過剰生産を推進する。

 そこで疑問が起こるのであるが、2015年にアメリカの環境保護庁が、世界第三位のフォルクスワーゲン社(VW)のディーゼル乗用車の排ガス不正を指摘した。そして、日本でも三菱自動車の燃費不正事件が、先ごろ日産から指摘されて問題化した。

 VWも三菱も極端な生産縮小になり、今後の補償や賠償金の問題が継続した課題となる。自動車産業が没落し、国際的賠償金略奪が国家戦略の、アメリカが指摘したというのは、あからさまに疑惑のあることだ。そして、軽自動車を三菱に造らせている日産が不正を指摘し、直後に子会社化の方針を出したのも、ゴーンの悪巧みの匂いがプンプンする。

 両社の不正は、違法であり反社会的なのは当然のことではある。が、そんなことは自動車会社では、普通に行われていると思うのは、業界では一般的だろうと感じている。コンピュータのデータとしか現れない問題である。発見するのは内部の者のみだろう。

 かくして、マネーゲーマー的な自動車会社の乗っ取りと言うか、生産調整の意味が見え隠れしている。

EVと自動操縦で自動車産業は生き残れるか

 ところで、EV(電気自動車)の話題が多くなってきた。「環境にやさしい」と言う嘘で、プロモートしているのであるが、電気を作るのは火力発電所で、最悪の場合が原発である。自動運転技術も、専門家からはとても危険であると指摘されている。

 急速に発展する国々では、内燃機関の自動車が、先進国より安価で生産されている。先進国の海外移転で技術流出し、先進国の生産が圧迫されている。ならば、内燃機関を禁止して、EVやIT車に強制転換させれば、それらの国を征することもできる。また、過剰生産になっている現状を、克服できるという思惑がある。

 過剰生産恐慌を、不要な自動車の生産抑制ではなく、人々を騙して回避する。そして、更なる過剰生産に突入する。それは地球規模での大混乱を先延ばしにし、更に巨大な混乱に陥れるだけなのだが。

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『みちしるべ』**第41回全国公害被害者総行動デー総決起集会発言文**<2016.5. Vol.93>

2016年06月04日 | 道路全国連

第41回全国公害被害者総行動デー
総決起集会発言文

道路住民運動全国連絡会

 私たちは、山梨県北杜市で八ヶ岳南麓の里山地域を横断する高速道路建設計画に反対し、今ある国道の活用を提案して闘っている住民団体です。

 長坂~八千穂間の中部横断自動車道は、公共事業実施過程の透明性を向上させるとして2010年に日本で初めて試行された計画段階評価の対象事業となっています。

 北杜市は「東京に最も近い田舎」であり、日本を代表するアルペンスポットの八ケ岳をはじめとした山々に囲まれ、南には世界文化遺産の富士山を望むことができる日本有数の美しい山岳景観を有しています。また、日照時間も日本一で、清らかな水と太陽の恵みは、北杜市を県内屈指の農業地帯にしています。八ヶ岳南麓は国交省道路局による日本風景街道の「八ヶ岳南麓風景街道」に登録され、市民の自然と共生する様々な取り組みが行われています。

 建設計画は、北杜市の住民・別荘所有者・商店等が、地元説明会での意見やアンケート調査への回答、パブリックコメントなどで示した建設計画反対の民意を全く無視して進められ、第三者機関の関東地方小委員会は、住民アンケート集計の改ざんやルート図の改変等、恣意的な改ざん資料で審議するなど当初より先に高速道路建設ありきで進められています。

 八ヶ岳南麓の里山地域に留まらず広範囲な自然・生活環境や景観等を破壊するこの建設計画に対しては、今もなお反対・異論の声が根強く有ります。

 国交省、山梨県、北杜市においては、建設計画に関連する事項の客観的・技術的・具体的な検証はなされていません。

 私たちは既に平穏生活権、基本的人権を侵害され続けています。

 昨年11月国交省道路局との要請行動で、道路局は「地域住民の方々と合意形成を図っていくのが本来の形だが、十分にやりきれていない」、「地域住民との合意形成が出来ていない」など「ボタンの掛け違い」を認めました。その一方では、適正な手続きを逸脱した環境アセスメントに向けた準備が始まり、建設計画が強行されています。

 私たちは、八ヶ岳南麓の里山を分断し、自然・景観、生活環境、田畑などを大規模に破壊し消失させる高速道路建設計画の「計画段階評価のやり直し」を求めます。

 「公害根絶と平和を求めて」「なくせ公害・守ろう地球環境」全国公害被害者総行動実行委員会の皆さんと連帯し、ねばり強い取り組みを続けていきたいと思います。

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『みちしるべ』**国土交通省交渉の要求書**<2016.5. Vol.93>

2016年06月03日 | 道路全国連

国土交通省交渉の要求書

国土交通大臣 石井啓一 殿

2016年6月1日

道路住民運動全国連絡会 事務局長 橋本良仁

 国土交通省の2016年度の道路関係予算は三大都市圏環状道路整備や拠点空港・港湾へのアクセス道路整備に3170億円(前年度比179億円、6%増)に見られるように大型道路建設をさらに押し進め、28年前に計画した四全総14000キロメートル高規格幹線道路網をすべて実行しようとしています。民主党政権下の事業点検で不急・採算性に問題ありとして休止した事業は、国土強靭化と防災・減災を理由に復活させています。

 日本の道路の多くは建設後30年以上を経過し、その維持・管理・更新に今後50年間で250兆円が必要と試算され、新たな道路を作る財源など全くありません。本要請は、昨年と同じ路線の横浜環状南線、東京外環道、中部横断自動車道(長坂~八千穂)――山梨県側(北杜市)を中心に行います。また、昨年の要請時に課題となった平成22年交通センサスによる将来交通量予測がいまだ公表されていません。具体的な回答を求めます。

―記-

I. 平成22年の交通センサスによる将来交通量予測の
  
公表を求めます。

II. 横浜環状南線

1. 土地収用法に基づく事業認定申請に係る
   社会資本整備審議会の意見開示について

 土地収用法第25条の二においては、「国交大臣は事業の認定に関する処分を行なうとするときは、あらかじめ社会資本整備審議会の意見を聴き、その意見を尊重しなければならない」と規定しています。

 横環南線は2015年10月2日に事業認定が告示されています。

 我々は、意見書、公聴会における陳述において強制収用は公益性に反するから事業認定を行うべきでないとの意見を出しており(下記要請書を参照)、審議会においてそれがどのように審議されたかを確認するため、国交省に「社会資本整備審議会(分科会)における横環南線事業認定に係る議事録」の情報公開を求めたところ、開示された議事録は行政側出席者の発言は記録されているが分科会委員の発言内容はすべて黒塗りされたものでした。

 理由は審議会委員の発言内容の開示は事務の遂行に支障を及ぼす恐れがあるので「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」により、不開示とするものでした。

 個人の財産を強制的に収用しようとする場合、その妥当性を審議する審議会委員の審議会における発言はあくまでも公益性の立場におけるものであり、委員の私的な意見・個人情報というようなものではない。公開できないとすればこのような審議会は国民に開かれたものではなく全く無益無用のものです。

 平成27年12月16日付で国交大臣に我々が要請した事業認定取消要請書に対する回答を含め上記の情報開示を要求します。

2. 横環南線トンネル工事における周辺宅地の安全性について

 熊本地震における九州自動車道の約2週間にもわたる通行不能の被害状況は道路構造技術面において欠陥をさらけ出した。特に被害は谷埋め盛土部分であることが明白であり高速道路被害の原因の究明と対策を徹底分析し、谷埋め盛土地帯をトンネルで貫通する横環南計画を見直すことを要求します。

 住民は、大規模谷埋め盛土住宅地帯の今まで類を見ないうえに施工実績もない大断面トンネルの安全性、周辺住宅地に及ぼす危険性等について、特に近年襲う確率の高い三浦活断層の活動を含め大震災への危険性を指摘してきています。

 一方、事業者は東日本大震災を契機に、横環南線に震災時の緊急救援・支援道路としての役割に重要性を持たせました。しかるに、九州自動車道は全く役立たずの態を示しました。

 緊急救援にも役立たない横環南線は計画中止すべきです。現在進めている技術では震災時に瑕疵が生ずることは明らかであり、熊本地震における高速道の震災対策技術の確立の適応が可能になるまで、工事は中断して技術確立後に継続するか否かを判断することを要求します。

 なお、谷埋め盛土造成地については、宅地に大被害が発生しはじめた大震災(1968年十勝沖地震、1978年宮城沖地震、1987年千葉県沖地震、1993年釧路沖地震、1995年阪神・淡路大地震、2004年新潟県中越地震)毎に総合的に宅地防災対策を施してきているが、横環南地区に対してはその安全性について十分な説明がありません。安全・安心をどのように保証するか具体的な説明を要求します。

3. 環境影響評価について
    
 横環南線の環境影響評価は、公害基本法に基づき平成5年10月に実施されています。しかし、この公害基本法は平成5年11月に廃止され、環境基本法が制定されました。従って、南線については環境基本法に基づく環境影響評価を実施し、南線沿線住民への影響を再評価する必要があります。

 大気汚染については、公害基本法に基づき、二酸化硫黄、一酸化炭素及び二酸化窒素についてのみ環境影響評価が実施されているが、環境基本法ではその他に浮遊粒子物質(SPM)、光化学物質、オキシダント(Ox)、微小粒子状物質(PM2.5)に関する基準が定められています。工事計画を策定する前に、環境基本法に基づく環境影響評価を実施する必要があります。

 なお、平成5年に環境基本法に基づく環境影響評価が実施された後、既に四半世紀が経過しており、評価の前提条件が違ってきています(例:ディーゼル車の排気ガスが走行状態では基準値を大きく上回っている事が判明)。

 従って、この意味からも環境基本法に基づく環境影響評価を実施する必要があるので、現場に対し適切な指導をすることを要求します。
 
4. 事業評価監視委員会の付帯意見について

 国土交通省所管公共事業再評価実施要領によれば、事業評価監視委員会を設置し、事業評価監視委員会よりの意見の具申があったときは、これを最大限尊重し、対応を図ることとされています。

 南線に関しては、事業評価監視委員会は「継続」としつつも、「事業を進めるにあたっては、住民の理解を得ることが不可欠であり、………」との付帯意見を述べています。

 「不可欠」とは、必要条件であり、南線については住民の理解が得られていない現状で事業を進めることは国土交通省所管公共事業再評価実施要領に違反します。

 従って、上記の三点を含め現状までの横環南地域での住民からの疑問に回答せず住民の理解が得られていない現状で着工することはできないにも拘わらず、工事を始めようとしています。現場に対し適切な指導をするよう要求します。

III. 東京外環道

1. 外環国道事務所は、都市計画法第11条3項の「立体都市計画の範囲」を適用するから、地上には一切制限はかからないと説明してきました。事業化以前に都市計画法53条に関し同法11条3項の立体都市計画を適用しておけば、53条は適用除外となり(同53条4項)、事業化段階では同法65条が適用されることはありませんでした。そのことを認識しながら、「現状時間がなかった」との理由で65条適用にしてしまったのは、ひとえに国土交通省の懈怠によるものです。直ちに責任を明らかにし、65条適用除外とするよう求めます。

2. 家屋調査の実施は、大深度といえども地上の建物への影響がありうるための措置である。現実に、全国でシールド工事に関する事故は数多い。他方、家屋調査に対する国交省の対応は真剣味にかける。少なくとも国土交通省として、責任をもって以下の事項を行うこと。

① 家屋調査に関しては、希望者に対して事前調査とともに事後調査も実施すること。

② 大深度部分での地盤変容が地上部に伝わるには時間経過がある。従って、事前から供用中にかけ、地盤変容を継続的に調査すること。

③ 第三者機関を設置し、地盤変容の判定をするとともに、変容終息後の対策に当たること。

④ 工事による補償が1年であるのは、地上での道路工事を前提としている。地下水等による地盤変容が地表に現れるのは、数年から数十年かかるのはよく知られている。したがって、地下、特に大深度地下における工事では、供用中を含む半永久的に補償すること。

⑤ 家屋調査に当たっては、対象家屋に対し被害発生時の補償に関する内容を文書(約款等)により説明すること。発生後は当該文書に従って補償対策に当たること。

3. 区分地上権に関しては、地下の構造物の詳細及び具体的な工法が定まったうえで、工法、構造物および契約内容に関する説明会を開催しなければならない。そのうえで区分地上権契約交渉に臨むべきである。現段階での設定交渉は中止すること。

4. 地中拡幅部工事については、国交省が自ら「世界最大級の難工事で、相当な技術を要する」と認めている。そこまで認識しながら「軽微な変更」といって住民の求める環境影響の再評価をしないのは、明らかに矛盾している。直ちに環境影響を再評価すること。

IV. 中部横断自動車道(長坂~八千穂)――
    ――山梨県側(北杜市)

1. 八ヶ岳南麓を横断する新ルート(Bルート)建設計画は、当初から山梨県側北杜市の住民や別荘所有者、商店等がアンケート調査・地元説明会での意見表明、パブリックコメントなどで示した建設計画反対の民意を全く無視して全線高速道路建設計画ありきで進められています。八ヶ岳南麓の里山地域に留まらず広範囲に亘って自然・生活環境や景観などを著しく破壊するこの建設計画に対しては今なお反対・異論の声が根強くあります。国交省、山梨県、北杜市・北杜市議会においては建設計画に関連する事項についての客観的・技術的・具体的な検証もされていません。道路事業における適性な手続きを欠いた建設計画をこのまま進めることを、今すぐ止めるように求めます。

2. 中部横断自動車道(長坂~八千穂)は2010年12月2日社会資本整備審議会道路分科会関東地方小委員会(石田東生委員長:筑波大学大学院システム情報工学究科教授)において、我が国で初めて計画段階評価対象事業として試行が決定され、国交省は2015年3月末の対応方針の決定をもって適正に終了したとしていますが、計画段階評価の計画策定のプロセスに求められる「透明性、客観性、合理性、公正性」の要件に反し、そのプロセスに重大な瑕疵があったことは明らかで、国交省には2014年からそのやり直しを求めています。2015年には意見書「 計画段階評価の問題点」を提出しました。引き続き新ルート建設計画を白紙に戻し計画段階評価のやり直しを求めます。

3. 昨年11月国交省要請行動の際、住民との間で「ボタンの掛け違いがあった」との発言をはじめいくつかの発言に対して再度、回答を求めます。2015年11月26日、道路局企画課長補佐は国会議員や報道機関が同席する中、計画段階評価のやり直し等を求める要請を行った際に「計画段階評価のプロセス、複数案の評価に問題はない」と表明しつつも「地域住民の方々と合意形成を図っていくのが本来の形だが、十分にやりきれていないのが実態」「地域住民との合意形成が出来ていない」「地域の合意形成がどういうふうにしたら円滑に進めていけるのか、もう1回考え直せと(関東地方整備局、甲府河川国道事務所に)指導している。」更に「山梨県が国交省と  住民の間に入って十分に調整してくれていたのかというと、あまりそういうことはなかった。」今後は「山梨県や北杜市にも働きかけていく」と述べ、「ボタンの掛け違いがあった」ことを認める発言をしました。さらに2016年3月に国交省関東地方整備局へ要請を行った時には課長補佐もボタンの掛け違いがあったことを認める発言を行っています。この場には甲府河川国道事務所副所長や課長も同席しています。

(1) 単なる一方的な既定路線の説明に終始することなく真に住民との合意形成を図るためにどのような具体的な対応策をとるのか説明を求めます。

(2) 2012年4月、10月の関東地方小委員会での審議において「南麓地域での整備への異論」や「旧清里有料道路の活用への懸念」が多くあったことを受け案1(全区間で新たに道路を整備する案)を改良し、清里高原の南側のルートを含めて検討するとして南麓地域の新ルート案がわずか1ヵ月半ほどで発表されました。

① 南麓への異論もありルート変更したのになぜ南麓での新ルートとなったのかと質した際、「南麓は国交省が決める」と道路局企画課長補佐は発言しましたが再度説明を求めます。

② 高速道路の建設方式の高速自動車国道(A路線)か高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路(A´路線)かまだ決めていないと回答しましたが具体的な説明を求めます。

(3) 関東地方整備局及び甲府河川国道事務所による関東地方小委員会の審議資料として提出されたルート帯(案)資料の改ざんや恣意的な集計等を認め、直ちに誤りを訂正すること及び関東地方小委員会の再審議を求めます。

 2014年当時の甲府河川国道事務所の小林事業対策官自らがミスを認め、また同年1 月14日の石田委員長との面談でも審議資料の誤りについて指摘し検証を求めています。2016年4月25 日計画段階評価の試行を決定した関東地方小委員会が第3者機関としての役割を果たさず適正な審議が行われていないとして関東地方小委員会委員長及び委員へ計画段階評価の再審議を求めています。(別紙要請書)

4. 現在の山梨県側北杜市の現状や様々な課題を精査し、国道141号線の活用の検討を求めます。

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『みちしるべ』**旧来型公共事業からの転換を**<2016.5. Vol.93>

2016年06月03日 | 道路全国連

 毎年、6月の環境週間に、「全国公害被害者総行動」が東京で開催されます。今年は第41回目になり、6月1日~2日にかけて開催されます。大気汚染・水俣病・交通公害等の、全国の様々な公害被害者が集います。環境省前などでの街頭宣伝、国会へ向けてのデモ行進、各中央省庁交渉、大集会などが行われます。

 阪神間道路問題ネットワークが加盟する「道路住民運動全国連絡会(道路全国連)」も、毎年、参加しています。当ネットからは、旅費・宿泊費の捻出が難しく、当局と進行形で鋭く対立している団体がない事から、出席はしていませんが、国会要請署名の協力と言うかちたで参加しています。

 この「総行動」の報告書(冊子)に掲載する「道路全国連」の文書と、国交省交渉要請書、さらに集会での発言内容を、首都圏の道路全国連幹事の方々で練り上げ、橋本事務局長にまとめて頂きました。

 以下に掲載し、ご紹介します。

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旧来型公共事業からの転換を

道路住民運動全国連絡会 事務局長 橋本良仁

1. 2016年度公共事業予算

  • 政府の一般会計、96兆7218億円(過去最高額)
  • 公共事業関係費、5兆9737億円(前年度比26億円増)
  • 国土交通省の公共事業関係費、5兆1787億円(前年度比20億円増)
  • 「効率的物流ネットワークの強化」(3170億円、179億円6.0%増)
  • 三大都市圏環状道路整備や拠点空港・港湾へのアクセス道路整備など
  • 国際コンテナ戦略港湾の機能強化(747億円、60億円8.8%増)
  • 首都圏空港の機能強化(145億円 5億円3.5%増)
  • 北海道、北陸、九州の整備新幹線建設(755億円、15年度同額)
  • JR東海費用負担のリニア中央新幹線(東京⇔名古屋間)を推進

   ※ 民主党政権下で休止・縮小していた大型公共事業をゾンビのごとく復活
    ※ 28年前の四全総で計画した事業をすべて実施する(自民党の古巣帰り)

2. 新たな事業をおこなう余裕はまったくない

  • 道路の老朽化対策、維持管理費の2016年度予算はわずか3202億円という状況にあり、防災や老朽化対策の自治体交付金は、1兆1002億円(0.5%増)である。
  • 日本の道路を含めた社会資本は建設後30年を経過し老朽化したものが多く、今後50年間に必要な維持・管理・更新費は250兆円、年間5兆円が必要とされる。
  • 新たな道路などを建設する財政的余裕はまったくない。

3. 一度決めた計画は変更しない、さらに………

 私たちの運動や公共事業に対する国民の批判により、徐々にではあるが道路政策は修正されてきた。関係住民との合意形成や説明責任を果たす目的でPI(パブリックインボルブメント)やPC(パブリックコメント)が導入され、戦略アセスの思考で環境アセスメントの本格的実施前に住民意見を取り入れる計画段階評価が実施され始めた。しかしこれらは、ほとんど機能していない。住民の意見は聞きおくだけ、一旦決めた計画の変更や中止は行わない。

 〝二階道路″と揶揄される紀伊半島一周道路に4600億円、〝安部道路″と言われる山陰自動車道には4500億円、〝石破道路″の山陰近畿自動車道は6000億円、第二関門橋(関門海峡道路)は 3000億円の予算が見込まれている。さらに東京湾横断道路をもう1つ作る計画さえある。

4. 市民、住民運動の闘い

 東京外環道路千葉、横浜環状走路南線(圏央道)、東九州自動車道などで土地収用との厳しい闘いが続いている。

 東京外環道、外環その2、横環南(圏央道)、淀川左岸線、都市計画道路の小平328号線、下北沢54号線、板橋大山26号線、北区志茂86号線などが公害調停や訴訟を提起している。

 全国の大気汚染公害被害者は裁判の和解協定を武器に、国や自治体にロードプライシングの実行や歩行者・自転車道路、植樹帯の新増設を求めて運動を続けている。川崎公害裁判を闘った訴訟団や弁護団は、国道1号線の3車線を2車線化し歩行者自転車道を設置させるという成果を勝ちとった。

 2013年1月、公共事業改革市民会議発足、ダム、道路、湿地・干潟、スーパー堤防、リニア中央新幹線関連の市民団体が共同して、調査、政策立案し、野党の国会議員に働きかけている。

 これまで多くの成果を勝ち取り、国の道路政策に影響を与えてきたが、四全総の高規格 幹線道路14000㎞の計画変更や中止はない。

 引き続き、粘り強い運動を行うとともに、国や自治体の体制転換が求められている。政治の改革なしに私たちの願いを実現する展望は開けない。

5. 旧来型公共事業からの転換を

  • 20世紀型の大規模公共事業から21世紀型の公共事業へ
  • 時代遅れの重厚長大の産業・社会構造から小規模・分散ネットワーク型へ
  • 潤うのは、旧来型の経済界と建設業界である。
  • アベノミクスは、古い経済の救済プロジェクトにほかならない。
  • 政・官・業の鉄のトライアングル(学・労・マスコミも)
  • 誰も責任をとらない無責任体制が大きな壁となっている。
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2016年6月例会のご案内

2016年06月01日 | 月例会案内

阪神間道路問題ネットワーク
6月例会のご案内

2016年6月21日(火)13:30~15:30
西宮市立勤労青少年ホーム(ぷらっとアイ) 和室A(3階)

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7月例会のご案内
2016年7月23日(土)13:30~15:30
西宮市立勤労会館   第1会議室(4階)

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気象庁の長期予想では、今夏は暑くなるようです。でも、最近の温度格差は大きく、体調管理が大変です。梅雨も近づき、ご自愛ください▼さて、6月例会は土日の行事が多く、平日になりました。2ヵ月前の部屋の予約ですが、勤労会館が満室で隣の青少年ホーム、それも和室になってしまいました▼5月例会は2年ぶりの第二名神の視察会でした。川西自然教室のTさんが肺炎を起こしかけて、急遽案内が出来なくなって、S画伯が代行をされました。甲陽園地下化ネットのYさんも体調不良でお休みでした。自然教室からは3人参加され、「みち環」のHさんと私の6人の参加でした▼神戸市では国道176号線に橋梁が落下し、箕面自動車道に仮受けベントが落下するという、重大事故が重なった直後でした。事故現場には行かなかったものの、国道173号線をかなり上空で通過する現場を見て、恐ろしさも感じました▼川西ICを目指す途中で、大路地川に架かる文殊橋の辺りは、本線とアクセス道路が並行して通過し、二年前との景観の落差に圧倒されました。ICでは仮設の展望台が設けられており、平日だったらヘルメットが配られて、解説がついたのだろうと苦笑しました。見事に誰も居なくて、遠景に40tダンプが10台ほど並べてありました。完成予想図から、残りのあの丘が丸々削り取られるのだと思うと、アベノハルカスが5~60棟分の土砂を運び出すのだと、驚嘆しました▼S画伯や?さんの誘導で、立ち入り禁止なども自己責任でクリアーし、近道を通るなど、若干のスリルもありました。が、通行止めでもないところの鉄製の階段の方が、何十倍も危険個所に思えたものですが……▼最後は畦野駅近くのお店で、S画伯とHさんと私で、喉を消毒して解散しました。元の風景と、無くなってゆく自然を見て、人類の未発達を再認識したツァーでした。 (F)

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