神戸映画資料館での
敬愛する映画評論家、山根貞男さんによる映画連続講座〈新編:活劇の行方〉3回目。
今年3月21日に91歳で逝去された木村威夫美術監督の特集。
鈴木清順監督を中心に
木村威夫さんの作品の一場面を上映。
実際の美術がどうなのかを画面で観ながらの講座で
とてもおもしろかった。
今まで清順監督の映画のおもしろさがわかるようで、
いま一つわからなかったのが
なんとなくヒントをもらったよう . . . 本文を読む
あの感動をもう一度と、確かめに行ってきました。
音だけでなく、雪もすばらしかった。
冒頭、市の激しい息遣いが聞こえる。
追手と激しく斬りあう市は、
夫婦約束をした女の命を奪われてしまう。
水が流れる音が聞こえる。
このせせらぎの音は、倍賞千恵子との別れの場面や
要所要所で聞こえてくるのに、再見して気がついた。
愛する女をなくし、行き場のない市を
激しい雨が襲う。
そして雪。
寺島進が斬られ . . . 本文を読む
週末の猛暑の中、新作はほとんど観てないが
今朝観たマカロニ・ウエスタンが意外におもしろかった。
いわゆる師匠と若者の成長もの。
西部一の早撃ちリー・ヴァン・クリーフがやってきて
町の人々から、売春婦の息子と虐げられていた青年
ジュリアーノ・ジェンマを相棒として育てていく。
他人を信用するな、危険は時ほどよく狙え、など
ガンマンの10か条を指南。
中年ガンマンのリー・ヴァンが渋くてかっこいい。
. . . 本文を読む
笑いが巻き起こるバイオレンス・エンタテインメントなんて宣伝文句を
目にしていたので、どんな作品か、少し心配だった。
でも、観てみたら、やっぱりいつもの北野武の映画だった。
ストーリー自体はわかりやすくなっているが、
どこか観客をつき放している映像。
無言で映像を差し出していく感じは変わっておらず
説明過剰でもなく、安心した。
果てしなく繰り返される裏切りは、
私には、とてもゲームとか、エンター . . . 本文を読む
恥ずかしながらマカロニ・ウエスタン映画を観たのは初めて。
同じ登場人物が出るたびに、派手な音楽が流れ
最初、少ししつこくも感じたが、
観ているうちに段々慣れて、後半は麻薬のように、心地よくもなった。
考えたら、東映のやくざ映画の任侠の主題歌のようなものかもしれない。
冒頭、鶏が行きかい、犬が寝ている。
その奥、向こうの方から3人の馬に乗ったガンマンが近づいてきて、
ピントは鶏から3人へと移る・・ . . . 本文を読む
午前10時からの映画祭といいつつ、午後9時からの上映に挑戦。
オードリー・ヘップバーンが
ゲーリー・クーパー演じる、
アメリカの富豪で、プレイボーイのおじさんに
恋をする。
二人の年齢差は相当離れているようにみえ、
あの可愛いオードリーが!?と思わなくもなかったが、
映画館を出たとたんに、
オードリーと同じく「魅惑のワルツ」を歌いながら
スキップするように走っている私がいた。
『フォロー・ミー』 . . . 本文を読む
少女が、自分を信じ、全力でぶつかることのできる世界を見つけ、極めてゆく。
ブリスにとって、それがローラースケートだった。
ローラースケートゲームなんて全く知らなかったが
チームプレー、作戦プレーのおもしろみと
スピード、迫力ともすごくて、おもしろかった。
楕円形のトラックで
敵味方とも一緒に
各4人の仲間(ブロッカー)がスタートラインに並ぶ。
その少し後方に
各チーム1名の得点プレーヤー(ジャ . . . 本文を読む
家臣の謀反により城主が殺され、奥方と愛猫も自害。
十数年後、奥方は愛猫とともに恨みを果たそうと
猫の怨霊となって、復讐していく。
タイトルの呪いの沼は、小さなお堂がたち、
まわりに蘆やら鬱蒼と生えていて
白黒画面に、不気味な空気が漂う。
怪談映画だし、
びっくりして声を出したらどうしようと不安だったが
そんなに驚いたり、怖がったりすることもなく、
ほどほどに首がとんだり、
狂った暴君(謀反を起 . . . 本文を読む
あらためて観直してみて、
第2話の冬編について、もう少し紹介したい。
松方弘樹が演じる若いやくざ。
13歳の時、父親が借金で賭け事に手を出し死んでしまう。
幼いゆえに、田畑は村の人に任せ、
庄屋と、18歳になったら再び田畑を貸すと約束し、
諸国を旅しながら、
墓守からにしん漁まで何でもやって生き抜いてきた。
18歳になり、喜び勇んで村に帰ると
博打狂いだの、あることないこと告げ口され、
庄屋には . . . 本文を読む
観終わって、思わず、カヨちゃんじゃないけれど、
ううぅぅぅっと唸りたくなるような
パワフルでエネルギーにあふれているけれど
救われようのなさと絶望感に絶句してしまう。
でも、真っ暗というわけではなく、
たくましく生き抜こうとする図太い力も、伝わってくる。
「命」という字を、小さな2センチくらいの円の中に
何十個も書いたら、何重にも重なり合って、ひしめきあって
読めなくなってしまう。
そんな窒息し . . . 本文を読む
これだけ傑作続きの上映だと、
とりあえずコンビニおにぎりで空腹を満たし、
軽い疲労感を覚えながらも、スクリーンに釘付け。
終わってもなお余韻が残り、頭の中では、
男たちが斬りあう喚声が聞こえてくるようだ。
沢島忠監督の詩心が結晶した、
やくざ家業の男たちの
弱きを助け、強気をくじく、
仁義を守り、人情を大切にする姿が
なんともいとおしくて、やりきれねえ物語が3つ。
仲代達矢の秋の章では
冒頭、 . . . 本文を読む
服部半蔵率いる伊賀忍者と甲賀忍者が
夜半、林の中で闘うシーンでは
まるでアメフトのように
一列に並んで、GOの合図とともに走り出し
タックルするかのような殺陣を展開。
一段落斬り合うと
また元の陣地に戻り、
残った人数で、再び並んで走り出す。
忍者スーツが、いかめしい肩がはったシルエットであることも手伝い
まさにアメフトのようで、美しくもおもしろかった。
場内には、こっそり吹き出す人もいたが、
気 . . . 本文を読む
クライマックスの53人の藩主の軍勢と
13人の刺客との対決シーンは
まるでドキュメンタリーのように凄かった。
街道筋の小さな宿場町をまるごと罠に仕立て
丸太を組んで道を行き止まりにしたり、
道の上に、屋根のように丸太を組んで、上から槍で突けるようにしたり、
そんな現場で、まさに13人と53人とが死闘を繰り広げる。
細い路地を、手持ちカメラが、肉薄するかのような近さで、
侍たちを追いかけていく迫力 . . . 本文を読む
先週の日曜日に大阪シネヌーヴォで行われた井川美術監督のトークのご紹介。
まず、井川さんが勲章を受賞された際の祝賀会場で、
上映された映像作品(20分ほど)を上映。
これが、
井川さんが過去に手がけた作品をつなげた名場面集で、
すごくおもしろかった。
きっと、めちゃくちゃ映画好きの人が編集したにちがいなく、
映画の歌、音楽をバックに、
美しいセットの中で、たたずんだり、笑ったり、
役者さんたちが躍 . . . 本文を読む
今回のシテ(主役)は、面もなく、素顔で登場し、亡霊でもない。
でも、心は死んでいるのかもしれない。
平安時代、多田満仲は
勉強するため寺に預けた息子、美女丸を呼び戻すと、
字も読めず、歌も詠めないので、非常に怒って
家臣の藤原仲光に、美女丸を討つよう命じる。
(とんでもない親です)
陰でその話を聞いていた美女丸は、自ら首をとってくれと言い、
仲光の息子、幸寿が身代わりにと申し出る。
結局、仲光 . . . 本文を読む