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No443 夏の終わりに~ヤスミン・アハマド監督逝く~

ヤスミン・アフマド監督が、7月25日に亡くなられた。 享年51歳。あまりに早すぎる。 2007年11月のアジアン映画祭で、 『ムクシン』を観て、家族を見つめる眼の細やかさ、深さ、 言葉少なく、詩情豊かで、音楽にあふれた世界、 すっかり大ファンになった。 『細い目』『ラブン』『グブラ』と 大阪Planet +1で特集上映が行われ毎日通った。 ブログにも書いた。 『グブラ』の悲しい運命を描く冷徹な眼 . . . 本文を読む
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No442『結婚のすべて』~女を磨く、床を磨く~

岡本喜八監督のデビュー作。('58) 玄関の呼び鈴がきっかけで、 妻の新珠三千代が「私にも心の呼び鈴があるのよ」と言い、 夫の上原謙との間に、愛を呼び覚ますきっかけになったり・・ 呼び鈴の使い方もすてき。 上原の少しとぼけたふうの大学教授もいい。 期間を決めて「契約結婚」をしている妻、塩沢ときが 夫の三橋達也から契約延長したいという電話をもらう。 折しもうつぶせに横たわって ローラー(算盤の玉の . . . 本文を読む
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No441おもちゃフィルム(玩具映画)が見つかった

山中貞雄監督の無声映画『鼠小僧次郎吉 道中の巻』(33年)』の一場面、 1分程度のおもちゃフィルムが見つかり、復元されたそうだ。 大河内伝次郎が鼠小僧に扮し、残っていたのはチャンバラの場面だとか。 写真のバックの空と雲もきれい。 関西では9月12日に京都文化博物館で上映予定で、とっても楽しみだ。 岡本喜八監督の『大誘拐』の中にも 身代金が100億円なんて高すぎるのでは、という言葉に おばあちゃん . . . 本文を読む
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No440『大誘拐』のことなど~もっともっと映画をつくってほしかったです

まず、東京池袋の文芸坐のちらしの画像を使わせていただいたのは ひとえに「喜八魂」という言葉にひかれたからです。 映画魂といえば、もう一人忘れてならないのがマキノ雅弘監督。 明日から、NHKのBS放送で 『次郎長三国志シリーズ』9作品の上映が連日始まります。 未見の方はぜひぜひ観てくださいね。 私が特に大好きなのは、 『第六部 旅がらす次郎長一家』 『第八部 海道一の暴れん坊』ですが 第六部は、後 . . . 本文を読む
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No439『ダイナマイトどんどん』~喧嘩野球はどこまでも~

ピストル、ライフルでの喧嘩じゃ命が幾つあっても足りねえ、 それなら野球で片をつけようと やくざの組同士が野球トーナメントを開く。 酒好きで、攻撃の回ごとに、ベンチ横で焼酎の入ったやかんを抱えて ぐびぐび飲んで、酔っ払うピッチャーの田中邦衛が愉快。 菅原文太率いる「岡源組ダイナマイツ」チームの 円陣の掛け声は、「ダイナマイトー」、ドン、ドンと右足で2回、 地面を踏み鳴らす。 思わず真似したくなる . . . 本文を読む
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No438「kihachi フォービートのアルチザン」の編集 佐々木さん語る

本日、大阪九条のシネ・ヌーヴォで、喜八監督の特集本「kihachi フォービートのアルチザン」の編集を担当された佐々木淳さんのトークが行われました。 この本は既に絶版となっていますが、『大誘拐』までの監督の全作品を網羅し、各作品のキャスト・スタッフ、物語はもちろん当時の映画雑誌や新聞の批評、ロケ取材記事、監督発言、併映作品、興行成績、後年の監督発言まで掲載されています。 森卓也さんによる全作品に . . . 本文を読む
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No437『にっぽん三銃士 おさらば東京の巻』~ホントでたらめな話なんですが~

勢いがあるというのは凄いことだ。 映像に勢いがあって、一気に乗っていける。 監督いわく「いまの時代の生き方、平和だけど偽りの人生に反逆して、 タケダケしく生きようとした」 24歳、36歳、48歳の3人の男たち、三銃士。 といっても、3人とも全然かっこよくないところがいい。 36歳の男は、下半身パンツ一つで夜の街を駆け回ることになるのだ。 地下鉄駅通路で若者たちが集会を開く。 個人の自由な意見を . . . 本文を読む
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No436『ジャズ大名』~喜八熱続く~

怒涛のような1週間の終わり、明日も観るつもりだというのに、ふらふらと気がつけば九条のヌーヴォへ向かっていた。 はじめて岡本喜八という名前を覚えたのが本作。 とんでもなくおもしろいと、20年以上前、特に映画ファンでもない普通の学生友だちが教えてくれた。いつか観ようと思いつつ、数年後に実家でビデオで借りて観て、ぶっとんだ。 駅からの帰り道、踊りたくて仕方なかった。 頭の中でメロディが踊れ、踊れとささ . . . 本文を読む
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No435 『血と砂』~最期まで音楽ありき~

少年軍楽隊が最前線に送られる。 デキシージャズを演奏しながら、軽やかに行進する少年兵たち。 楽器は彼らの命だ。 敵地に乗り込む際も、楽器を手離さない。 彼らの演奏する音楽が、映画の要所要所で流れる。 そして、 敵からの爆撃を受けながらもなお続く。 音楽には彼らの魂が宿っていると思わずにはおれない。 「はもる」という言葉を解しない佐藤充演じる調理師あがりの兵隊に 尋ねられ、説明は難しいですねと答え . . . 本文を読む
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No434『日本のいちばん長い日』~息詰まる緊迫感~

今までテレビで放送されても、終戦を決議するための会議をずっと映しているだけで、大作だし、あまりおもしろい作品ではないという先入観があった。今日、初めて観て驚いた。喜八監督、ごめんなさい。 なんという緊迫感。 手に汗握り、結末がやってきた時には 解放感で感涙しそうなほど、息詰まるものがあった。 前半、ポツダム宣言を受諾し、降伏するかどうかを決める 閣僚会議が行われる。 そして、降伏が決まり、天皇 . . . 本文を読む
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No433-2利重剛さん、岡本喜八監督の現場と魅力を語る(後篇)

◎監督からのアドバイス 当時、既に役者としてテレビに出て活躍もしていた利重さん。つくりたい映画はあるものの、役者になりたいか監督になりたいか迷っていた。監督がアドバイスしてくれたのは、「撮影所システムも、数年後には崩れるかもしれない、役者として活躍して有名になっておけば、いつか自分で監督できる機会が回ってくるし、役者をやっておいた方がいい。」 「毎晩寝る前に1ページでいいから脚本を書きなさい、毎 . . . 本文を読む
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No433-1利重剛さん、岡本喜八監督の現場と魅力を語る(前篇)

『近頃なぜかチャールストン 』(1981)に主演、『ジャズ大名』 (1986)にも出演された利重剛さんが、8月1日、シネ・ヌーヴォの岡本喜八監督特集に来館され、トークが行われました。とってもおもしろかったので、長くなりますが、前後篇に分けてご紹介します。岡本監督の映画のおもしろさの一端でも伝われば、嬉しい限りです。 岡本監督は、なんといっても、敬愛するマキノ雅弘監督の「次郎長三国志シリーズ」で助監 . . . 本文を読む
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No432『ボルト』~“勘違い犬”の落ち込みと頑張り~

人気がないのか梅田ブルグ7ではあと2週間で終映だとか。 ずっと紹介したくて、うずうずしていたのですが、 ここで応援エールを。 実は、私自身、3D映画というので、 子ども向きの夏休み映画と全く期待していなかった。 しかし、いざ映画が始まって、その迫力とテンポのよい展開に 夢中になった。 それもそのはず、ディズニー映画といっても 子会社のピクサーのジョン・ラセターが総指揮。 『ファインディング・ニ . . . 本文を読む
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No431『大菩薩峠』~風車小屋の怖さ~

友人に言われてあらためて思ったのだが、 風車小屋のシーンが一番怖かったような気がする。 がったんごっとんと同じリズムで鳴り続ける風車の音。 夫との奉納試合で負けてもらうために、仲代達也に身を売った新珠三千代。 二人が向き合い、新珠の解かれた帯が、 小屋の中で回る輪にひっかかる。 輪といえば、 森卓也さんが、トークで、 『暗黒街の対決』で、 鶴田浩二のバーが銃撃され 店内の飾りの馬車の車輪がくるく . . . 本文を読む
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No430『斬る』~斬る!と突き!の掛け合い~

出だしは黒澤明の『用心棒』。 片腕をくわえて登場する犬の代わりにやせこけた鶏。 5日間水しか飲んでない、ひもじい浪人とやくざの 食べ物をめぐるやりとりがおかしい。 ビデオで観た時より、スクリーンで観たほうが、 数段、冒頭の砂嵐がとてつもなく強いことに圧倒された。 とんでもない風だった。 侍になりたい農民あがりの浪人、高橋悦史と 侍が嫌になり、無宿者になった仲代達矢。 二人のかけあいが見事。 敵味 . . . 本文を読む
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