今年で3年目を迎える阿倍野ヒューマンドキュメンタリー映画祭が、大阪市天王寺の近くで行われた。
「花はんめ」「妻の貌(かお)」を観たほか、映画講座では、プロの照明技師とカメラマンから、照明の配置について学んだ。
「花はんめ」は、2004年、金聖雄監督の作品。
川崎市の小さな路地のアパートに住む在日一世のおばあちゃんたちの日常を4年にわたって取材。自分の母を撮りたいと考えていた金監督が、実現せぬう . . . 本文を読む
成瀬巳喜男監督生誕100年記念による上映。
成瀬監督は、10年くらい前に知人に薦められて、何本か観たが、
芸道もの以外は、あまり良さがわからなかった。
今回の特集上映を機に、もう一度、観直してみようと思っている。
成瀬作品の中でも「晩春」は好きな作品。
かつて芸者、今は高利貸しのきん(杉村春子)のところに、昔、惚れこんだ男(上原謙)が訪ねてくる。
四十女のきんが、湯上りのほおを氷水で冷やし、めか . . . 本文を読む
主人公の12歳の少女アビバを、
黒人、白人という肌の色も、体格も、年齢も異なる8人の役者(そのうち一人は少年!?)が順に演じていく。
外見は違っても、アビバはアビバ。
服だけが同じなので、かろうじてアビバとわかる。
全体が9つの章に分かれており、章ごとにアビバ役が変わっていくので、混乱することはなかった。
アビバは、赤ちゃんがほしくて、12歳で妊娠した。しかし、両親から中絶を強いられ、家出をす . . . 本文を読む
昨年のシリーズ15作が好評との話に、釣りバカ初体験にのぞんだ。
結果は?
それなりに楽しめた。けど、少し物足りなかった。
ハマちゃんは大活躍だが、
肝心のスーさんとのからみがあまりなく、そこが残念。
(携帯電話では、よくしゃべっているものの・・・)
佐世保に赴任している若い社員、金子昇と
土地のきれいどころ、伊東美咲との若き恋路、そして、伊東と頑固親父との、父娘の情がテーマになっている。
伊 . . . 本文を読む
ユネスコにより、無形文化遺産となった文楽。
主遣い(おもづかい)と、左使い(左手)、足遣いと、
3人の人形遣いによって動かされる人形の魅力の秘密を解き明かそうと
大阪府立文化情報センターのトークサロンにいってきました。
三世桐竹勘十郎氏は昭和28年生まれ。
中学を出ると同時に文楽の世界に入り、足遣いを15年、30歳になる頃にやっと左遣いにと、主遣いまでの道のりの長いこと。
主遣いは、左手で、人 . . . 本文を読む
キム・ギドク監督の作品には、いつも狂気がある。
まるで職人のように、自分の美意識、世界観を信じて
映像世界を彫刻していく。
その独特の映像美の世界は、
北野武監督の初期のワイルドな作品を彷彿させ、
韓国の「北野武」とも評される。
小さな頃から絵が好きだったが、親に認めてもらえず、
農業専修学校を卒業後、工場勤務を経て
5年間の海兵隊生活を送る。
その後、チケット代だけを手に、独学で絵を勉強しよ . . . 本文を読む
ペンギンって、なんて人間に似ているんだろう。
直立して歩くあの姿のせいだろうか。
群れたり、行進したり、プロポーズしたり、じっと寒さを我慢したり。
観ていて、何もしゃべらないペンギンたちに
思わずセリフを言わせたくなった。
「ちょっとすんまへん、ぼくの卵、ちょっとみててくれまへんか?」とか。
「今日はいやに冷えますなあ」とか。
なんとも愛らしく、けなげなペンギンたち。
極寒の地、南極で
新しい . . . 本文を読む
富士山北麓の青木ヶ原樹海は、自殺の名所として名高い。
「樹海」・・・・樹の「海」。
でも、「海」って、本当は「命」が生まれてくる場所のはず・・。
命について、人生について、生きることについて感じ、考えさせてくれる作品。
樹海の木々の葉の間から刺す光は、
とっても高く、遠くからで、かすかだけれど、
確かに地面まで、差し込んでくる。
届いた光をそっと手のひらにくるんで、大切にして、家路に着きたい。
. . . 本文を読む
独特のユーモアを随所に散りばめながら
切なさやら寂しさをほんのり描く山下敦弘監督が
独特の存在感あふれるペ・ドゥナを主人公に迎え
ブルーハーツの“こころ”を描いた!
高校生活最後の文化祭。韓国から来た留学生ソンをボーカルに
4人の女子高生がブルーハーツに挑戦。
本番まで3日間、徹夜の練習が続く。
細く伸びた手足が、妙にあぶなかっしく、
ころんだり、言葉がわからないゆえのとぼけた妙味がよく似合う . . . 本文を読む
1945年4月20日から31日ヒトラーが自殺し、
ドイツが降伏に至るまで、
総統官邸地下要塞で起こったことを
ヒトラーの元女性秘書ユンゲの手記をもとに、
室内劇のような密度の濃さで
綴っていく。
ユンゲを中心として
敗北を目の前にしたヒトラーや部下や愛人、家族たちが、
どうふるまい、どうあったのか。
できるだけ、忠実に、淡々と描こうとする
監督の姿勢がよく伝わった。
市街戦の光景が何度も挿入さ . . . 本文を読む
ゼツゼツボウボウ、ゼツボウボウという
歌詞がいつまでも心に残っている。
17歳の少年が母を殺害した後、
自転車で北に向かい、16日後に東北で逮捕される
という実際の事件から着想を得て、
若松監督が映画化した。
少年役の柄本佑が、
東京から新潟へ向かい、
日本海沿いを北上して、津軽半島まで
自転車で走っていくのを
ひたすら、淡々とカメラで追っていく。
ショッキングな事件の部分は、回想シーンとし . . . 本文を読む
映画の問いかけるテーマの
あまりの重々しさに身動きできなるよう。
善意から犯したとはいえ、堕胎という罪が明らかになったヴェラを
家族は、どう受け止めることができるのか。
車を持ち、広い家に住み、豊かな生活を送る義弟夫婦が
ヴェラに冷たくなるのと対照的に、
夫スタンは
どうしてこんなに暖かく、深く妻を愛し続けることができるのだろう。
罪が発覚したヴェラに対して
娘の婚約者レジーが、毅然とした態 . . . 本文を読む
妻夫木(理一)が
映画監督になるという夢と
今、働いている教習所で、研修も受け昇格する時期を迎えているという現実との
狭間で
どう悩み、決断するのか。
こういう分岐点って、案外あるような気がする。
「仕事好きなの?」と聞かれて
「嫌いじゃあない、感謝もされて楽しいし。」と答える妻夫木。
「好きと嫌いじゃないっていうのは、全然違う」と問い詰める深津絵里(衣咲)。
深いところをついている。
映画監 . . . 本文を読む
映画館を出て、
身近の誰かに
感謝を込めて手紙を書きたい気持ちになった。
DVをふるう夫から逃げ、
耳に障害を持つ少年フランキーと
母リジ-、祖母ネルの3人は
引越しを繰り返し、港のある町グラスゴーで暮らし始める。
フランキーにとって、
船員として世界を回っている父からくる手紙が心の支え。
でも、その手紙は、実は母のリジーが書いたもの。
その「父」の乗っている船が今度、街にやってくるという。 . . . 本文を読む
「大戦争」というからには、どんな戦いぶりかと思うと
まるで意表をついている。
三池監督、みごと、してやったりというか
さすが百戦練磨のなせる技というか。
これなら、子どもにせがまれて映画館に足を運んだ
大人も十分、笑って、意外や満足して、
帰れるのでは?
子どもに結末について聞かれて、
あれこれ想像しながら答える大人たちの
楽しそうに帰る姿が目に浮かぶ。
主人公タダシが、大 . . . 本文を読む