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No573『怪猫呪いの沼』~撮影と美術の腕のみせどころ~

家臣の謀反により城主が殺され、奥方と愛猫も自害。
十数年後、奥方は愛猫とともに恨みを果たそうと
猫の怨霊となって、復讐していく。

タイトルの呪いの沼は、小さなお堂がたち、
まわりに蘆やら鬱蒼と生えていて
白黒画面に、不気味な空気が漂う。

怪談映画だし、
びっくりして声を出したらどうしようと不安だったが
そんなに驚いたり、怖がったりすることもなく、
ほどほどに首がとんだり、
狂った暴君(謀反を起こした元家臣)が次々と滅多斬りにしたり、
斬られた首が暴君の着物の裾をぎゅっと噛んで離さなかったり、
斬られた腕がつかんだりと
映画ならではの仕掛けを楽しんだ。
内田良平演じる暴君が、恐怖に狂うさまは迫力満点。

怪談映画をたくさん観たことがあるわけではないが、
ごく普通の怪談映画だとは思うが
変な画面はあまりなく、怪談としての美学、
画面の美しさとバランスをとりながら、
怖さを徹底しようとしていた気がする。

帰り道、信号が点滅しているのをみて
ふと、これが、点滅の速度がゆっくりに変わって、
いきなり明りが消えたら怖いなあと思った。

猫が女に乗りうつり、女がぴょんとはねたり、どろんと消えたり、
幽霊ならではの動きは
終わってみて、なんだか楽しかったように思えた。

映画美術の方々にしてみれば、
これほど知恵や工夫のしどころのあるジャンルもないでしょう。

九条ヌーヴォでの、美術監督井川徳道特集の1本。
監督脚本は石川義寛。撮影は赤塚滋、
とここまで書いて、ふと調べたら
この赤塚キャメラマンは、『緋牡丹博徒 お竜参上』も撮った
東映京都の名キャメラマンでした。
画面が美しいのも納得です。
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