バスを乗り間違えて、
会場の立命館大学衣笠キャンパスに着いた時には、
上映開始時間より25分近く経っていた。
暗闇の中、スタッフの誘導で後の方の席に座ると、
スクリーンでは、おばあさんが、バストショットで、
カメラに向かって饒舌に語っていた。
この構図、どこかで観たような・・と
中国映画の『鳳鳴(フォンミン)- 中国の記憶』を思い出し、
一瞬、映画を間違えたかと思ったが
よくよく聞けば、流暢な英語 . . . 本文を読む
マキノ監督の映画は詩情たっぷりだと思う。
ロングショットに
小さな笠をかぶった男が、二人、くっついたり、離れたりしながら、
浅瀬の川を渡っていったり、
堤防道をすたすた走っていったり、
なんとまあ、きれいなこと。
それが、弥太郎と子分のキチ(河津清三郎!)であったり、
敵方の回し者だったり、
すすきが風に揺れている向こうを駆けていったり、
歩いていくのを観るだけで、その美しさにうっとり。
弥太 . . . 本文を読む
「♪わらべはみーたり、のなかのばーら♪」
というシューベルトの「野ばら」の曲を小さい頃、どこかで聴いて、
楽しいような哀しいような調べにひかれ、歌詞はわからずとも
本棚の奥から古い「世界歌謡名曲全集」を引っ張り出し、
一生懸命ピアノで練習した。
本作でも見事なクライマックスとなったと私は思う。
「全然演技がうまくない」という声も聞く。
確かに、田中千絵さん演じる友子が酔っ払ってへべれけになるシ . . . 本文を読む
大阪九条シネ・ヌーヴォでのカネフスキー監督特集最終日。遅まきながら今回が初めてのカネフスキー体験。『動くな、死ね、蘇れ!』『ひとりで生きる』を観て、なんだかすごいというかすさまじい世界に驚いた。
今日、『ぼくら20世紀の子供たち』という
『動くな、死ね、蘇れ!』から4年後のドキュメンタリーを観て、
街のあちこちの浮浪児たちに、監督が、生活のことやあれこれ質問し、
親が酒浸りだったり、盗みや残飯集 . . . 本文を読む
マキノ監督特集の3日目の続き。
河内山宗俊を大河内伝次郎が、片岡直次郎を河津清三郎が演じる。
河津清三郎といえば、次郎長シリーズでは、
子分の筆頭にあたる大政を演じる貫禄ある役者。
その河津が、大河内の配下になりながらも
ときに敵方に寝返る小悪党を演じる。
最後には、大河内の怒りにふれ、
二度と目前に現れるなときつく言い渡される。
それなのに、自分の惚れた元芸者のことを
忘れように . . . 本文を読む
エリック・ロメール監督が11日、89歳で亡くなられたそうです。
ちょうど昨年の1月頃、『我が至上の愛 アストレとセラドン』が公開され、緑きらめき、光あふれる世界で、豊かな音楽と、みずみずしい恋の物語に心ときめいたばかり。これが最後の長編との話も聞いたのですが、きっと次にまた、何かつくってくれるのではと思っていました。
思えば、ロメール監督の名前を知ったのは、20年以上前、働き始めたばかりの頃。
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マキノ雅弘特集3日目。
マキノ監督の作品にはよく踊りが、お祭りが出てくる。
山根貞男さんが「マキノ雅弘 映画という祭り」という本を書かれているが、
まさにマキノさんの映画そのものがお祭りなのだなあと実感。
この3連休、マキノどっぷりというわけではなく、
ほかの監督作品も観ているのだが、
マキノさんの映画を観て、
まるで祭りの後のような爽快感と、寂しさを感じ、
新たに、また自分自身の現実に向き合える . . . 本文を読む
マキノ雅弘監督特集、まだ2日目だというのに、
昨日のことが、何日も前に思えるのは、なぜだろう。
昨夜は神戸のあと、『海角七号 君想う、国境の南』を大阪で観て、
ひっかかるところもないではないが、
なかなか魅力的な群像劇に仕上がっていて
ラストのシューベルトの「野ばら」の曲に
すっかり心を持っていかれました。
いい映画を観た後のお酒はすすむ、ということで
『血煙高田馬場』の阪妻演じる安べえのごとく
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一昨年に生誕100年を迎えたマキノ雅弘監督作品の中から、
映画評論家の山根貞男さんが選りすぐった20作品の上映が、
神戸KAVCで今日から始まりました!
今朝、早速、『血煙高田馬場(決闘高田の馬場)』『江戸の悪太郎』を
観てきました。
この世の中で、縁者といえば、
叔父一人、甥一人の香川良介と阪東妻三郎。
その叔父が果し合い状をつきつけられ、
その朝、甥に一目会おうと、長屋にやってくるが、
肝心 . . . 本文を読む
37歳の若さで亡くなった市川雷蔵さんの没後40年の特集の1本。
原作は泉鏡花。監督は三隅研次。
明治時代の下町、元スリだった少年が、学者の先生にひろわれ、
立派な学士となる。
芸者と恋仲になり女房にするが、恩師の猛反対にあい、義理人情の中で別れを決断するという話だが、
この芸者さんを演じる万里昌代さんがすばらしい。
芸者だから、妻になんかなれるわけないと思い込んでいたのが、
雷蔵演じる青年に、嫁に . . . 本文を読む
すっかり遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。映画も仕事もすっかりフル回転していながら更新が遅くなりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
お正月は愛知の実家で雪が5センチも積もり、小学生の甥っ子たちと雪だるまをつくりました。身長1メートルほどの雪だるまとなると、顔の部分の雪玉も大きくて一人ではとても持ち抱えられず、弟と一緒に声を合わせて頭を乗せました。雪の意外な重さを感じ . . . 本文を読む