goo

No340『マッチ売りの少女』~白い花びらが雪へと変わり・・~

疲れた時、マッチに火をつけ、ろうそくに火を灯し、 ぼんやりと眺めることがある。 火事が怖いので、ほんの数十秒で、すぐ消してしまうとはいえ、 ゆらゆら揺れる火の光に、なにかいやされるものがある。 アンデルセンの童話をもとに、ジャン・ルノワール監督が1928年に脚本監督。 花びらが雪へと変わるラストが悲しい。 マッチが売れず、せめてマッチの灯で暖まろうとした少女が 雪の中でみた幻想世界はおもちゃや . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No339『獣人』~機関車が“走る”快感~

汽笛の音。スコップで機関車の釜に投げ入れられる石炭。 すごいスピードで疾走する機関車。 映画が始まった途端、いきなり私は1938年の白黒映画、 フランスの汽車の中に入り込んだ。 力強く回る車輪、 窓から前方を眺めた車窓、 次々と過ぎ去る柱。 近づいてくるトンネル、 カメラがぶつかりそうで怖い。 トンネルの中の闇、変わらぬ轟音。 出口がみえた。 白く明るい光がどんどん大きくなる。 外に出る。機関車の . . . 本文を読む
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

No338『スパルタの海』~伊東四郎の背中がまぶしい~

80年代初め、家庭内暴力、金属バットでの両親殺人事件、登校拒否と荒れた時代。 愛知県の戸塚ヨットスクール合宿所に泊り込んで取材、 スクールの実態と登校拒否児などが立ち直っていく様子を描いた ノンフィクション「スパルタの海」の映画化。 西河克己監督、1983年作品。 映画完成後、主人公のモデルの戸塚宏校長が逮捕され、急遽公開中止。 やっと、作品の権利が委譲され、今年、東京で特集上映され大ヒット。 2 . . . 本文を読む
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )

No337『三里塚 第二砦の人々』~魂の記録~

さて、娯楽作品が続きましたが、 ここで気骨の入ったドキュメンタリーをご紹介。 ぜひとも多くの人に観てほしい、みごたえのある作品です。 1971年『三里塚 第二砦の人々』 1967年から三里塚に入り、新東京国際空港建設反対闘争を始めた農民たちの姿を 7作にわたり「三里塚」シリーズとしてつくった小川紳介監督。 空港をつくるため、地元農民に説明したり同意を求めるという手続きもなく、 急遽、決定、強制 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No336『魔法にかけられて』~身体は知っている、真実の愛?~

ついにディズニーが自らをパロディに。 パロディといえば、 ディズニーを辞めたジェフリー・カッツェンバーグが ドリームワークスで製作した『シュレック』が印象的。 魔女の魔法が解け、お姫様はもとのきれいな姿を取り戻しました・・のはずが、 あれ?? 意外な結末に驚いたのは数年前のこと。 今度は、ディズニー自身が 自ら築き上げてきたおとぎ話の世界をパロディにし、 実写とアニメを混ぜ (といっても、現実世 . . . 本文を読む
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

No335『王妃の紋章』~そこまで酷評しなくとも~

なぜかあまり評判のよくない本作。 新刊のキネマ旬報での映画評をみると、星も少なく、 酷評している人が多かった。 結構、楽しめたのに…。why? かくいう私も、 尊敬する映画評論家の山田宏一さんが 「映画Walker」というサイトで薦めていたのと、 実際に観にいった映画友達の薦めで観にいったのだが、 その薦めがなければ、観に行っていないと思う。 (みどころは、豪華な舞台装置とアクションだけと勘違い . . . 本文を読む
コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )

No334『濡れ髪牡丹』~惚れて、惚れられ、粋な掛け合い~

同じ市川雷蔵でも、前回ご紹介した『大殺陣 雄呂血』とは打って変わって、 陽気で楽しく、うっとりしそうに粋な雷蔵さんの 魅力全開なのが『濡れ髪牡丹』(61年)。 田中徳三監督、痛快娯楽時代劇。 雷蔵演じる「八八の瓢太郎」は、 剣や弓だけでなく、そろばん、お花、書道、俳諧、料理まで、何でもこなし、 その腕前を披露しては、 「拙者、剣術は柳生新影流免許皆伝の腕前でござる」というふうに、 どれも免許皆伝 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No333「大殺陣 雄呂血」66年~雷蔵の剣が怒りを放つ~

ラスト十分以上にわたる立ち回りのすごいこと。 観ているこちらがへとへとになった。 まじめで腕のたつ師範代の青年が 信じていた相手から裏切られ、 窮地を助けてもらった女は殺され、 どんどん追いつめられ、虚無的にニヒルになっていく。 生を疎む感じが、雷蔵の雰囲気にぴったりで、 なんともつらい。 縄、はしご、戸板、大八車と、次から次へと 百人以上の追手が、市川雷蔵に襲い掛かる。 この世に嫌気がさし、 . . . 本文を読む
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )

峠の茶屋2日め~楽天 田中投手の“気持ち”~

昨日は映画仲間たちとつくる冊子の原稿を書き上げなければと 早く帰ったものの、なかなかアイデアが浮かばず、 なんとなくテレビをつけてしまった。 NHK『スポーツ大陸』というドキュメンタリー番組で 楽天イーグルスの19歳、田中将大(マーくん)投手が 密着取材されており、おもしろくて、 つい最後まで観た。 スポーツ選手は、身体が資本。 勝負の中で、自分の身体との戦いになる。 勝つためには、 相手の癖 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No332『人のセックスを笑うな』~片恋の切なさがにじみだす~

とってもおもしろかった。 冒頭から、固定カメラの長回し。 坂道の途中、曲がり角。何が起こるのやらと思っていると 酔っ払ったふうの女の子がふらりと坂道を降りてきて、去って行く。 その後を続いて、軽トラが降りてきて、トンネルに入っていく。 軽トラはトンネルを出るなり急停車。 そのはずみで前の座席に三人座りの真ん中の小柄な子が 頭をぶつけて、バックミラーが取れてしまう。 なんか、とぼけた男の子がいるなあ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No331『タクシデルミア ある剥製師の遺言』~グロテスクもここまでくると~

途方もない映画。 吐きそうにはならないまでも、何度も目をそむけたくなる。 思わず目をそらせながらも、こっそり観ているのだけど。 のぞきが好きな祖父、大食い競争の選手の息子、剥製師の孫と 性欲、食欲、死の魅惑にとりつかれた男たち、三代にわたる歴史。 液状の、どろっとしたものに人間は弱いと思う。 なんだか得体がしれないから。 人が吐いてる光景は、つくりものとわかっていても 生理的に受け入れられない。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )