goo

No382「三本木農業高校、馬術部」~ドキュメンタリーのような~

京都映画祭報告は休憩し、久々に新作紹介を。 あまり人を寄せ付けないような堅いタイトルのうえに 「盲目の馬と少女の実話」なんて副題まであって 余計に引いてしまいそうな…? しかし、本作は、安っぽい“感動の物語”なんかでは決してなく、 3年間、馬術部で、朝も夜も一生懸命、馬の世話をしてきた女の子の姿を 四季の変化が豊かな青森の風景の中で、 部の仲間たちや、先生とのやりとりを中心に、 まるでドキュメ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

惚れて惚れられ、されど口には出せぬ仲~『弥太郎笠 前後篇』京都映画祭だより

今回、見つけた大好きな作品の一つ。 股旅ものの傑作。 股旅やくざのりゃんこ(二本差し)の弥太郎が草鞋を脱いだ松田一家には、 親分に、美しい娘、お雪がいた。 二人は相思相愛でありながら、互いに言い出せない。 映画の冒頭、祭りの準備で、一家の子分たちが それぞれにぼんぼり(川に流す灯篭)に、 自分の思いのたけを川柳にして書く。 これが粋ですばらしい。 喋らなくとも、この川柳をさらっと読むだけで、 情景 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

雨降る景色がとってもきれいな~『阿波の踊子』京都映画祭だより

京都映画祭が幕を閉じて、早や一週間。 このごろは、楽しみを待つ時間の長さよりも、過ぎ行く時の早さの方が 身にしみる年頃になりました。 運動会が終わってしまった子どものように寂しさを感じつつも、 マキノの世界にどっぷり浸り、 一言ではとても語りえない、いろんな作品に触れることができ、 あらためて、底知れぬ魅力を感じています。 今回特に感じたのは、マキノ監督作品の美。 今まで、楽しく、おもしろい面ば . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

マキノの撮影現場に迫る~「マキノ組助監督の座談会」京都映画祭だより~

東映マキノ組で助監督をつとめたベテラン監督3人、 「トラック野郎」シリーズの鈴木則文監督(東映京都撮影所入社)、 「日本の首領《ドン》」シリーズの中島貞夫監督(東映京都撮影所入社) 「Wの悲劇」「早春物語」の澤井信一郎監督(東映東京撮影所入社) が勢揃い。 山根貞男さんの司会で座談会が行われました。 これは、山根さんが一番企画したかったプログラム。 マキノ監督の撮影現場に迫る、おもしろい話が続出。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

銀世界の風変わりなラブロマンス~京都映画祭だより『抱擁』('53)

風変わりなラブロマンス。 雪女の娘で、男を不幸にするの、と自ら語る美女、雪を 山口淑子が演じる。 かつて雪崩で亡くした恋人にそっくりの男性(三船敏郎)と出くわす。 1年後に、再会。 ギャングで追われているという男と雪が ダンスパーティを抜け出て、 夜の街をうろうろ歩き、 そして思い出多き、あの雪山の山小屋へ。 二人が並んでスキーをして・・ 夜。 追手たちが、山すそから何十人も松明を持って上がってく . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

タイムスリップした時代劇!~京都映画祭だより『続清水港』('40)

冒頭、チャンバラシーン。 竹薮の中、森の石松が追い込まれ…、 と思いきや、「だめだめだめ」と大きな怒鳴り声。 なんと、スーツ姿の片岡千恵蔵が髪振り乱して登場。 なんと現代劇? 演出家の千恵蔵が舞台「森の石松」の稽古中というわけ。 あまりの役者たちの大根ぶりに ふて寝した千恵蔵が、目を覚ますと 自分自身が森の石松になっていて、 時代劇にタイムスリップという 奇想天外なお話。 これが、とってもおもしろ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

走る、走る、走る、これぞ時代劇~京都映画祭だより『血煙高田の馬場』('37)

伯父の決闘を知り、 泥酔した阪東妻三郎が、水をがぶ飲みし、 加勢すべく、高田の馬場に向かって、 走る、走る、走る…… 志村喬、原駒子ら同じ長屋に住む連中も、 わっしょい、わっしょいと 何十人もが追っかけて走っていく、 この走るシーンを畳み掛けるように繰り返す。 この躍動感。 時代劇のおもしろさは、 ちゃんばらだけではない。 仲間や恩人を助けるべく、ひた走る主人公。 その思いを伝えるべく、 走るシ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

少年の装いをした轟夕起子とむっつりアラカンのかけあい~京都映画祭だより『江戸の悪太郎』('39)

ファーストシーン、 轟夕起子の花嫁支度といっても悲しそうな顔。 祖父を前に、いくらお金があるといっても、 嫌いな相手のところに嫁ぐなんてと、しょげる。 次のシーン 雪深い村、雪の積もった木々、屋根の上の雪、つららと 点描し、きれいな景色だと思っていると、 その屋根の雪がどさっと落ち、 つららがぼきぼきと落ち、 あららと思っていると、 結婚式場と思われる家でも、大勢がばたばたと慌てている。 よもや . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

愛すべきマキノ監督のお話~京都映画祭だより「長門裕之さんらトーク」

本日夜の京都映画祭オープニングセレモニーに行ってきました。 マキノ雅弘監督の甥の長門裕之さんと、 監督の長女のマキノ佐代子さんがゲストとして登場。 山根貞男さんが司会。 ますますマキノ映画が観たくなるような、 笑いあふれる楽しいトークでした。 少し箇条書きっぽくなりますが、一部をご紹介します。 長門さんは『続清水港』('40)で沢村アキオという芸名で6歳位でデビュー。 撮影現場で、監督は決して「 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

いよいよ明日から京都映画祭始まります

私の大好きなマキノ雅弘監督を含め、 マキノ映画の大特集が 明日から、京都映画祭で始まります。 マキノ監督の作品、特に時代劇なぞは 今まで滅多に上映もなく、 十年待ったか、二十年待ったか、というぐらいに、 本で監督の名前や、作品の名前を知ってから、 ずっと待ち遠しく思っており、 期待でわくわくです。 上映作品の中には かの有名な「次郎長三国志シリーズ」(東宝版)もあります。 他のマキノ監督作品と . . . 本文を読む
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )

No381「イントゥ・ザ・ワイルド」~青年が追い求めたもの、見つめたものは……~

こういうワイルドさを、私はすっかり忘れてしまった。 ここまで純粋にはなれないし、 自分を追いつめる勇気も思い切りのよさもない。 べったり今の現実にお尻をつけてしまって、 なかなか腰をあげる勇気もない。 現状の中で心だけ、ばたばたとあがいているだけ。 アラスカの大自然の中で、たった一人で生活することを望み 実行に移した主人公の青年の姿は、 純粋で、潔くも、未熟で、無謀で、 でも、新鮮で、憎めなくて . . . 本文を読む
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )

No380「おくりびと」~限りなく静謐な~

とても静かなイメージが残っている。 死者を前にした本木くんの厳粛なたたずまい、 死者を尊び、心を尽くして丁寧に棺に納めるまでの 堂に入った、あざやかな手つき。 それでいて、 死者を前に、謙虚の二字しかありえない、 遠慮とさりげなさ。 就職先を探し、旅行業者と思って訪ねていくと、 あの世への案内人で、 よくわからぬまま、戸惑いながらも、 納棺師としての仕事に向き合っていこうとする 本木くんの一途さ . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )