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No38「オールド・ボーイ」パク・チャヌク監督

「アジョッシ」(ハングルでおじさんという意味)の言葉が、 こんなに悲しく胸に迫る映画があっただろうか。 ちぎれてしまった、寂しく、切ない思いが悲しいメロディにのって、 いつまでも頭の中を駆け巡っている。 狭く薄暗いアパートの廊下で、デスが、 飛びかかってくるチンピラの大群を次々に倒していく迫力といい、 猛烈な勢いで坂を駆け上がっていくスピード感といい、 インパクトのある映像で、 観る者の心を映 . . . 本文を読む
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Np37.「くりいむレモン」山下敦弘監督

今が旬の若き山下監督。 人気アニメの映画化。 今までの監督の作品にあった 独特の「間」のユニークさ、おもしろさは ほとんどない。 しかし、映像作家としての新たな一面がうかがわれ、 着実な成長を遂げていると実感。 映画は、後半から俄然おもしろくなりだした。 映画のテーマは兄と妹の間の愛。 兄妹が、まさに「行為」の最中に、両親が突然、旅行から帰宅する。 修羅場が・・と思いきや 画面は、 連続した . . . 本文を読む
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No36「女系家族」三隅研次監督

日本映画名作鑑賞会「映画に描かれた関西」での上映。 1963年大映。原作山崎豊子。 中村雁治郎、浪速千栄子と 芸達者な役者を得て、 大阪弁の響きの心地よい、船場の老舗の問屋もの。 遺産相続をめぐる 3姉妹、妾、番頭の確執が 人間味豊かに、描かれていて、 すっかり引き込まれてしまう。 大番頭の中村雁治郎がいい。 善人なのか、悪人なのか、 腹の底が読めない芝居が、実にうまい。 冒頭の方で、 暗闇 . . . 本文を読む
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番外編 文楽「仮名手本忠臣蔵」第二部(7段目~9段目、大詰)

女性の人形の ささいな仕草に うっとりするような色気が漂う。 ほんのちょっと首をかしげたり、 上体をかがめる、 それだけの動作なのに なんと色っぽいことか。 なぜだろう。 人形の顔は、 少ししもぶくれで、超美人でもない。 しかし、3人の人形遣いの手にかかり、 大夫の語りと三味線の鳴りが始まると途端に、 哀愁漂う絶世の美女になっている。 人形たちの思いが会場いっぱいに充満する。 人形は動かされて . . . 本文を読む
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No35「アイス・ストーム」アン・リー監督

1997年の作品。 凍てつく嵐、アイス・ストームの怖いこと。 少年が、アイスストームの過ぎ去った 静寂の雪に包まれた世界を ひとり、楽しそうに歩き回る。 切れた電線が やおら「ばちばち」と鳴って、 うなりながら、蛇のようにしない ガードレールにあたる。 「じりじりじり」と電気が伝わる。 そして・・・ ショッキングな思いもよらない展開で 驚いた。 アメリカの郊外、隣り合う二つの家族の物語。 夫婦 . . . 本文を読む
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No34「風の痛み」シルヴィオ・ソルディーニ監督

「イタリア映画祭傑作選」のプログラムの1本。 生まれ育った国を出て、西へ流れ 異国の地の工場で働く作家志望の主人公トビアシュ。 小さな頃に別れた親友リースを 自分の将来の恋人と強く信じている。 工場で働く者の中に 偶然、一児の母となっているリースを発見。 トビアシュは、ストーカーと呼びたいくらい、 執拗に、こっそり、リースを追いかける。 あまりの一途さに 気持ち悪いと思いながらも、なぜか目が離 . . . 本文を読む
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No33「血と骨」崔洋一監督

これが、 「金俊平」という ひとりの男の人生なんか。 エンディングロールが流れてきて 映画の重みがずしりとのしかかってきた。 金俊平を演じるビートたけしのオーラの凄いこと。 画面にぬっと立っただけで、 全身から、怖さがにじみ出ている。 一体、彼の凶暴さは、どこから来るのか。 あたりかまわず暴力をふるっていた彼が 葬式で、力あまって倒れこみ、そのまま立てなくなる。 その時の、 呆然とした表情と . . . 本文を読む
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No32「珈琲時光」侯孝賢監督

東京へ行って 山手線のホームの放送を聞き 電車の揺れに身を任せ 御茶ノ水の高架の電車の風景を眺めてみたい。 この映画に 何かが起こることを期待してはいけない。 一人の女の周りに流れている「日常のある時間」を切り取っただけ。 たゆたうような時の流れ。 それぞれの登場人物が 表には出さないが 何かややこしいことを抱えていることは なんとなく感じる。 しかし、とりたてて何も起こらない。 平凡そうに . . . 本文を読む
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No31「笑の大学」星護監督

役所広司と稲垣吾郎、 二人の役者の全身全霊の演技で、 見事な密室劇が生まれた。 場所や、時間の経過を「タイトル」で伝えたり、 規則的に挿入される劇場前のどんちゃん風景など 安易なつくりかたに感じられ、はじめ、戸惑ったが、 いつのまにやら、 二人の掛け合いの世界に笑ったり、はらはらしたり。 役所広司演じる検閲官が 台本の世界にのめりこんでいくにつれ、 映画の空気もどんどん濃密になって 観客をひき . . . 本文を読む
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No30「春夏秋冬そして春」キム・ギドク監督

「春」の少年の、愛らしい表情と幼いゆえの残酷な行い。無邪気な泣き声。 「夏」の青年の、青春のエネルギーのはじけるような高まり、  思い込んだらまっすぐの、おさえきれない性のエネルギー。別れの号泣の涙。 「秋」の30代の男性の、嫉妬で荒れ狂う心と、やがて得られる平安。 「冬」の壮年の男性の、たくましさ。芯の強さ。訪れる女の弱さと不気味さ。 誰も言葉少なく、 どんな人間かまるでわからない。 まるで . . . 本文を読む
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No29「中島貞夫監督特集」その1

「くの一忍法」1964年 中島貞夫の監督初作品。あの倉本聰と中島貞夫が脚本。 豊臣の子供を腹に宿した侍女たち(実はくの一) 窮地におちいり、 忍法で、別の女の腹の中に 胎児をあずけ替えるなんて、 奇想天外。 「露枯らし」など、笑ってしまう忍法が次々。 政治のために 武士の男たちに利用されてきた女が 反旗をひるがえす。 豊臣に嫁ぎながら、徳川の家に戻らされた千姫の 最後の不敵な笑みが心に残る。 . . . 本文を読む
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