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№10「宗方姉妹」小津安二郎監督

 姉(田中絹代)と妹(高峰秀子)。姉の夫(山村聡)は失業中で飲んでばかり。古風な考え方の持ち主の姉は、それでも夫に尽くそうとするが、気持ちが通い合わない。そんなとき、姉のかつて結婚を望んだ人(上原謙)が留学先のフランスから帰ってくる。  姉の古い考え方を嫌う妹は、さっさと別れちゃいなさい、と姉をけしかける。姉もとうとう、心を決め、夫に伝えようとした矢先、夫は心臓麻痺で急死してしまう。  いつまでも . . . 本文を読む
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吉田喜重監督講演「他者としての自分を語る」8月28日

大阪市、(財)大阪都市協会主催の「映画連続講座」の第2弾。 1995年に吉田監督がテレビ番組として撮ったドキュメンタリー作品「夢のシネマ 東京の夢」の上映後、1時間ほどの講演とビールを飲みながらのざっくばらんな質疑。 監督にとって、映画とは、その意味がどこまでも開かれた表現である。 だから、完成して、観客の目にさらされた時点で、作り手としての自分の手を離れ、 観客それぞれが、その意味を考え、決定 . . . 本文を読む
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№10 「子猫をお願い」チョン・ジェウン監督

 新しい女性監督の登場だ。省略しつつも要所を押さえたストーリー展開はお見事。貧富の差や、女性蔑視といった、韓国社会の暗い部分も描き、20代の女性の喜びも悲しみも苦しみも生き生きと綴った。  主演は、「ほえる犬は噛まない」のペ・ドウナ。大きな瞳が、無言のうちに何かを語るのが魅力。  高校生の親友5人の卒業後を描く。親友といっても、境遇はさまざま。親にこき使われる娘の思い。極貧で職も見つからず、両親に . . . 本文を読む
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№9「キング・アーサー」アントワン・フークア監督

 7人の騎士が、馬に乗り、敵を見下ろす丘に並んで立っている。はためくのぼり旗。多勢に無勢、他人のために戦い、自己犠牲を厭わぬ騎士道精神。といえば、思い出されるのは黒澤明監督の「七人の侍」。それもそのはず。アントワン・フークワ監督は大の黒澤ファン。アーサー王伝説を基に、舞台を古代ローマ帝国の支配下にあったイギリスに置いて、迫力満点に描いた「キング・アーサー」。  みどころは、氷上の闘い。みしみしと . . . 本文を読む
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№8-1(監督編)廣木隆一監督 ヴァイブレータ

 前半は、寺島しのぶの独白の字幕が妙にひっかかったが、後半、定食屋で、寺島しのぶと大森南朋が向き合う昼飯のシーンから俄然、濃密な空気が漂い、凄くなった。大森が丼をかきこみ、食欲のない寺島を心配する。どこか、かっこつけていた二人が、初めて、お互いに打ち解けあい、ほどけた空気が流れるという様子を、ロングにひいたカメラがじわじわと二人に寄っていく、長回しのカメラで迫る、そのシーンがすばらしかった。  ラ . . . 本文を読む
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№8 機関車先生 廣木隆一監督

 伊集院静の同名小説の映画化。剣道の試合のけがで口がきけなくなった先生が瀬戸内海の離島に赴任する。設定は、戦争の爪あとも生々しい昭和30年代。白黒テレビに子供たちが集まり、月光仮面の実写番組が人気を博した頃。島にいるのはたった7人の子供たちで、二十四ならず、十四の瞳なのだが、その表情がすばらしい。集団シーンではいまひとつ、動きの精彩さを欠くのだが、一人で先生や、大人と向き合った時のアップのシーンで . . . 本文を読む
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№7 月の輝く夜に(Moonstruck) ノーマン・ジュイソン監督

1987年の作品。ロマンティック・コメディそのもの。メインは恋物語だが、主人公の家族、ニューヨークに住むイタリア系家族で、父、母、祖父、叔父、叔母の風景が、ほのぼのとしていて、実にみどころ。祖父は、やせこけた老人だが、いつも5匹の犬たちを連れて散歩している。月の美しい夜は、誰もが恋の炎を燃やす、年取った叔父、叔母の会話も味がある。浮気している父に、母がとうとう、ちくりと言うのもいい。家族の味が、 . . . 本文を読む
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No6 69(シックスティナイン)

 若者パワー全開。主演の妻夫木聡と安藤政信が、猪突猛進に、自分の信じたことを思いっきりやって、はじける高校生。なんとなく仲良くなって、思いっきりぶつかり、理解しあう友情がいい。二人の演技、半端じゃない。警察から逃げ、全共闘のヘルメット集団から逃げ、教師から逃げ、とにかく二人はよく走る。その駆け抜ける姿が実にさわやかで、気持ちがいい。  一方、どじでとりえのない岩瀬は、よくこける。ペンキの缶を持って . . . 本文を読む
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NO5 チルソクの夏 佐々部清監督

 こんなに心にしみる「なごり雪」の歌を聞いたことはなかった。  毎朝、新聞を配り、海に面した小さな神社の前で手をあわせる高校生の少女。主役の水谷妃里は、凛とした存在感で、本作品の基調色、清楚な白。ここに、3人の女友達たちが、赤、黄色とさまざまな色を付け加える。  監督が、ある程度、陸上ができる女優を選んだだけあって、彼女たちが、目標に向けて、走りこみ、地道に練習を重ねる風景は、ひたすら美しく、青春 . . . 本文を読む
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番外編 蓮實重彦氏 講演 

テーマ「映画と『動くこと』-その考古学的考察」 主催:大阪市、(財)大阪市都市協会の「映画連続講座」第1回。    そもそも、映画とは、動くもの、動きをとらえることから始まった。1995年、リュミエールが最初にフィルムに撮ったのは、列車の到着の光景だった。  「動いてるものを映す」、「列車など動いているものから動かない外の風景を映す」、「動いている列車から、動いている車を映す」、さまざまな撮り方が . . . 本文を読む
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No4 海猿 監督 羽住英一郎

 海上保安庁の若者たちが、潜水夫の訓練を積み、人間的に成長していく物語。  プールで、海で、輝く太陽のもとで、競い合いながら、鍛えぬく男たちの肉体があって、そこに主題歌のJOURNEYの「Open Arms」が流れれば、ドラマチックにならないわけがない。みどころは、訓練シーンの力強さ。  教官役の藤竜也の寡黙な存在感も見逃せない。  地上での、ライバルや恋人といった、ありきたりな物語よりも、海の中 . . . 本文を読む
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No3 ヒッチハイク 溺れる箱舟

監督は、横井健二。 怖い、怖い映画。 破綻寸前の夫婦が ヒッチハイクしていた男を 車に乗せる。 その男が、実は、猟銃を隠し持った、 狂人だった。 夫婦二人をやたら、車で連れまわす恐怖のドライブ。 関わる人間には、容赦なく猟銃をぶっぱなす。 その無軌道ぶりと、 ねちねちと、夫婦をいびるいやらしさに、 なんて野郎だと、正直、腹が立った。 演じる小沢和義の、すわりきった目。へらへらした口元。 さめき . . . 本文を読む
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No2 白いカラス

原題は「人間の染み」(The Human Stain)。 観終わった後、雪がしんしんと静かに降り続けているような 深い悲しみに包まれた映画。 アンソニー・ホプキンス、ニコール・キッドマンの 眼の奥に隠された悲しみの深さ、 人生の寂しさが漂ってくる。 差別発言で教職を追われた、 元大学教授コールマン・シルク(アンソニー・ホプキンス)。 暴力をふるう元夫に今もつきまとわれ 脅えながら、大学の掃除婦 . . . 本文を読む
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No1 「犬と歩けば チロリとタムラ」

恋人に振られて、路頭を迷う青年が捨て犬を拾う。 偶然知った、セラピードッグ養成学校のドアを叩く。 そこから、青年の人生がゆっくり、開き始める。 もちろん、この青年が主人公なのだが、 この犬を贈られた恋人の家族ドラマが 最大のみどころ。 恋人には、ひきこもりの妹がいて、 ドア一枚を隔てて二人が向き合い、言葉をぶつけあうシーン。 二人の切ない、苦しさでこらえきれない表情を アップで交互にとらえ . . . 本文を読む
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パラパラ映画手帖とは

 パラパラ映画手帖とは、 暑い日に、窓から入ってくる涼しい風、 寒い日にのお日様のぬくもりのように、ほわっと、人の気持ちをいやしてくれる映画だよりです。  映画は、そもそも、絵が動くものとして始まりました。パラパラ漫画もその一つです。  ノートの端っこに落書きした、パラパラ漫画をめくるように、堅苦しくなく、気軽にパラパラ読めて、パラパラ心地よくなる。 そんな、映画の魅力を、コンパクトにまとめて、エ . . . 本文を読む
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