映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No572『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』~凄いエネルギー。でもガラスのようにもろい三人の旅~
2010-06-15 / 映画
観終わって、思わず、カヨちゃんじゃないけれど、
ううぅぅぅっと唸りたくなるような
パワフルでエネルギーにあふれているけれど
救われようのなさと絶望感に絶句してしまう。
でも、真っ暗というわけではなく、
たくましく生き抜こうとする図太い力も、伝わってくる。
「命」という字を、小さな2センチくらいの円の中に
何十個も書いたら、何重にも重なり合って、ひしめきあって
読めなくなってしまう。
そんな窒息しそうな、ぎゅうぎゅうづめのところから、
抜け出せない若者たちの叫び。
養護施設で育ったケンタとジュン。
中学を卒業してずっと解体工場で働いているが、
先輩からの、度をこえたいじめに耐えかねて、
とうとうケンタが爆発する。
深夜、ジュンと一緒に
工場の事務所も先輩の車も全部、
ぼこぼこに壊して、逃走の旅に出る。
向かうはケンタの兄が収監された網走。
カヨちゃんは、
自分が美人でもないから誰にも愛してもらえないと思い込んでいる。
だから、誰かに愛してほしいとずっと願っていた。
ジュンにナンパされ惚れ込むが、ジュンにはその気がない。
しかし、偶然の縁で、二人の旅についてきてしまう。
二人が、何もかもこわしたくなるエネルギーが尋常ではなく
狂ってると思いながらも、
その得体の知れないエネルギーは、
私自身と全く無縁のものにも思えず、
どこかで共感している自分がいた。
彼らは、堅くて強い岩石のような殻でもって、
ガラスのようにもろい心と純粋な魂を
守ろうとしているようにみえる。
まわりの仕打ちに、とうとう耐え切れなくなり、
臨界点に達し、旅が始まる。
それにしてもカヨちゃんを演じた安藤サクラはすごい女優の顔をしていた。
子犬のように愛に飢えた女の子が
最後に立ち上がる時、大人の女の顔へと変貌している。
洞口依子さんもほんの数ショットなのに、あの目はすごかったし、
新井浩文がクレイジー極まりない先輩を演じていたとは、
終わってクレジットをみるまで気付けなかった(恥ずかしながら)。
このいじめの構図は、今の日本社会の縮図のようでもあり、
なんだか、胸の中で、
くしゃくしゃと何かが強くからみあい、固まってしまったような、
胸がつかえる感じがした。
そのからみあった強さが、あまりに強烈で、その強度に驚かされる。
一体どこまで行けば、自分たちがちゃんと生きていける国を
見つけることができるのだろう。
その答えは、きっとカヨちゃんのあの顔にあるのだろう。
ううぅぅぅっと唸りたくなるような
パワフルでエネルギーにあふれているけれど
救われようのなさと絶望感に絶句してしまう。
でも、真っ暗というわけではなく、
たくましく生き抜こうとする図太い力も、伝わってくる。
「命」という字を、小さな2センチくらいの円の中に
何十個も書いたら、何重にも重なり合って、ひしめきあって
読めなくなってしまう。
そんな窒息しそうな、ぎゅうぎゅうづめのところから、
抜け出せない若者たちの叫び。
養護施設で育ったケンタとジュン。
中学を卒業してずっと解体工場で働いているが、
先輩からの、度をこえたいじめに耐えかねて、
とうとうケンタが爆発する。
深夜、ジュンと一緒に
工場の事務所も先輩の車も全部、
ぼこぼこに壊して、逃走の旅に出る。
向かうはケンタの兄が収監された網走。
カヨちゃんは、
自分が美人でもないから誰にも愛してもらえないと思い込んでいる。
だから、誰かに愛してほしいとずっと願っていた。
ジュンにナンパされ惚れ込むが、ジュンにはその気がない。
しかし、偶然の縁で、二人の旅についてきてしまう。
二人が、何もかもこわしたくなるエネルギーが尋常ではなく
狂ってると思いながらも、
その得体の知れないエネルギーは、
私自身と全く無縁のものにも思えず、
どこかで共感している自分がいた。
彼らは、堅くて強い岩石のような殻でもって、
ガラスのようにもろい心と純粋な魂を
守ろうとしているようにみえる。
まわりの仕打ちに、とうとう耐え切れなくなり、
臨界点に達し、旅が始まる。
それにしてもカヨちゃんを演じた安藤サクラはすごい女優の顔をしていた。
子犬のように愛に飢えた女の子が
最後に立ち上がる時、大人の女の顔へと変貌している。
洞口依子さんもほんの数ショットなのに、あの目はすごかったし、
新井浩文がクレイジー極まりない先輩を演じていたとは、
終わってクレジットをみるまで気付けなかった(恥ずかしながら)。
このいじめの構図は、今の日本社会の縮図のようでもあり、
なんだか、胸の中で、
くしゃくしゃと何かが強くからみあい、固まってしまったような、
胸がつかえる感じがした。
そのからみあった強さが、あまりに強烈で、その強度に驚かされる。
一体どこまで行けば、自分たちがちゃんと生きていける国を
見つけることができるのだろう。
その答えは、きっとカヨちゃんのあの顔にあるのだろう。
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