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No631『雷桜』~蒼井優はみごたえ十分~

蒼井優が演じる雷はすごい。 馬に乗って野山を駆け回る野性味あふれる少女で、 感情をストレートに出し、泣きじゃくったり、 ぴったりな役柄だ。 ただ、それ以外は、私にはもの足りなかった。 ちょうど、京都映画祭で どっぷり時代劇に浸った直後だったせいか、 「殿」と呼ぶ声一つとっても、軽く聞こえ、 柄本明演じる殿のお守り役が 殿に自戒を迫るため切腹するシーンにしても、 いきなり唐突すぎて、びっくりした。 . . . 本文を読む
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No630『どたんば』~闇の中、泥まみれの救出劇~

テレビ放送が始まったばかりの昭和31年に 三國連太郎主演で、全編生放送のスタジオドラマとして撮影されたものを映画化。 ある炭坑で起きた落盤事故を軸に 4日間にわたる救出劇を描く。 橋本忍脚色、京都文化博物館での内由吐夢監督特集の1本。 みごたえのあるドラマで、上映後は、拍手が鳴り響いた。 梅雨時、縦坑から水漏れがしていたかと思うと、 一気に水が溢れ出し、 坑内の採掘場(切羽)に5人が生埋めになっ . . . 本文を読む
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No629『十三人の刺客』~意外と楽しめたリメイク作~

「三池監督の腕が落ちた」とか、 「同じ時間観るなら、旧作を観た方がいい」とか、 「前半はいいけど、後半はチャンバラじゃない」と 否定的な意見を聞いたり読んだりして 観るのはやめようとほぼ思っていたのが、 大好きな旧作を、三池監督がどう料理するか、 気になるところ。 この夏、旧作を観たばかりで、記憶も新しい中、 いちかばちか、賭けの気分で、レイトで観てきた。 帰りは最終電車にぎりぎりセーフという時間 . . . 本文を読む
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No628『ベンダビリリ!~もうひとつのキンシャサの奇跡~』~音楽があればこそ~

Benda Bilili! とは、リンガラ語で、 「外側を剥ぎ取れ=内面を見よ!」という意味だそうだ。 すごく大胆な言葉だ。でも、なんだかとってもいい。 コンゴ民主共和国(アフリカ大陸の中央西寄り)の 首都キンシャサ。 日本の車椅子のように、車輪を手で直接回すのでなく、 自転車のようになっていて、 ハンドル部分に、手で回すペダルのようなのがあって、 それを回して進む。 障がい者という感じにはみえ . . . 本文を読む
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No627『北京の自転車』~17歳の少年たちを隔てる壁~

農村から北京に出てきて、自転車宅配便の仕事を得たグイの 自転車への執着は、尋常じゃない。 生まじめで、頑固。 ほとんどしゃべらず、黙々と働く。 颯爽と自転車に乗って働くグイの姿を淡々と描く。 グイと 北京の高校生、同じ17歳の少年ジェンは、 同じ自転車をめぐって、出会い、激しくぶつかりあう。 グイは、目標を達成して自分のものになる寸前に 自転車を盗まれてしまう。 グイにとって、自転車は、都会で . . . 本文を読む
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No626-2『私は猫ストーカー』鈴木卓爾監督語る~京都映画祭~(その2撮影のことなど)

冒頭、星野さんが猫を追いかけて 商店街を蛇行しながら歩いていく。 その歩き方、テンポをみて このテンポでつながれば、映画ができるなと安心した。 ラストも、猫が坂道を走っていく走り去り方をみて ここで終われるなと思った。 人間の芝居の中に猫を登場させようとして 猫が出てくるのを待つと時間がかかる。 けれど、これは猫本位の出たとこ勝負の映画で 意外に撮影に時間はかからなかった。 現場には小さいモ . . . 本文を読む
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No626-1『私は猫ストーカー』鈴木卓爾監督語る~京都映画祭より~(その1猫のこと)

いったい何匹の猫が登場しているのだろう。 すてきな音楽とイラストでメルヘンのようで、 谷中の町の空気が伝わり、一緒に歩いている気持ちになる。 主人公ハルがとってもすてきな作品。 去る9月に京都映画祭で上映され、 鈴木卓爾監督のトークがあったのでご紹介したい。 原作となった 浅生ハルミンの「私は猫ストーカー」は 生の猫にアプローチしていく、猫追っかけのエッセイ。 ハル役の星野真理さんが猫をスト . . . 本文を読む
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No625『おにいちゃんのハナビ』~いっしょにいること~

日本海が好きで、山陰、北陸、上越、東北と 裏日本に心ひかれる。 就職したばかりの頃、あこがれの東北を旅した。 といっても、貧乏旅で 夜行で大阪から新潟へ出て、 その後は、ずっと鈍行列車で北上。 十和田湖のあたりで西に進み ほとんど電車に乗っているだけの旅だった。 待ち時間の1時間余り 早朝の新潟駅周辺を歩きまわった。 きれいな街だった。 以来、新潟県を訪れる機会もなく、 いつかゆっくり行きたいと思 . . . 本文を読む
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休憩タイム~むにゃむにゃ、ぼそぼそ、ひとりごつ

長いこと映画を観ていない。 といっても1週間とちょっとのことなのだけれど ここ2、3年かなり精力的に映画を観始めてからは めずらしいこと。 未見だったルノワール監督の旧作上映をみそこねて、 ルノワールを見落とすなんて、とんでもないことと いいたいが、それもまた、時の縁で、しかたないと 忘れるしかない。 『南部の人』の蜂蜜入り珈琲は心の中に 温かな映像としてとどめておこう! そういえば、ジャック . . . 本文を読む
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No624-2土本監督特集トークその2~大津撮影監督、小林監督に山根さんが迫る~

監督の水俣第1作『水俣 患者さんとその世界』(71年)は、 患者さんたちの遺影から始まる。 遺族が故人の写真を前に、発病から死までの経過を 証言する。 撮る前に、何をどう撮るのかについて、 監督と大津キャメラマンとで打ち合わせするのか、 との山根さんの問いに、大津さんは、 前夜、飲みながら、どの家に行こうという程度は決めておくが、 細かい打ち合わせはしていないと答えた。 とにかく、訴訟している . . . 本文を読む
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No624-1土本監督特集トークその1~大津撮影監督、小林監督に山根さんが迫る~

今年9月に神戸映画資料館で開催された 「水俣」シリーズの土本典昭監督の特集上映のゲストとして 大津幸四郎さん(監督、撮影監督)、 小林茂さん(監督、撮影監督)が来られて、 映画評論家の山根貞男さんを聞き手にトークがありました。 ドキュメンタリー映画の真髄に迫る とても興味深いお話でしたので、ご紹介します。 土本監督は、担当していたテレビ「ノンフィクション劇場」で たまたま水俣病をとりあげることに . . . 本文を読む
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No623『阿賀に生きる』~いのちの温かさを感じる~

ずっと観たかった作品。 神戸映画資料館での特集でやっと観ることができ、感慨もひとしお。 ずっと書きたかった。やっと書けるのが嬉しい。 こういう映画が私は好きだなあと心底思う。 出てくるのは、新潟のおじいちゃん、おばあちゃん。 阿賀野川流域で お米を育てたり、餅をつくったり、川舟をつくったりする 夫婦3組の日常を丁寧に撮っていく。 スタッフたちは、この映画を撮るために 近くの家に住み込んで、田んぼ . . . 本文を読む
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No622-2『ANPO』監督トーク~アーティストが描く60年安保闘争をたどる~

今年9月に神戸映画資料館で 「水俣」シリーズの土本典昭監督の特集上映が行われた際、 『ひろしまを見たひと 原爆の図 丸木美術館』では 丸木位里、丸木俊夫妻の「原爆の図」が 『はじけ鳳仙花 わが筑豊わが朝鮮』では 富山妙子さんのリトグラフの絵が アップになり、その細部が映像にとらえられていた。 映画は、監督、カメラマンの思考の跡をたどるように 絵の上を進んでいく。 まるで時間軸にそって並べられたコラ . . . 本文を読む
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No622-1『ANPO』~反戦、安保にかかわる絵画や、映画の断片を集めたコラージュ~

タイトルが風変わりで、なんのことかと思ったが 日米安保条約のアンポのこと。 在日のアメリカ人女性が監督したことで、こんなタイトルになった。 反戦映画であり、安保条約締結以降の日本とアメリカのありようについて 疑問を呈する。 と硬いことを書いたが、 反戦、安保にかかわる絵画や、映画の断片を集めたコラージュ。 NYで日本からのアーティストの通訳をやっていただけあって 豊富な人脈に支えられ、各界の作 . . . 本文を読む
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訃報 我らが重吉さん、逝く…

10月8日、池部良さんが亡くなられた。 池部さんといえば、『青い山脈』とかでの 甘いマスクの二枚目俳優と思っていた。 その印象をくるっと変えたのが、 マキノ雅弘監督『昭和残侠伝 死んで貰います』1970年。 池部さんは50歳過ぎ。 演じるのは、 高倉健が出所して住み込む料亭「喜楽」の板前の風間重吉。 料亭の権利書をめぐるいざこざの中で 恩人の命をだましうちで奪われ、 最後は、刀を片手に、健さん . . . 本文を読む
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