大阪、中崎町のプラネットで夏の終わりのハワード・ホークス特集が始まった。標題作のほか、『ハタリ!』『リオ・ロボ』『赤ちゃん教育』の4本。釣道具店の店員で入門書まで書いたロジャーは実は、人から見聞きした知識だけで、実際に釣りをしたことがない。秘密を抱えたまま、美人女性2人とともに、釣り大会に参加するはめになり…というスクリューボール・コメディ。ロック・ハドソン演じるロジャーとポーラ・プ . . . 本文を読む
午前十時の映画祭の1本。日曜日、早起きして西宮へ。フランソワーズと呼ばれる少女と、青年ピエールとの出会いは、夜の駅。泣きじゃくる少女と父親の様子をみて少女を慰めようと、青年がポケットから少女に差し出した時に青年が言った言葉は「星のかけら」だったろうか。寄宿舎つきの学校に預けられ、姿を消してしまった父親の代わりにピエールは、毎週日曜日に、少女に会いにいって湖畔で散歩を重ねる。
戦争で記憶をうしなっ . . . 本文を読む
パペットアニメだというのに、この表情の豊かさは何なんだろう。狐たちの瞳にきちんと光が当っているのが見えたり、顔の1本1本の毛並が揺れているのが見えたり細かなまばたき。人形が人形にみえず、人間のように、実に表情豊か。逆にいえば、表情があるから、わかりやすくておもしろいのかもしれないがしかし、この表情をどう生み出しているのかと考えると涙ぐましく、ともかく、観客のハートをつかむ、すてきな表情なのだ。狐と . . . 本文を読む
街からみえる、突き立った崖だとか、車が次々と通り過ぎる映像も、本当に、どこか、当時のエジンバラの街を歩いているかのような気分になる。エジンバラに行ってみたい。車の動きからして、どこがどうだからと説明できないけど、すてきというしかない。
アリスはほとんどしゃべらないし、タチもしゃべらない。誰もほとんどしゃべらないけれど、すごく豊かに伝わってくる。観終わっても、ずっとまるで心の中の映写機が、静かにカ . . . 本文を読む
とてつもない巨悪を相手に、人は、正義のため、屈することなく、告発する勇気を持てるか。古典的なテーマだ。
命の危険もかえりみず、勇気を持って立ち上がった娘を思い刑事である父、メル・ギブソンは、犯人を追いかける。たった一人の家族である、最愛の娘を喪った今、ギブソンにとって、怖いものはない。家族のため、息子がいるからと、いろんな理由で、沈黙を余儀なくされる同僚仲間をよそに、敵の権力の大きさにひるむこと . . . 本文を読む
83分という、近年、短めの上映時間だというのに、観終わって、とてつもなく濃密で長い時間を過ごした気がした。
これほど、映画を観ること、スクリーンで映画と対峙し、映画の音を、映像を感じることが、今、自分が生きている時間と重なり合っていることを痛感したことはない。それは、主人公が一言もしゃべらず、その名前はおろか、経歴も素性もわからず、主人公の主観ショットが前半少しだけあるから、というわけでもない。 . . . 本文を読む
すっかり涼しくなり、外では虫たちが大合唱。虫の音といえば、タイ映画で、2010年カンヌでパルムドールを受賞した本作が高槻セレクトシネマで昨日からの2週間上映。ここの大スクリーンで観ると、夜明けの薄暗闇の中、牛がつながれている冒頭のシーンにしても後半の森の中に入っていくシーンにしても、どれも、ただもう、その美しさ、闇の深さ、得体の知れなさ、不思議さを体で丸ごと感じることができ、ただただ至福といってい . . . 本文を読む
午前十時の映画祭で、今週、なんばでは、朝だけでなく、夜9時半からの上映もあるので、遠方の方もぜひ金曜とかに挑戦してほしい。アガサ・クリスティの短篇小説を原作とするビリー・ワイルダー監督の法廷ミステリー。タイトルだけは、昔から知っていたが、観るのは初めてで原題は『Witness for the Prosecution 』(1957)だからこのタイトル、最後まで観終って納得のうまさ。結末には、本当にび . . . 本文を読む
元町映画館で、設立1周年記念ということで、今日から1週間の上映。午後6時45分の『ミツバチのささやき』は、結構お客さんも多く若者の姿、友達同士やカップルもあったりで、嬉しいこと。フィルムがつくづくいいなあと思うのは、本当に暗いシーンが多く、暗闇からうっすらと浮き上がる窓の光や人のシルエットが本当に美しい。荒野の向こうの隠れ家の土壁のがさがさした感じとか…。
『ミツバチのささやき』で . . . 本文を読む
今週金曜日で、上映が終わるとのことで夜の上映がある茨木のワーナーマイカルまで仕事の後、えっちらおっちら、行って来た。客層は、初老の人が多く、杖をついた人が何人かいて原田さんを観に来たのだなあと感慨深い。
歌舞伎の舞台が、本当にうまく映画になっているとあらためて実感した。舞台袖から、大楠が舞台上の原田芳雄を見ているシーンがあってその後、大楠が「許してくれなくてもいい」とつぶやくように、話しかける。 . . . 本文を読む
冒頭からいきなり、狼に囲まれて、斧を投げて闘うホルスの姿で始まる。病床の父親が死に際に、旅に出て人間の住む村へ行け、と言い残したりホルスの設定は、コナンにとてもよく似ている。
コナンの方がより超人的で、ジムシーというすてきな友達がいるのだが、ホルスには、コロという、熊の友達がいる。ヒロインのヒルダには、リスとフクロウの友達と、どちらも動物だ。モーグという巨人の岩男が出てきたりしてラピュタを思い出 . . . 本文を読む
高槻セレクトシネマでの「ジブリの原点傑作選」の1本。なんとまあ、おもしろいことか。「びっくりしたニャ、びっくりしたニャ、びっくりした、びっくりした、びっくりしたニャ」と井上ひさしも作詞に参加した主題歌が、ずっと頭の中をリフレインしている。「びっくりしたチュー」とねずみ版の替え歌もあって、なんと楽しいことか。
ペローが、ローザ姫の結婚相手に、小作農の三男ピエールをと、計画を練る。ローザ姫にベタ惚れ . . . 本文を読む
高槻セレクトシネマで、明日から、「ジブリの原点傑作選」が始まります!
「太陽の王子 ホルスの大冒険」「長靴をはいた猫」とどちらも、なかなか、映画館の大きなスクリーンでは観ることのできない作品ばかりです。
土曜の晩からは、なんと「ルパン3世 カリオストロの城」も含めて3本の上映でのオールナイト。劇場サイトによると、オールナイトの販売済みの整理券はまだ20番位とのこと。それでも、2つのスクリーンの . . . 本文を読む
少し前のことになってしまうが、山本政志監督のお話を聞くチャンスに恵まれた。現在、九条のシネ・ヌーヴォXで上映中の『スリー☆ポイント』について。東京篇“SWITCH”では、妻子を事故で亡くした男(村上淳)と、男の死んだ妻を演じる女(蒼井そら)との奇妙な共同生活が描かれる。「多摩川の横移動、おもしろいでしょう。カミさんと喋っているのを横移動して…、ああいうのをもっ . . . 本文を読む
7月30日の土曜、シネ・ヌーヴォでのレイトショーでの上映後山本政志監督のトークが行われました。ヌーヴォの8.9月スケジュール誌に添えた案内文で、「やんちゃ男・山本のどこに行っても友達になれる才能(?)が見事に花開いています」との言葉どおり、山本監督は、人前に立ってしゃべる時は、とてもざっくばらんで、一見ちゃらんぽらんなようにもみえるけれど映画に対する姿勢は、極めて真摯で、厳しく、映画でしかできない . . . 本文を読む