『飢餓海峡』は、
1年程前に初めて観て、左幸子さんの演技に感動したのを記憶していた。
今回、重々しい内容と3時間を超える長さに、
トークだけ聞いて、他の劇場でマキノ映画を観ようと思っていたが、
トークを聞いてしまうと、やっぱり観たい。
もう1回観た。
観てよかった。
伴淳三郎が凄い。
ラストのお経をあげる声に涙が出た。
ふりしぼるような重苦しい彼の声があるからこそ、
三國が自ら命を断つ、という思 . . . 本文を読む
この週末、久々に東京に行ってまいりました。
池袋、新文芸座の8周年記念企画。
「若者よ、1本の映画が人生を変えることもある!-野上照代が選んだ映画たち-」
少し大仰なタイトルですが、黒澤明監督のスクリプター(記録)として
長年活躍されてきた野上さんが、日替わりでゲストとトーク。
その日のゲストは、三國連太郎さん。
三國さんといえば、相米監督の『夏の庭 The Friends』(1994年)。
昨 . . . 本文を読む
まずは、大津さんのお話から。
土本監督は、海と魚と人間の関係、循環性を探っていた。
『水俣 患者さんとその世界』のタコをとるおじいさんも、
素足で海に入り、自分の目でタコと話をし、
自分の手(槍)でタコを捕まえる。
あいさつのようにタコの目をくわえると、
口のまわりでタコが暴れる。
タコを慈しんでとる姿からうかがえる、
人間と海とタコの関係のおもしろさ。
「タコは唐揚げが一番上手いんだよ」とおじい . . . 本文を読む
・・美しい海、美しい月、こんなすてきな映画があったなんて・・
昨日、日曜日の朝、九条ヌーヴォで
前日に続き、大津幸四郎撮影監督と
土本監督の奥さんをお招きしてのトークがありました。
まずは、『海とお月さまたち』(80年)の上映。
初めて観たのですが、すばらしかったです。
子供にもみてもらいたいし、大人にもみてもらいたい。
土本監督のエッセンスがこの50分に詰まっています。
海は、流れの激しい . . . 本文を読む
午後からは『不知火海』(1975年)の上映と
土本監督の奥さんと撮影監督、大津幸四郎さんとのトーク。
大津さんいわく、
そもそも、水俣シリーズでは
水俣の患者さんたちがどう生きていくのかが
一番の目的。
それを一人一人に当たっていく。
映画自体は闘争ではないし、
裁判のシーンも、いわば「グリコのおまけ」のようなもの。
水俣病も、認定を受けた患者さんもいれば
受けていない患者さんもいる。
でも、水 . . . 本文を読む
今日、今年6月24日に亡くなられた記録映画作家、土本典昭監督の
奥さんと撮影監督の大津幸四郎さんを招いての
追悼上映会がありました。
まずは映画デビュー作の
『ある機関助士』(1963年)の上映。
1962年5月3日、列車の三重衝突事故により
160人の死者が出る。(東京都荒川区の三河島)
国鉄当局は、安全性をPRするための映画を土本監督に依頼。
監督はあえて、事故が起きた常磐線を走る急行「みち . . . 本文を読む
1週間前に観たばかりで2回目の鑑賞。
前回、ひたすら、室内の光の美しさ、ろうそくの光、
カーテンやドレスの布、
うっすらとブルーがかった壁の色の美しさや
戸外での緑の美しさに圧倒された。
部屋には、絵画が飾られ、絨毯が敷かれ、
椅子、壷があちこちに置かれていて、
映像が、まるで1枚1枚の絵画のように、
整った構図の画面となっており、
なんと美しいこと。
そして、今回。
物語を知っているので、
. . . 本文を読む
溝口がこんなにすばらしかったなんてと、
今更ですが、実感。
久々に観た『近松物語』(宝塚シネ・ピピア)
何度も観ているので物語はすっかり覚えている。
つい先日、友達に教えてもらった、
ショット数、シーン数を数えながら観るというのを
試してみた。
長回しが多い溝口監督作品だからこそ
冒頭十分程、指折り数えられたが、
途中から数がわからなくなった。
とはいえ、シーンを数えるメリットは、
カットつなぎ . . . 本文を読む