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人間の感情をどう演じるか~塩田明彦監督著「映画術」から~

「人間の感情は常に複数あって、その複数ある感情のうちのどれかが今支配的になっている―――ものすごく怒っていても、急に笑いたくなったり、泣きたくなったり、「こいつを許している」と思っていたのになぜか感情が怒りの方向に突っ走っていったり、いろいろ複雑なことが起こるわけですよね。複数の感情が渦を巻いて一定しない。この感覚が大事なんです」塩田明彦監督著「映画術~その演出はなぜ心をつかむのか」からの引用であ . . . 本文を読む
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No1168『河内山宗俊』~「チョイと嬉しい」連中たち~脚本集の解説から引用

恥ずかしながら、初めてこの映画を観た時、どういいのがよくわからなかった。どの映画本でも、絶賛されている、夭折した天才映画監督山中貞雄の残した、今、全編通じて観ることのできるわずか3本のうちの、1本である。10年以上も前のこと、ツタヤも充実していなかったから、なかなか観る機会もなく、やっと上映の機会があった時には、喜び勇んで映画館に駆け付けた。しかし、正直、どういいのか、よくわからなかった。皆がほめ . . . 本文を読む
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山根貞男さんのお話~山中貞雄監督とマキノ雅弘監督~

日曜日、神戸映画資料館での「日本映画の黄金時代」特集があり、映画評論家の山根貞男さんのお話があった。正式には、15分ほどのトークしかなかったが、とても話し切れず、上映後、映画館の喫茶コーナーで缶ビールなどを飲みながら、10人ほどのお客さんで囲んで、お話が続き、とても楽しかったので、印象的だった話をご紹介します。マキノ雅弘監督は85歳で亡くなるが、’26年に18歳で監督デビューして以来、 . . . 本文を読む
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加速する口を止めるには…見ること、観察すること…

ゆっくりしゃべることは、優しさなんだと、その人の話す姿を見て思った。相手にわかるように、丁寧に、ゆっくりと、物腰も柔らかく話す。ときにユーモアもはさんだりしつつ、相手がちゃんと話についてきているかどうか、確かめながら話す。この3月から、仕事でお世話になっている白髪のその人は、丸顔で、温厚な人柄だから、よけいに、あったかさを感じさせる。そうですね~という相槌も、にこにこしていて、安心して聞いていられ . . . 本文を読む
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No1167-2『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』~林業の仕事と向き合う若者の汗と涙と、山の神秘~

どうしてこんなにおもしろいのか、やっぱり相手が「木」だからだ。農業と違って、とにかく木はでかい。危険でもある。一人じゃなかなかできない。チェーンソーを木の幹に当てる緊張感。、ミキミキと倒れてくる音、迫力、怖さ、全部リアルに迫ってくる。林業という仕事のスケールのでっかさ。 自分が手入れして植林した木々が 成長し、材木として商品となるまで、100年かかる。 子、孫の代まで考えて、丁寧に手間かけて . . . 本文を読む
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No1167-1『WOOD JOB!~神去なあなあ日常~』~テンポのよい語り口と笑いに包まれ青春パワー全開!~

三重県と奈良県の境にあるという“神去村”(かむさりむら)に行きたい!!とこの映画を観終わって、すごく思った。…が、架空の村なのだそうな。でも、ロケ地になった場所はちゃんとあって、三重県津市美杉村(現在は美杉町)。原作の三浦しをんの小説のモデルでもある場所。曽爾高原の東。大阪から電車で行くなら、松阪まで近鉄で行ってJR名松線に乗りかえ、終点の奥津駅まで約3時間。 . . . 本文を読む
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No1166-2『ドストエフスキーと愛に生きる』~パンフレットで見つけた言葉をもう一つ贈ります~

「きっと貴方たちも、人生の中でいつか言葉を話しかける魚に出会うはず。その言葉は、必ず理解できます。自然や科学の法則は関係ありません。だから勇気を出して、内なる声に従うことたとえそれが、世の中を支配している多くの者たちの声に逆らうことになったとしても」          スヴェトラーナ・ガイヤー 先ほどブログを書き終えて、もう一回、パンフレットを眺めていたら最終頁に、こんな言葉がありました。あわせ . . . 本文を読む
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No1166『ドストエフスキーと愛に生きる』~翻訳家の老女のたたずまいの美しさ…その半生をたどる~

「誰でも一度は言葉を話す魚に出会う」はっきりとした意味はわからないが、(もう一回観なくちゃ)神秘的で運命的な響きにとらえられた。84歳の翻訳家スヴェトラーナ・ガイヤーさんが語る、珠玉のような言葉の数々に魅せられた。「知性と感性は、年をとるほど磨かれる」のほほんと知らぬ間に、年ばかりとっていく私は、この言葉に、どれだけ勇気づけられたことか。青い瞳がきらきら輝いていて、落ち着いた風格、やさしい物腰、あ . . . 本文を読む
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No1165『ダラス・バイヤーズ・クラブ』~闘い抜いた男の“顔”の映画~

エイズで余命30日と宣告されたロン・ウッドルーフの実話の映画化。死と向き合い、見事に生き切った男の顔に圧倒された。 ロデオとヤクと女が大好きなテキサス・ボーイ。言葉も汚く、乱暴で、わがままで、はじめは、全然好きになれなかったが、映画が進むにつれ、どんどん引き込まれ、目が離せなくなった。「ゲイでもないのに、エイズになるはずがない」「誤診だ」とはじめは医者にくってかかったロンも、自らの体調の悪化に、 . . . 本文を読む
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桜の花の残した跡

桜吹雪という言葉があるように、桜の花が散っていく様子は、雪が降ってくるのに似ている。桜の花びらと雪と、どちらが重いのかわからないが、浮力と重力との狭間で、漂うようにふわふわと落ちていくさまは、桜も綿雪もよく似ている。雪は、大地に届けば、たいてい溶けて消えてしまう。桜も、どこか、そんなはかなさを感じさせつつ、点々と、薄桃色の跡を残す。黒々とした石碑の上、あるいは、神社の手水舎(てみずや)の水盤の上に . . . 本文を読む
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散りゆく花の美しさ

桜については、咲いている姿だけでなく、散っていく時の美しさについても、書いておきたい。 今日、久しぶりに再会した友達と、5歳の息子さんと一緒に山崎聖天まで行ってきた。JR山崎駅そばの離宮八幡宮は、落ち着いた風格で、狭い境内には、観光客らしき人が、2人ほどいるだけで、しんみりとしていた。友達を待つ間、境内のすぐ外に何十本と咲いているきれいな白い花(アヤメ科のシャガ)をぼんやり眺めていたら、ふいに風 . . . 本文を読む
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いつまでも咲き続ける桜を前に

「お前もどこかで出会った、お前の好きな桜があるだろう。一年に一度、桜が咲いたらその樹に会いに行くんだ。一年間に起きた出来事を静かに話しかけながら、好きな桜の樹を相手に一献傾けるのだ。そういうヤツのことを『桜人』と言うんだ、覚えとけ」 今日の読売新聞夕刊にさだまさしさんが「一年に一度会いに行く」と題して書かれた、エッセイで山本直純さんに言われた言葉として紹介されていた。 「 それから毎年、僕は大 . . . 本文を読む
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No1164『家族の灯り』~待ちつづける顔~

レオノール・シルヴェイラがひたすら美しい。失踪した夫を待ちながら、義理の両親とともに暮らす。ほとんどしゃべらない。けれど、その心境が、無言の表情から、たたずまいから伝わる。 冒頭、海岸の船をバックにたたずむ青年の姿が波の音とともに、絵のように美しく映された後、街のシーンに移ると、部屋の窓から、石畳の路を見つめているシルヴェイラ演じるソフィアの後姿。路のガス灯に火が入れられてゆく。ソフィアが、おも . . . 本文を読む
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独り花見

調子に乗って、今日も独り花見に行ってきた。かなり遅い時間で、寒かったし、迷ったけれど、ちょうど信号も青だったので、公園の方に向かう道へと渡ってしまった。公園入口の周辺のビルは、9時を回っているというのに、煌々と明かりがついていて、皆残業してるのだと思うと、お疲れ様と言いたくなる。金曜だし、花見客でにぎやかだろうから、多少遅くても大丈夫と市内の大きな公園に入った。 案の定、花見の帰りとか、これから . . . 本文を読む
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君が元気でいてくれたら、僕はうれしい~一片の真実~

こんなタイトルの映画かあったような、あるいは、こんなセリフが、映画の中にあったような気がするのだけれど、思い出せない。ネットで調べたら、「あなたが元気でいてくれたら、うれしい」という惹句はあった。『ペタル ダンス』(2013年)石川寛監督、宮崎あおい、忽那汐里、安藤サクラ、吹石一恵出演。でも、この映画、わたしは観ていない。しかたがないから、僕が思いつく情景を言葉にしてみよう。青い海、青い空。白い飛 . . . 本文を読む
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