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No143「シンデレラマン」ロン・ハワード監督

守るべきものがあるとき、人は強くなれる。 ジム・プラドックは、23歳で世界タイトルに挑み、負傷、惨敗。 負けを重ね、ボクサーのライセンスも剥奪。‘29年の世界大恐慌では全財産を失う。 3人の子供と妻との生活を支えるため、港湾で積荷の仕事をし、生活保護も受けた。 貧乏のどん底にいた30歳も間近のジムに、一度だけということで、試合のチャンスがめぐってくる。 父として夫としての家族の中でのありようと、厳 . . . 本文を読む
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No142「運命じゃない人」内田けんじ監督

見事な脚本。ぜひ運命のおもしろさをかみしめてほしい。 女の子をくどくこと、お金、という全世界共通のテーマを切り口に シチュエーションの妙、運命のあや、微妙な間を生かして 実に愉快で、ウイットに富んだ作品が生まれた。 . . . 本文を読む
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No141「サマータイムマシン・ブルース」本広克行監督

タイムマシンをつかって、過去や未来へいく映画はたくさんある。 しかし、「昨日」に行って、壊れる前の、クーラーのリモコンを取ってくる、 なんて発想があっただろうか。 「くだらね~」と一言では片付けられない、とんでもなく奇想天外なおもしろさが ここには広がっていた。 舞台は、セミが鳴き、じっとりした暑さに包まれた、大学のSF研究会の部室。 なぜか野球のシーンから始まるところも、意味ありげ。 ありとあ . . . 本文を読む
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No140「いつか読書する日」緒方明監督

強くたくましく、地べたに脚をちゃんとついて生きている美奈子。 「火火」に続いて、女優田中裕子の名演が光る。 牛乳配達という設定がすごい。 坂道と階段だらけの街。(西東市という架空の街が舞台となっているが、ロケは長崎市) 真っ暗の中を起きて、薄暗い早朝、一段一段、階段を踏みしめながら牛乳を配っていく。 階段を上る音。息が切れる音。牛乳箱に入れる音・・。 街の空気が伝わってきて、冒頭からいきなり映画の . . . 本文を読む
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No139「娘・妻・母」1960年成瀬巳喜男監督(成瀬特集その6)

~何気ない動作からうかがわれる決意~ ラストシーン、ふいにこみあげてくる涙に、戸惑いながらも止めようがなかった。 物語にはっきりした結末は要らない、とまで思わせてしまう成瀬。 母の行く末がみえないまま、唐突に物語は終わってしまう。 しかし、なんとかなりそうな明るい未来を予感させるから、映画は不思議だ。 舞台は、山の手の中流家庭。母(三益愛子)と三人の娘、二人の息子。 母と同居している長男夫婦に . . . 本文を読む
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No138「タッチ」犬童一心監督

キャッチャーマスクをつけてホームベースに座った南ちゃんの顔に、 ピッチャーマウンドから達也が思い切り投げたボールがまともに当る。 ゴン! 球の勢いにはじかれる南の身体。 一瞬、画面に映ったのは、真っ青の空に、風に揺れている電線が2本。 南に見えた風景だろうか・・。 この映像にふっと吸い寄せられた。 こんな感覚が私はとても好きだ。 原作に忠実につくるために、 はしょりながらも「物語」をなぞっていく . . . 本文を読む
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No137「はたらく一家」成瀬巳喜男監督1939年(成瀬特集その5)

~貧乏の話~ 映画評論家の蓮實重彦氏が、少年たちがでんぐり返りをするという、なんでもない場面に目頭が熱くなったと、話された。 一体どんなシーンなのだろう、興味深々で映画館に駆けつけた。 1939年(昭和14年)の作品。 成瀬監督は、「たいへん気持ちよく撮れた、好きな作品です。僕の一番よくわかっている貧乏の話ですからね」と回想している。 印刷工の父、内職に励む母、7人の子供に祖父母と、一家11人が . . . 本文を読む
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No136「愛についてのキンゼイ・レポート」ビル・コンドン監督

~キンゼイ博士、体当たりの人生~ センセーショナルな話題で一部マスコミに取りあげられていたが、 真面目で、研究心にあふれた動物学者キンゼイの人生に迫った、硬派な力作。 ~「キンゼイ・レポート」とは、 50年前、性について語るのもタブーだった、キリスト教社会のアメリカで 1万8千人にセックスについてのインタビューを行い、統計的にまとめて、 48年に「キンゼイ・レポート 男性版」を出版。学術書とし . . . 本文を読む
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No135「芝居道」成瀬巳喜男監督(1944年)(成瀬特集その4)

~芸道もので魅了する成瀬監督~ 芝居の道、一筋に生きる大阪、道頓堀の興業師・大和屋栄吉を演じているのが、 エノケンと並ぶ喜劇役者、古川緑波(ろっぱ)さんとは・・。 41歳とは思えない、やさしいお顔に、落ち着いたたたずまい、恰幅のよい体格。 大阪弁の暖かい響きに、一目ぼれ。 (余談だが、心理学者の河合隼雄先生に、声の感じがとてもよく似ていた) 女義太夫・花龍を演じる山田五十鈴も負けず劣らず、すば . . . 本文を読む
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No134「旅役者」1940年成瀬巳喜男監督(成瀬特集その3)

~馬になんか負けちゃいないぞ、藤原釜足の役者根性に乾杯!~ ラストシーンのなんと痛快なこと。 こんな作品が1940年、開戦直前につくられていたとは驚き。 ユーモア小説「きつね馬」を成瀬自らが脚色・演出。 笑いの中に、情もあり、テーマもしっかりこめられた、味のある一品。 以下、結末にふれてしまいますが、物語とみどころをご紹介します。 主人公は、旅回り一座の呼び物に登場する馬アオの「脚」役。 前足 . . . 本文を読む
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No133「歌行灯」1943年成瀬巳喜男監督(成瀬特集その2)

能のお好きな人にお薦めしたい1本。昭和18年。 能の名流、恩地源三郎と養子の喜多八(花柳章太郎)、鼓打ちの叔父が伊勢を訪れる。 喜多八は、若気の過ちで、ある老人を死に追いやってしまう。 勘当を申し渡され、謡を口にすることも禁じられた喜多八。流しの三味線弾きとなって、流浪の旅を続ける。 老人の娘お袖(山田五十鈴)が、芸者になったものの、芸事ができずに困っているのを不憫に思い、養父との誓いを破って、 . . . 本文を読む
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No132「七人の弔い」ダンカン監督

ファーストシーン。 緑美しい田んぼの横の線路を列車がこちらに向かって近づいてくる。 小さな駅に降りたった親子連れ7組。 今度は、真っ白なバスに乗って、延々と山奥に連れられていく。 ダンカンのつくりだす映画の世界の奥底に連れられてゆくような導入部。 たけし軍団の個性派俳優ダンカンの初監督作品。 子どもの命と引き換えに大金を手にしようという親が夏のキャンプに参加する。 実は、子どもは皆、親から虐待を . . . 本文を読む
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No131「NANA」大谷健太郎監督

ちなみに私は漫画の「NANA」を読んでいない。 でも、はまった。 ここには、ひたむきに夢を追いかける二人の女の子がいる。 大崎ナナと小松奈々(愛称ハチ)。 HYDE作曲のパワフルな音楽にのって、熱いハートが、強く、切なくも伝わってくる。 パンクバンドのボーカリスト、ナナ役の中島美嘉のとんがり具合いと 恋に一途で、能天気なハチ役の宮崎あおいの、ふっくらした柔らかさとが、 ちょうどいい按配で、まさに . . . 本文を読む
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No130「サヨナラ COLOR」竹中直人監督

日曜の夜。 市内中心部から少し離れた劇場は、いつもなら、がらがらのはず。 それが、どうしたことか、若者であふれている。 なぜ・・・? 竹中直人ってそんなに人気があるの???? エンディングで流れる歌がすばらしくて、調べてみて、混雑のわけがわかった。 人気ファンクバンドSUPER BUTTER DOGの名スローバラードなのだ。 この映画のタイトルも、この歌からとっている。 鎌倉の海が本当にきれい . . . 本文を読む
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No129「容疑者室井慎次」君塚良一監督

率直に申し上げて、エンドロールが出るなり、頭を抱えてしまった。 『踊る大捜査線』のスピンオフ第一弾「交渉人 真下正義」のような おもしろさを、知らず知らず期待していた。 しかし、あっさり、裏切られた。 「交渉人」の 地下鉄の爆破予告をめぐっての、ハラハラドキドキ・・・、 「OD2」の 今まさに起こりつつある事件をめぐっての現場と上層部、人間のぶつかりあい・・・ も、ここにはなかった。 監督の意図を . . . 本文を読む
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