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No835『結婚相談』~「おしまいじゃないよー!」~

芦川いづみの楽しい映画かと思いきや、ちょっと変わった作風。婚期を過ぎ、29歳の島子が、同級生の結婚式の帰りに結婚相談所に足を運ぶ。ところが、沢村貞子が相談人をつとめるそこは、結婚のあっせんという看板の下、売春に加担していて、女性をだまして取引済の既婚男性に紹介するという悪質業者。島子も、狂言見合いのカモにされ、あれよあれよという間に、悲惨な運命をたどっていく…。クリスマスケーキという . . . 本文を読む
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No834『夜明けのうた』~模索するヒロイン~

♪夜明けのうたよ、私の心の 昨日の悲しみ 流しておくれ~♪1965年公開で、当時大ヒットした「夜明けのうた」を主題歌に、(歌手:岸洋子、作詞:岩谷時子、作曲:いずみたく)浅丘ルリ子が主人公ミュージカル女優の典子に扮する。 岸洋子本人も出演していて、映画の中でも、主題歌を歌う場面がある。実家の母に電話で聞いたら、いい歌だから覚えていると言って、冒頭の部分をちょっぴり歌ってくれた。 付き人や運転手 . . . 本文を読む
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No833『鴛鴦歌合戦』~喜怒哀楽がたっぷり~

今まで何度か観て、茶碗の歌は歌えても筋は案外忘れていた。歌の調子がいいのはもちろんのことテンポのよさは、惚れ惚れするほど。ディック・ミネの殿様が古道具を愛でながら歌うシーンから傘張り浪人の志村喬が同じ歌を歌うシーンへと歌でつないだり、古道具でつないだり、シーンのつなぎ方がなんとも鮮やか。志村喬と娘の市村春代の部屋の隣が片岡千恵蔵演じる浪人侍の部屋でカメラが横移動で、双方の部屋をうつす。横移動のカメ . . . 本文を読む
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No832『鴛鴦歌合戦』~劇場に祝祭的な空間が広がるはず~

古いものへの郷愁ではない。観ていただければ、きっと実感してもらえるはずのおもしろさ。セリフのかけあい、テンポのよさ、登場人物が皆表情豊かで、見入ってしまう。なかでも、『生きる』でシリアスな役者と思っていた志村喬がこんなに楽しそうに古茶碗を愛でて、歌まで歌いだすとは初めてこの映画を観たとき、心底びっくりした。(いろいろ映画を観ていると、志村喬は、こういうユーモラスな役がよく似合うし、実際、そういう作 . . . 本文を読む
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No831杉浦直樹さん逝く

NHKの「ドラマ人間模様」「土曜ドラマ」が好きで、よく観ていた。(チャンネル権を握る父がNHK好きで、ほかを見れなかったせいもある)「事件」「けものみち」「阿修羅のごとく」「男たちの旅路」…。なかでも、「あ・うん」(1980年 向田邦子脚本)は一番のお気に入り。当時、アルビノーニのアダージョというタイトルも知らないまま美しくも、哀しいメロディのテーマ曲が忘れられず、あの曲が流れると、 . . . 本文を読む
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No830『寝盗られ宗介』~舞台上で生き生き輝く原田さん~

十三の七芸での原田芳雄追悼上映の1本(1992年)。レイトショーでなんとか間に合った。若松孝二監督、つかこうへい原作脚本で地方をまわる大衆演劇の劇団が舞台。原田さん演じる宗介は人のよい座長。【以下、ネタばれです】 終盤、原田さんが、派手なピンクのドレスを着て越路吹雪に扮して、客席を前に、壇上で語り、「愛の讃歌」を歌うシーン。壇上の原田さんをロングに、あれこれ角度を変えたりバストショットにしたりし . . . 本文を読む
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No829『パレルモ・シューティング』~音と映像の旅~

『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』のヴィム・ベンダース監督の『アメリカ,家族のいる風景』(2005)に続く新作(2008年)。冒頭から、いきなり驚かされた。というのも、予告が終わり、一瞬、劇場が闇に包まれる。映画会社のオープニング・ロゴの後、いきなり、フラッシュをたく音とともにタイトルロールが、サイドから勢いよく滑り出てくる。キーン~という余韻の残る音と、闇の中から映像が、矢を射るように差し . . . 本文を読む
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No828『ミツバチのささやき』上映後のエリセ監督の挨拶とQA~なら国際映画祭~

9月19日、なら国際映画祭の「PRE FIESTA 2011」 のクロージングで『ミツバチのささやき』(1973年)が上映されました。上映後、ビクトル・エリセ監督が登壇、簡単な挨拶のあと30分近くにわたり、会場の観客との質疑が行われました。私も、友人に教えてもらったおかげで、久しぶりに奈良を訪ね、エリセ監督のお姿を目にする幸運に恵まれました。そのときのメモを元に、概要をご紹介します。司会者が、質問 . . . 本文を読む
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No827高槻セレクトシネマで映画漬け~テンポよし、役者よしの映画全盛期の作品たち~

昨日は至福の一日だった。高槻セレクトシネマに朝一番で駆けつけ、十時からは、女性傑作選。2本とも若尾文子が主演で、『女は二度生まれる』(川島雄三)では、たくましいようにみえて、寂しさを秘めている芸者を演じ、絶品。フランキー堺との再会シーンはひたすら切ないし、ラストの腕時計をめぐる表情はわすれられない。時間のとびかたもうまい。同じ年に撮られた『婚期』(吉村公三郎)は観客から笑いが絶えないファミリー・コ . . . 本文を読む
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No826『婚期』~とってもすてきな若尾文子さんのコメディエンヌぶり~

若尾文子さん主演のファミリー・コメディ。1961年吉村公三郎監督。兄嫁の京マチ子と、小姑に当たる、二女若尾、三女野添ひとみとのぶつかりあいが、激しく二人は、京が財産目当てとにらんで、徹底的にいじめて、いびり続ける。そこに、京を応援する婆やこと北林谷栄が出てきて、さらなる悪口の応酬。口が悪いのも、ここまでひどいと、びっくりしつつも、あっけらかんと笑える。まさに軽快なファミリーコメディ。人物の切実さが . . . 本文を読む
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No825『紅の流れ星』~帽子が似合う渡哲也~

高槻セレクトシネマで日活アクション傑作選が始まった。大スクリーンで、格闘シーンも映える。舛田利雄監督が神戸をロケして撮った『赤い波止場』のリメイク。渡が、いつも暇そうに座っている、海の桟橋のロッキングチェア寝ているときに顔にのせる帽子、赤のシャツもあれば、白のスーツ、黒のスーツといろいろで街を歩く姿が決まっている。 東京から来た女を演じる浅丘ルリ子の毅然とした美しさ。緑もあれば、ピンク、真紅と、 . . . 本文を読む
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No824『由美香』~監督の、少年のように純情で一途な気持ち~

かつて観た『あんにょん由美香』(松江哲明監督)の中で、『由美香』の平野勝之監督をはじめ、林由美香主演で映画を撮った3人の監督が皆、口をそろえて由美香さんへの特別な思いを語った。中でも、平野監督が由美香さんと2人で北海道まで自転車旅行したのをドキュメンタリーで撮ったという本作に興味がわいた。(ちなみに『たまもの』も封切時に観て結構好きです)火曜の午後9時からのレイトショー。監督のトークが終わると23 . . . 本文を読む
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No823『秋津温泉』~恋する女の溌剌さ~

かなり以前に観て、ラストシーンだけは覚えており、メロドラマという印象が強く、そんなに好きな作品ではなかった。吉田喜重監督はどちらかというと苦手なほう。今回、高槻セレクトシネマの女性映画傑作選の一つでこのスクリーンで映画を観るのも、あとわずかと思い切って足を運び、再見してみて、よかった!!すごくすてきな作品で、とにかく岡田茉莉子がすばらしい。なぜか記憶の中では白黒になっていたが、鮮やかなカラーで、ど . . . 本文を読む
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No822-2『狩人の夜』~レイチェルおばさんと少年の絆~

昨晩高槻で観て、すっかり惚れ込み、今日も、その磁力で高槻に引き寄せられてしまった。あらためて観て、リリアン・ギッシュ演じるレイチェルおばさんのような存在にとてもあこがれる。ハリーがレイチェルの家を訪ねてきて、実の父親だと名乗り、引き取りに来た、と言う。妹のパールは、姿をみて、すぐ駆け寄っていくが、ジョンは、きつい目線で、ハリーを見る。うさんくさそうに思っていたレイチェルが、ジョンの気配に、気付かな . . . 本文を読む
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No822『狩人の夜』~闇夜を進む子どもたちの舟の美しさ、絶品です~

リリアン・ギッシュがとってもすてきな役で登場。どんな苦境にあっても、こどもたちには、強く生き抜く力があるんだと教えてくれる。孤児たちを育て、守ろうとするリリアン演じるレイチェルおばさん(ばあちゃん?)のなんてしっかりしてて、頼りがいのあること。後半の突然の登場シーンから、思わず見入ってしまった。(実は映画の冒頭は、彼女の顔でした) 父に誓った言葉どおり、妹のパールを守り、ロバート・ミッチャム演じ . . . 本文を読む
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