「駆け抜ける 青春 恋は五七五」
の句どおり、
さわやかな作品。
俳句なんてのを、どう映像化しておもしろくできるのかと思いきや
なかなか楽しめる作品に仕上がっていた。
というのも、主役となる5人の高校生のキャラを
思い切り生かしているからだろう。
5人なりに悩み、屈折している感じもいいし
楽しんでやらないとだめ、という姿勢を
体で獲得していく感じもいい。
教室に敷き詰めた白い紙に
筆で、思い思 . . . 本文を読む
南米ウルグアイの作品。
観終わって、
我々観客が物語を読み取るには、
スクリーンに映っているもの、
それだけ、ということを
あらためて感じた。
だから、
ラストの、靴下を縫う機械の、かたかた鳴り立てる音も
ただの音だけど、
ただの音ではないようにも思える。
朝、出勤して、工場の入り口のシャッターをあけ
電気のスイッチを入れる。
じーっという放電のあと、電気がつくまでのほんの何十分の一秒。
こ . . . 本文を読む
ソン・ガンホは凄い。
こんな普通な顔をしていて、
なぜか、彼には存在感がある。
ただの普通のおっちゃんの顔だ。
でも、忘れることができない。
この作品の中で
最も印象的だったのが、
実は、彼がトイレの中で力んでいる顔。
こんなにリアルにみえるのも
ソン・ガンホだからだ。
彼の怒った顔、慌てた顔、焦った顔、嬉しいときの顔、
どれも、私たちの表情と変わりなく、
とても身近に思える。
新しい大統領 . . . 本文を読む
イ・ビョンホンによる、イ・ビョンホンのための作品。
今まで、プロ野球の日本ハムの新庄選手の顔にそっくりと
あまり興味もなかったが、
この作品で、みごとに男を見せてくれた。
彼の運命を狂わしたのは
女(シン・ミナ)だが、
彼女、きっかけにすぎず、
ただ、怒涛のごとく、
彼の運命の歯車が狂っていき、
ついに、壮絶に近い
決死の覚悟の復讐劇が始まる。
彼の寡黙な表情は魅力的で
さまになっている。
ポ . . . 本文を読む
北野武監督の初期の作品
「ソナチネ」や「HANABI」を思わせる、独特な映像世界。
人物の思いは、詳しく語られず
物語は、淡々と進んでいく。
画家志望だった、ギドク監督の
美しくも残酷な映像世界に酔いながら
観客は、人物の心中について、
限りなく想像の翼をひろげることができる。
後半が凄い。
刑事である父親が、偶然、娘の怪しい行動を見かけ、
尾行を始める。車の窓越しに、娘を遠くから見つめ、
娘が . . . 本文を読む
山道を
リュックを背負った父のあとを
息子が付いて歩く、というシーンは
中国映画「山の郵便配達」を思わせた。
父は、徳島県の山間の村の写真店の店主。
息子は、東京でカメラマンになるべく修行中の孝。
二人は、ダム工事のために、まもなくダム底に沈む運命の村に住む
たくさんの家族の写真を順番に撮っていく。
頑固で寡黙な父を演じる藤竜也が
すばらしい。
平凡な普通のおじさんだ。
ちょっとユーモアがあっ . . . 本文を読む
大阪梅田のOS劇場に
藤竜也さんが三原光尋監督と一緒に、
舞台挨拶に来られました。
気さくな人柄を思わせる、暖かい声で
徳島県山間部での撮影中の話を
紹介してくださいました。
1ヶ月半の撮影期間中は、
スタッフ、キャストが寝食を共にする合宿生活で、
村にこもる生活。
撮影の始まる前から村に入り、
村の人々に積極的に話しかけ、仲良くなった。
そのことで、
映画の中にも登場する、
村の人々のリア . . . 本文を読む