ゆっくりと、ゆっくりと、東大寺の門が開いていく。扉の向こうに現れたのは、奈良の大仏さま。子供が元気な声で、大仏の大きさを解説するのが聞こえてくる…。14日の土曜日、友達に誘われて、なら国際映画祭の『大佛さまと子供たち』(清水宏監督1952年)を観に行ってきた。猿沢池の少し南東に、尾花座という劇場があったそうで、今はホテルサンルート奈良になっていて、その広間での上映。100人弱の会場は . . . 本文を読む
この週末の連休、なら国際映画祭が、開催され、あの『大佛さまと子供たち』が上映されるそうだ。今朝、何気なく、鞄に映画祭のリーフレットを入れがてら、開いてみて、驚いた。
今年初めに、清水宏監督特集があり、その1本として、この映画も上映され、繰り返し観に行った。何度観ても、観終わってとっても幸せで、あったかい、うれしい気持ちになった。1952年の作品。主人公は、戦災孤児の少年たち。
父も母もいない、 . . . 本文を読む
GW4連休の初日、なんとなくぼーっとツイッターを眺めていたら、好きな映画監督が、新作の撮影で、「一般市民向けの身体表現ワークショップに参加する参加者役」のエキストラを募集しているのを見つけた。映画に出たいとは思わないけど、監督の作品はたくさん観ていて、どんなふうに撮影するのか知りたいし、どんなワークショップをやるのかとても興味があった。GW最終日、さして予定はない。どうしようか、一晩迷って、翌日、 . . . 本文を読む
落ち込んだ時は、清水宏について語ろう。2月の特集上映で、紹介しきれていなかった最後の作品は、清水宏監督の作品の中でも特に有名で私の大好きな『按摩と女』1938年です。
わずか66分というのに、按摩さんだけでなく、温泉町に現れたいわくありげの美人(高峰三枝子)の人生の重みまで感じさせてしまう。この豊かさはなんということでしょう。映画という名の“至福の温泉”に浸かったような気 . . . 本文を読む
いくらきれいで優しいお継母さんでも、素直に「おかあさん」と呼べない少年。まわりじゅうから、いいおかあさんだね、と言われると、なおさら言いにくい。継母の優しさに、ありがとうの言葉も言えず、本心とは裏腹に、意固地になって、ほしいものも、要らないと言ってしまう。素直になれない悪循環・・・。かたくなになるこころ。少年は少年なりにわけがある。亡き母への思い。継母を「おかあさん」と呼んでは、亡き母にわるいんじ . . . 本文を読む
清水宏監督1955年の作品。主人公の次郎が、幼い頃、乳母のお浜に預けられ、乳母から、わが子以上に可愛がられ、実家の方から、呼び戻そうとしてもまるでなじめないところから始まる。ファーストショットは、学校の庭で、乳母の娘の少女といっしょに地面に絵を描いて遊んでいる次郎。少し離れたところで働く、学校の用務員をするお浜の夫、井戸のところで働く乳母。次郎は少女を泣かせてしまい、お浜の夫は叱ろうとするがお浜は . . . 本文を読む
四国の丸亀城をロングで映し、カメラがゆっくり下がると、城下にある少女たちの更生施設が映る。中庭で楽しそうにバレーボールに興じている少女たち。1956年清水宏監督作品。非行少女たちの群像劇で施設の先生役が香川京子。園長先生が高橋豊子。美人の先生と、中年のちょっと太った女先生との組み合わせは、なんとなく、『信子』の高橋三枝子のあんみつトリオを思い出した。施設に入ってきたばかりのくせに生意気な少女、弘子 . . . 本文を読む
この映画について思い出すと、なぜか楽しい気分になる。なぜだろう。決して明るい話ではないのだけれど。原作は永井荷風。浅草のレビュー劇場の踊子の淡島千景演じる花枝と夫の山野(船越英二)。
花枝の妹の千代美(京マチ子)が田舎から出てくる。6畳か8畳ぐらいの狭いアパートに夫婦二人と千代美が間にカーテンを引いて暮らすことになる。
結婚して十年経つのにこどもができないという夫婦の会話で始まる映画。千代美の . . . 本文を読む
三益愛子が、行方不明になった自分の息子を探して全国の養護施設を訪ね歩く姿とナレーションで始まる。三益が原っぱのようなところをひとり歩いていく姿で始まるこの作品は、1956年、清水宏監督。当時ちょうど朝日新聞が全国の児童施設にいる戦災孤児を紹介し、親探しのキャンペーンをやっていたそうで、これをヒントにしたもの。
土曜日のお昼。なんだか疲れていて、張り切って行ったのに、うとうとしてしまった。不覚・・ . . . 本文を読む
私が男だったら、こんなお嫁さんがほしかった…。私が女だったら、こんなお嫁さんになりたかった…。
そんな映画です。作家尾崎一雄の私小説短編をいくつか織り交ぜたもので、脚本が、会話がいい。登場人物の誰もが人間味とユーモアにあふれて、味わい深い。貧乏作家の緒方を佐野周二が好演、照れた表情がすてき。妻芳枝を島崎雪子。とってもチャーミングで目が離せない。
「ほがらか」という言 . . . 本文を読む
清水宏監督特集も残るあと5日。といっても、平日の朝昼は仕事で行けないから、事実上今日で終了。万感あふれる思い。いろいろあった。折角、気合い込めて行っても眠くなってしまったり、清水宏の魔法も効かないのかと落ち込んだ。ああ、この作品観たことあったと、冒頭数十秒してから気がついたり、この作品、こんなにおもしろかったんだと、改めてちゃんと出会えたり…今回まとめて観ることができて、とにかくおも . . . 本文を読む
映画を観てこんなにも心洗われるなんて・・。仕事を含め自分のいろんな労苦、負の経験も豆粒みたいに思えた。こんないい映画に出会えるなら、耐えられるはず・・って。
『大佛さまと子供たち』(1952年)2回目の鑑賞。昨日のシネ・ヌーヴォの上映では、私の大好きな『蜂の巣の子供たち』含め満席の大入りだったそう。
今日も午後9時近くからのレイト上映だというのに多くのお客さんが詰めかけていて、最後は、鼻をすす . . . 本文を読む
「濱口竜介 即興演技ワークショップ in Kobe」も5か月を経てついに成果発表、『BRIDES(仮)』公開本読み、を観に神戸に行ってきた。床からやや高い舞台に、18人の出演者が2列になって座る。観客はあらかじめ、どの登場人物が何歳で誰と夫婦かとか、友達かとか、職業を1行程度で書いた人物紹介が書かれた紙を1枚もらう。夫婦が隣り合って座ったり、斜めに座ったり、いろいろ。舞台手前左手に、ト書きを読む女 . . . 本文を読む
清水宏監督作品は、人の心の奥底の深い部分に語りかける。
こどもの頃のきらきらした世界。母のやさしさ、友達の笑顔、風が吹いて、太陽がきらめく。川が流れ、鳥がさえずる。歌があって、大地を駆け回る。
大人たちは、それぞれに事情を抱え、でも、どこかのんびりとして、力が抜けた感じで、ユーモアあふれる世界。しゃかりきな大人はあまり登場しない。
どこか懐かしくて、美しく、おおらかな世界は、年をとるほどに、 . . . 本文を読む
♪カム、カム、カム、エブリ、バディ、声をあわせて歌を歌おう、ララララ、楽しい歌をお手てつないで、ラランラ ラランラ ラランラランリズムたたいて踊りを踊ろう花の咲く下で~
笠置シヅ子の歌。二回映画を観たけれど、やっぱり歌詞は覚えられない。上に書いたのも、かなり自信ない。「こどもに戻って」「鳥もいっしょに」とか楽しい歌詞。服部良一の音楽なので、自分で歌っていると、メロディが似ていて、いつのまにか「東 . . . 本文を読む