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No399『肉体の冠』~女の一途な愛と、男の友情が骨身にしみる~

刑務所前で待ち構え、恋人マンダらの逃亡を助けるマリーの気丈さ、 マンダとレーモンの目と目で会話する、男同士の強い絆と、 みどころ満載。 ジャック・ベッケル監督の1951年の作品。 親分ルカの陰謀のため、幼友達のレーモンが命を奪われ、 青年マンダは、復讐しようと、街を探し回る。 人通りの多い歩道を急ぎ足で歩くルカ。 馬車が音をたてて通り過ぎていく。 と、その後ろにマンダが乗っていて、 . . . 本文を読む
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2008年マイ・ベストテン(日本映画篇)

すっかり遅くなりましたが、極めて個人的な2008年ベスト10を紹介させていただきます。まずは日本映画から。上位7つまでは、順番はともかく、明確に作品は決まるのですが、それ以降はごった煮という感じで、それぞれに魅力あふれ、甲乙つけがたしでした。 1位 『接吻』(万田邦敏監督)  一途な思いが狂気へと変わってゆく恐ろしさ。作品全体を覆う不穏な空気の中で、仲村トオルだけでなく、私も、小池栄子演じる主 . . . 本文を読む
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イーストウッド監督のこと~慈愛に満ちた視線~

「映画ファンは、いつも、一本の完結された作品に充足することがなく、映画というものをあらゆる作品をふくめたひとつの持続性のなかでとらえようとし、スクリーンに投影された映像と音を超えて、巨大な(美しい、と言ってもいい)人間の心に出会い、ふれること、つまり感動を求めてやまないのである。映画を見る私たちの心がスクリーンをつらぬいて直接映画の作者――それは監督であってもスターであってもいいのだが――の心にふ . . . 本文を読む
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No398『太陽がいっぱい』~悲劇ゆえの名作~

アラン・ドロン主演、ニーノ・ロータのテーマ曲で有名な 1960年、ルネ・クレマン監督作品。 恥ずかしながら、製作者のアキム兄弟の 「アキム・コレクション」特集で、やっと初めて観ることができた。 名曲のゆえんがよくわかった。 貧乏に育ったトム(アラン・ドロン)が 金持ちの友人フィリップをヨットの上で殺し、彼になりすます。 アランは、根っからの悪人にはみえず、 どこか哀しく、影がある顔をしていて、 . . . 本文を読む
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No397『眠狂四郎 勝負』~屋台のかけそばをすする狂四郎~

東大阪で頑張ってる地元シネコン、布施ラインシネマでの上映。 日本映画名作アンケート投票で圧倒的多数を占めたのが市川雷蔵さん。 上映作品は、本作と『朱雀門』のわずか2作品だが、 嬉しかったので、先週、早速、足を運んだ。 眠狂四郎シリーズ第2作目。1964年作品。 同じ三隅研次監督作品でも、 私の大好きな『眠狂四郎 無頼剣』が静寂に包まれた傑作ならば、 こちらは、少し愉快な異色作。 狂四郎がふとし . . . 本文を読む
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No396『ミツバチのささやき』~どこか乾いた世界にみえて、あふれでる情感~

「ソイ アナ」 私はアナ、という意味のスペイン語。 少女アナが口にする、この言葉の響きが まるで観客の私にも、語りかけられているかのように聞こえてきて 忘れられない。 大きな目でじっと見つめるアナの瞳に釘付けになる。 どこまでも続く、枯れ果てた原っぱの向こうに ぽつんと建つ、れんが小屋を目指し アナと姉のイザベラが駆けて行く。 黄土色のコートを着た、二人の小さなうしろ姿を、 ロングでとらえたカメ . . . 本文を読む
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No395『エル・スール』~暗闇のすばらしさ~

ファーストシーン。 真っ暗な部屋。小窓から射す光が次第に明るくなっていき、 主人公の少女エストレリャのベッドがみえてくる。 戸外から聞こえてくる犬の吠える声。 風景はどこまでも広く、 人物の心はどこまでも深く感じられる。 登場人物の陰影に富んだ表情、 音楽、光、音、すべてがすばらしく、 一つ一つの画面が織り成す光と影の世界を慈しみ、かみしめ、 何度でもスクリーンで味わいたい。 一つ一つのシーンに . . . 本文を読む
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No394『あの彼らの出会い』~哲学書を映画にしたような…~

ジャン=マリー・ストローブ&ダニエル・ユイレ監督作品。 二人の人間が対話をしている。 男と男、女と女、男と女。組み合わせはいろいろだが、 対話をしている二人を、10数分以上にわたって、延々と映していく。 対話といっても、チェーザレ・パヴェーゼというイタリアの作家の 神話的対話詩篇『レウコとの対話』の朗読。 哲学書を聞いているようで、何を言っているのかさっぱりわからない。 言葉が頭に入ってこない . . . 本文を読む
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No393『バンク・ジョブ』~穴を掘って、地下金庫を!?素人強盗の企み~

テンポがいい。 次々と展開。カットバックの切れのよさ。 一気になだれ込んでいくようなラストで あっというまに映画の世界に巻き込まれた。 ロンドンの下町、かつてはちょい悪だった親父たちが銀行泥棒を企む。 穴を掘って地下の貸金庫を狙うという古典的な手法に驚くが、 約40年前の1971年の実話の映画化というので納得。 狙ったのは貸金庫、というところがみそ。 そこには、お金のほかに、人には見せたくない . . . 本文を読む
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No392『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』~ステージの熱気をそのままに~

音楽映画ということでもう一つ新春に観た作品をご紹介。 恥ずかしながら ストーンズがザ・ローリング・ストーンズの略とも知らなかったロック音痴。 せいぜいミック・ジャガーの名前を知ってる程度ですが、 好評とのことで観にいってみて、驚いた。 なんて熱い世界…。 コンサート会場をカメラがめまぐるしく動く。 なんといっても18台のカメラを駆使して撮影しただけあって ショットも次々と切り替わる。 編集の見事な . . . 本文を読む
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No391『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』~音楽に酔いつつも、不思議な魅力にとりつかれ~

ジャン=マリー・ストローブ&ダニエル・ユイレ監督の最初の長編。 この監督の作品、映像は美しいが、私には難解な印象があるけれど 特集上映がある度、休日は映画館(といっても小さな小屋です)が一杯になる人気。 昨年の特集上映の際、観た時には、音楽はすてきだけれど、 映画としておもしろいかどうか、あまりぴんとこなかった。 しかし、今回観て、とてもおもしろく、わくわくした。 バッハの半生を、二人目の妻ア . . . 本文を読む
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No390『東京物語』~何度も繰り返し観ては~

新年早々、高槻で『東京物語』はじめ小津監督特集があると聞き 凍てつくような寒さの中、行って来ました。 大きなスクリーンで、あの聞き慣れたテーマ音楽が流れだしただけで、 また『東京物語』の登場人物の人たちに会うことができると、 なんだか胸が熱くなりました。 どのシーン、どの会話も大好き。 小津作品というと、淡々としたイメージがあるけれど 危篤の報に喪服を持っていくかどうか相談したり 感情の起伏が大 . . . 本文を読む
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また新たな一年~峠の茶屋で一服篇~

あけましておめでとうございます。 昨年のまとめを書きたいと思っているうちに 松の内も明け、連休も終わってしまいました。 去年までは「おねえさん」と素直に呼んでくれていた甥っ子たちも、 この正月、 「おばさん」と「おねえさん」と呼び方によって 私の反応が違うとからかうぐらいに、知恵をつけました。 変な顔をしてみせては、回りを笑わせるのが好きな甥っ子には バスター・キートンの映画を観せてコメディの才 . . . 本文を読む
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