goo

No240「飢餓海峡」~百戦錬磨の男を慟哭させたもの~

この映画の凄いのは、時代を感じさせること。 昭和22年、戦後の混乱期で、ひもじくて仕方がなかった時代。 そして、その10年後。 人物造形の凄さとともに、まるっと時代のようなものを考えさせられる。 元刑事の伴淳三郎が、牢の中の三國連太郎と話をした後、 「ある砂」を置いていく。 これまで虚勢をはってきた三國は その砂を目前にして、自分のしでかしたことの愚かさをつきつけられる。 やおら、ありったけの力で、床を掌で何度もたたきつけ、嗚咽する。 その音のなんと悲しいこと。はらわたまでしみるようだった。 とりかえしのつかないことをしてしまった後悔と腹立たしさが、 彼の心をかきむしる。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No239「アキハバラ@DEEP」~俳優と役柄がぴったりマッチ~

パソコンおたくで、てんでばらばらな性格の5人が、 ネットの自由を守るために奮闘。 成宮寛貴、山田優、忍成修吾、荒川良々、三浦春馬と、 若手俳優が皆、個性豊かで生き生きしていて、魅力的。 それぞれが過去のトラウマを乗りこえて、 息を合わせて、最後まであきらめずに戦う姿に 思わず胸が熱くなった。 とりわけ、クライマックスの 成宮と荒川が、拉致され、拷問されるシーン。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No238「青春の殺人者」~やみくもに突っ走るその先に・・~

シーンが変わると、 いきなり父を殺した後の 血糊のついた順(水谷豊)の顔のアップ。 え?・・・何が起きたの? そこに帰ってくる母(市川悦子)。 順は、入って来るなと止めることもできず、母は父の死体を目にする。 え?・・・一体どうして? . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No237「喜びも悲しみも幾歳月」~雨にも負けず、風にも負けない夫婦の絆~

「おいら岬の灯台守(とうだいもり)は 妻と二人で沖行く船の 無事を祈って 灯(ひ)をかざす」 「星を数えて波の音きいて 共に過ごした 幾歳月(いくとしつき)の よろこび悲しみ 目に浮かぶ」 北海道の雪深い石狩から 九州の五島列島の、水も十分にない無人島まで、 「日本の端っこ」を転々とする燈台守の家族の物語。 1967年、木下恵介監督。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No236「グエムル ―漢江(ハンガン)の怪物―」~パク家族の底力~

頭、 逃げまどう人たちを追いかけて、漢江の河原を走っていくグエムルの全姿が 映し出される。 正直言って、怖いというよりは、少しつくりものっぽくて、その形はユニークにさえ思えた。 むしろグエムルに驚き、脅える人たちの姿。 写真にもあるように、少女の、脅える暇もない、あっというまのできごとが 見事に映像になって、とらえられていた。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No235「スーパーマン・リターンズ」~救い、救われるヒーロー~

父を亡くしたヒーローは多い。 スーパーマンも赤ん坊の時に父を喪う。 孤独で寡黙なヒーロー。 父親のわが子への熱い思いがテーマ。 父の子に対する思いが、このシリーズの要。 スーパーマンのすごいところは、 派手な、青と赤のコスチュームに真っ赤なマントを着れば、 すぐそのまま飛べるところ。 鉄腕アトムのようにジェット噴射をつかうわけでもなく、 ただ、もう何もなくても、ふわりと上昇する感じ、 腕を前に伸ばして空を超高速で飛んでいく姿。 それがおかしく見えない。 普通なら、とってもありえないし、虚構極まりない世界だが、 嘘っぽく見えないし、 むしろすがすがしくて、爽快。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No234「切腹」~孤高の武士の最期の気迫~

うちのめされた。 侍の美学たる武士道、武家社会を、これほど痛烈に批判した作品があったとは。 時代劇ベスト20には確実に入るだろう傑作。 浪人、津雲半四郎を演じる仲代達也の気迫のこもった演技が凄い。 井伊家に一人乗り込み、何十人もの家来を前に、 「待たれぃ」と片手をあげて、相手の動きを制する堂堂たる声。 落ち着き払った佇まい、腹のすわった声、威圧する威厳・・・。 当時、30歳という若さで、これほどの悲哀、覚悟を感じさせるとは。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No233「お嬢さん乾杯」~惚れた男の純真な想い~

元華族の令嬢恭子役の原節子がとても美しい。 大きな目を伏せがちにして、まばたきされたりしたら、 佐野周二でなくても、一目ぼれしてしまうだろう。 自動車の修理工場を営んでいる圭三(佐野周二)は恭子とお見合いする。 「僕は、学歴も肩書きもないけど、働き者で金儲けだけは得意なんですよ、 あなたの家の借金も、きっとなんとかしてみます」と、圭三が明るく言い切る姿が、なんとも伸びやかで、まっすぐな心持ちを感じさせる。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

No232「時をかける少女」~ときめきと静けさ~

映画館を出た時、前にいる学生っぽい男の子4人連れが、 いきなり「行くぞ」と言って、階段を元気よく駆け上がり、 上に着いて、笑いあっていた。 その気持ちがとってもよくわかった。 主人公の高校生、真琴が思い切り笑ったり、泣いたり、怒ったり、 感情表現が豊かで、これこそアニメの醍醐味。あちこちで「駆ける」姿は躍動的だし、「こける」姿はユニーク。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

没後50年溝口健二国際シンポジウム(その2)~お薦めの溝口監督作品~

前回、ご紹介したシンポジウムの最後で、パネリストの方々が、溝口作品で最もお薦めの作品をあげておられたので、ご紹介します。 . . . 本文を読む
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )