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No695『ヒアアフター』~寡黙さに滲む苦悩と、再生に向かう希望の光~

カタカナのタイトルよりも邦訳として『再生の約束』(ジョージとマーカス、あるいは、マーカスと兄との約束)とか『再生の夜明け』というのはどうだろう。死者の声を聞くことができる霊能者のジョージ。その声を伝える場面で、一瞬、向こう側の世界の映像が映るが、すぐかき消え、あとは、暗い部屋で、声を伝えようと懸命なジョージの顔と、依頼者の顔とが交互に映るだけ。このことからも、映画が焦点を当てようとしているのは、あ . . . 本文を読む
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No694『キートンのセブン・チャンス』~どこまで走る、我らがキートン!~

時代は遡って、サイレント1925年。 キートンといえば、 30年位前、NHKテレビの午後9時台に15分程度の短篇で ロイドやらキートンやらいろいろ放映していたのを思い出す。 ちょっとみては、くつくつ笑っていた。 今回のは1時間近くの長編。 クライマックス。 百人以上の花嫁候補者に追いかけられるキートン。 走って、走って、逃げまくる! だって、彼には、大切な恋人メアリーがいるのだから。 27歳の . . . 本文を読む
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No693『神々と男たち』~信仰と信念に生きる修道士たちの内面に迫る~

いまひとつの作品が続き、風邪までひいてしまったので、この際、最近見せていただいたばかりの凄い映画のことを書いておきたい。こんな傑作をみてしまったら、当分、映画はみなくてもいいぐらい。しばらくずっと、この余韻に浸り、折にふれては、修道士たち一人ひとりの顔を思い浮かべ、彼らが眺めた風景を思う。農耕作業の合間、空を眺め、風を感じて彼らが、何を思い、何を考えていたのか。その心のありようを反芻したい気持ちに . . . 本文を読む
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No692『冷たい熱帯魚』~映画は痛い?~

園子温監督の最新作。 グロテスクな作品が多いので、そこそこ心づもりしていたとはいえ、 ここまで凄すぎると、 正直なところ、私は相当ひいてしまった。 埼玉愛犬家殺人事件という実際にあった話や 様々な猟奇殺人事件を元にしたそうで、 冒頭いきなり「True Story」と出る。 でんでん演じる村田は、とんでもない殺人者。 おしゃべりで、カリスマ的で、 人を殺すことを何とも思っておらず、むしろ楽しんで . . . 本文を読む
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No691『E.T. 20周年アニバーサリー特別版』~自転車の爽快なこと~

連休の初日。朝から雪が降りしきる中、 午前10時からの映画祭でTOHOシネマズなんばへと急ぐ。 雪がひどいし、予約していても、来ない人が大勢いるのではと思いきや、 意外にも、予告が終わり、本編スタート時には、満席。 いかに期待が高いか、よくわかった。 実は私は、今回が初見で、 USJのE.T.のアトラクションで 甥っ子と自転車に乗ったことはあるが、 肝心の映画の『E.T.』は見ておらず、 全くス . . . 本文を読む
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No690『国道20号線』~空っぽの心の行き先~

木曜に再見して、書きかけだった感想をまとめたい。 パチンコ屋で、「この台出ない~」とヒサシに甘えた調子で言う だぶだぶの白いつなぎを着たジュンコ。 あまりに強烈なキャラは忘れがたく 数年前に一度みて以来だったが、すぐ思い出した。 ヒサシとジュンコのだらだらした浮遊感。 パチンコの新装開店で、 二人のどっちが並ぶかを、布団の中で寝ぼけまなこで言い合う。 ローンで大枚借りて、パチンコにつぎ込む生活 . . . 本文を読む
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No689『白夜行』~なんだか、もったりした長尺ドラマ?~

今日、3連休の締めに前売券を買っていた 『白夜行』に行ってきた。 目下、業界では引っ張りだこで、 『狼少女』で期待の若手、深川栄洋監督とあって 期待で胸膨らませて行ったのだが、 さすがの深川監督も、原作あり、ホリプロ制作とあって、 力を発揮しきれなかったのでは? 2時間半の長尺、ちょっと苦痛に近かった。 原作は東野圭吾による、児童虐待も入った悲惨な話で、 そのまま映画化するしかない、というのも理 . . . 本文を読む
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No688『心の故郷』~母を想う小僧さんの可愛らしさ~

連日、京都国立近代美術館へ。 1949年の作品(白黒)。 韓国の山寺。 階段が多くて、大変だろうが、とてもきれいなところ。 赤ん坊の頃、母親に捨てられた小僧さんは、 近所の子ども達が遊んでいるのを横目に 和尚さんに叱られながら、懸命に働く。 心の支えは、お正月にはお母さんが迎えにきてくれること。 でも、毎年、期待はあっさり裏切られてばかり。 ちょうど、息子を亡くしたばかりの若くて美しい未亡人が . . . 本文を読む
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No687『京城』~うっとり陶酔するような映画体験~

1940年に清水宏監督が朝鮮総督府鉄道局から依頼を受けて つくった国策映画のドキュメンタリー。 京城とは、今のソウルのことで、 市内の朝から夜までの、 いろんな風景を次から次へと撮っていく。 なんだかどの人たちも、どの光景もすてきで なかば夢見心地だった。 日本人もいれば、韓国の民族服を着た韓国人もいる。 街を往来する人々をふかんで撮ったり、フルショットだったり 働く人たちの手元をアップにしたり . . . 本文を読む
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No686『雲の上』~虚ろな心がさ迷う行方は…~

おもしろかった~。 ヌーヴォのレイトショーで特集上映されている空族(くぞく)特集の1本。 やくざのボスたちが、 シャブを横取りして逃げた若者をつかまえ、 トランクに押し込む。 (捕まえるシーンはあっさり省略、 いきなり押しこむシーンという鮮やかさ) 車が動き出し、トランクでどんどんやっているのが うるさいからと、ラジオをつける。 懐かしの薬師丸ひろ子の「あなたをもっと知りたくて」が流れる。 . . . 本文を読む
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No685『映画史』ジャン=リュック・ゴダール~爆音映画祭 at Osaka~

噂に聞く爆音映画祭がとうとう関西にやってきた。 知人から伝え聞いて、どんなものかと思っていたが やっぱりすごかった。 時々、びりびりと振動が体に伝わってきた。 爆音上映というのは、 音が一律に大きいだけじゃなくて、 普段、気付かないような音を大きくしたり いろいろ仕掛けをしているそうだ。 とはいえ、とにかく 全体に音は相当に大きくて、 冒頭、いきなりびっくりしたが、 終わってみると うるさい、 . . . 本文を読む
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No684『イップ・マン』~いつのまにか、のめりこんでしまう武術の鮮やかさ~

ブルース・リーの師としても知られる 武術の達人イップ・マンの生涯を描いた人間ドラマ。 実は、「序章」があって、その続編。 様々な事情で、こちらが先に公開されてしまったというわけ。 後半の西洋人ボクサーとイップ・マンとの戦い。 相手の卑怯な戦法を前に ヒーローのはずのイップ・マンも 思ったほど強くもなく、 もうやめてくれ~と目をおおいたくなった。 でも、前半の、 イップ・マンが自分の流派の道場を . . . 本文を読む
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No683『息もできない』~見つめること、耐えること~

NHKラジオ第2放送を流し聞きしていて、 先日、講演の録音放送で、 かつて、人間は、家族に見守られ、 自然とのつながりを感じながら 死へと旅立っていた。 きっとそのときには、 命の連鎖、受け継がれていくものみたいなことを感じ 完全なる孤独ではなかったのではないか。 でも、現代では、 そういうつながりは失われ、 死は、人間という一個の個体の消滅としてしか 感じ取れなくなっている。 だから、ますます . . . 本文を読む
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