今日はほんとは仕事あったけど、切り上げてあんどりいらんど。のライブに行ってきた。ボーカルのannさんの歌詞がすごく好き。切なくて、さみしくて、強がりで、優しい。こわれやすくて、繊細な、ガラス玉のような言霊たちが山本くんのつくるポップで、のりのよいリズムにのって音楽の世界を駆けめぐる。
あたしは、切ない歌詞にじーんと聴き入って、今、この瞬間、生まれ出たばかりの歌霊たちを、そっと心の奥深くに浸透させ . . . 本文を読む
映画に触れずして、映画の心に触れるような、映画の魂が伝わるような文章が書けたらと思う。これから映画を観る人と映画との架け橋になるような文章・・・。
どんな映画がおもしろいのか。時間もお金も限りある身で、折角、映画館まで観にいくなら、できるだけおもしろい映画、いい映画を観たいというのは誰しも思うこと。ただ、映画の好みは、人によってかなり違うし、評価も分かれる。まずは、自分の眼で観なくてはわからない . . . 本文を読む
◇◇という女性の名前だけのタイトルにあえて『◇◇の青春』と、青春の二文字を加える。これってどうなの?と観終わって、邦題のセンスを疑問に思った。58歳の女性の恋模様にあえて青春とつけるなんて、皮肉じゃないかと思った。
はっぴいえんどならいい。でも、そうでもない。むしろ、失敗だらけ。思うままに突き進んで、失敗して、羽目を外して、さらに傷口をひろげ、落ち込み、自己嫌悪に浸る。
それでも、ラストは、気 . . . 本文を読む
友達は皆、平気で、川にかかった丸太のような一本橋を走って渡っていくのに、主人公の少年は、怖くて渡れない。橋にはいつくばるようにして、四つ足になって渡っていく。
なんとか川は渡ったものの、皆は次々と木に登っていくのに、少年は登れない。上から落ちてきた、栗のいがが頭に当たって、わんわん泣いて帰ってくる。
清水宏監督がつくった短編映画。1941年。都会から養子でもらわれてきた少年秋雄が、木登りができ . . . 本文を読む
民謡「♪小原庄助さん 何で身上(しんしょう)潰した朝寝朝酒朝湯が大好きで それで身上つぶしたハア もっともだ もっともだ」の庄助さんを大河内伝次郎が演じる。牧歌的でユーモラスな世界の中に、限りなく哀切がこもっていて、胸が熱くなる。大きな樽からとくとくと酒が注がれ、「♪朝寝、朝酒、朝湯が大好きで」とあるとおり、朝ご飯のところから始まる。庄助さんは、格式ある地主の家に生まれ、人がいいから、村人たちから . . . 本文を読む
障害者の性をテーマにさわやかで、ユーモアにあふれ、深い余韻が残る。男性として、一つのことを達成しようとするマークの思いをあたたかく受けとめ、手を差しのべ、導こうとする女性、見守っている女性たちの優しい笑顔、あたたかい心持ちが、すばらしく、生きてるって、なんてすてきなことなんだろうと思えた。幼い時にかかったポリオで、30年以上首から下が動かないマーク。重度の呼吸障害も抱え、首から下は、鉄の肺と呼ぶ巨 . . . 本文を読む
「(この場面では)どんな気持ちなんでしょうか」との女優の質問に、清水宏監督は「気持ちなし」と答えたそうだ。監督にとっては、ある空間で、どんなふうに立ったり座ったりしているかが重要だったのではないか。
1月25日からシネ・ヌーヴォで始まった清水宏監督特集。初日の『有りがたうさん』の上映後、映画評論家・批評家の上野昂志さんによる「清水宏監督の魅力」についてトークがあった。冒頭ご紹介したのは、上野さん . . . 本文を読む
清水宏監督の作品の中でも、ダントツに好きな中の1本。バスに乗って遠足にいくような気分で、いっしょに揺られながら、流れる風景を観ていた。南伊豆の乗り合いバスの運転手が上原謙。歩く人、荷台を引く人、いろんな人や車を追い抜くたびに、「ありがとう」と声をかけることから、「ありがとうさん」と呼ばれ、慕われている。
初めて観た時、カメラをバスの正面に向け、前方を歩く人に近づき、追い抜いていくところを、抜かし . . . 本文を読む
聴くというより、感じるに近い。身体で感じる音。音って高さと長さと強さがあるんだって感じた。間も含めて、音そのものに出会う旅。
メロディのような、常識的な概念が取り払われ、聴こえてきた音に忠実になり、音に反応する体の声に素直になれた。
1月18日、濱口竜介監督即興演技ワークショップのダイアローグカフェのゲストは、「音遊びの会」の人たち。知的な障害をもつ人たちと、音楽療法家、音楽家たちによる即興音 . . . 本文を読む
あんどりいらんど。の新曲「Vision」の冒頭、ボーカルのannさんが、「ゆらり、り、り、り」と発した瞬間、ひらがなの言葉の響きが、蝶々のように舞い跳んで、ふわりと心に着地したように心地よく、言葉って、音楽にのったとたん、こんなにも美しく変容するんだと思った。現実と違う、異次元の世界に、ふいに迷い込んだような、すてきな予感に満ちた体験で、あんどりいらんど。さんの歌の魅力に、少し触れたような気がした . . . 本文を読む
ボーカルの女性は、華(はな)といわれる。歌の心を体現するのが、ボーカリスト。歌と聴き手をつなぐ窓のような存在。ボーカリストの個性は、歌の個性にもつながる。月曜日の晩、「Girls! Girls! Girls!」と称するライブに行ってきた。
個性的な女性ボーカリストが集まり、それぞれ自分色の世界が広がった。
可愛いらしいアイドル系の子もいれば、プロ並みの迫力ある声の人もいて、十人十色。 . . . 本文を読む
「練習は同じことの繰り返しだけれども、一回、一回ごとにだんだん曲の全体が現れてくる。いろんな楽器が奏でる音の集まりは、宇佐子の耳の中を暖かな生き物みたいに走り回った。そして跳ね回った。あるひとつの音は、最初、その音だけのために存在しているのに、次の時には同じ音が別の音と手を繋ぐ。手を繋いだ音はまた別の音と響き合う。」(中沢けい著「うさぎとトランペット」から)怒涛の音楽週間が終わった。どっぷり浸って . . . 本文を読む
映画と音楽、音楽と映画の間を行ったり来たりしながら、いろんなことを考えていた。木曜日以来、たて続きの音楽イベントの充実ぶりに感じることは、あふれるほど。まだどれも言葉にできないうちに、明日もまた大切な音楽イベントがあるというのに、今日(日曜)観た映画に、いきなりとどめをさされた。前田敦子の新曲『セブンスコード』のミュージックビデオとして制作された作品が限定期間の劇場公開へ。
『もらとりあむタマ子 . . . 本文を読む
新年初めの買い物で賑わう街中で、いいものを見た。映画を観に訪れた梅田ロフトの前。人だかりがしていて、どっと笑い声が聞こえた。
チケットを買いに映画館に入った時は、いつもの人だかりと思い通り過ごした。ビルを出て、斜め向かいの本屋に行こうとしたら、人だかりの囲みの端の方は人も少なくて、大道芸人の姿がみえた。観客らしき若い男性の一人を立たせて輪投げをしていた。
頭に一つ、続いて、曲げて挙げた両腕に二 . . . 本文を読む
2013年のベストテンを考える時期になりました。今年私が観た新作の中から、十年後の自分にぜひ観てほしい映画を紹介するつもりで、選んでみました。今年は思ったほど新作も観れておらず、大事な作品も見逃しているかもしれません。超個人的なベストテンです。
邦画に関して、今年は、なんといっても夏に行われた「濱口竜介レトロスペクティブ」の存在が大きかったです。『PASSION』とか何本か観ていましたが、今回の . . . 本文を読む