日曜日に観てから、いろいろ考えるにつけ、まぎれもない反戦映画だと思う。イラク戦争で、4回も戦地に赴き、狙撃手として、仲間たちを敵の銃弾から守ってきたクリス・カイル。「伝説野郎」と呼ばれ愛された「英雄」を描いていながら、彼が戦場で活躍した姿よりも苦渋する姿の方が、強烈に心に残る。
映画を観終わって感じるのは、彼が、戦争により抱えてしまった心の傷の深さであり、重さだ。
砂嵐がやってきて、とんでもな . . . 本文を読む
頭の中でいろんなものが混沌としている。昨晩観た映画『ハッピーアワー』の世界、今日観た『炎のごとく』の世界、あんどりいらんど。の買ったばかりのCDの悲しげなバラードのメロディが、入り交じる中で、この映画をどう受け止めたらいいのか、戸惑っている。これはビールでも飲むしかないと、青鬼だとか、よなよなとか、買い込んだ缶ビールを飲んだりしてみる。こうして、一人でいると、どうしようもなく、崩壊してくる。独り身 . . . 本文を読む
冒頭、何十センチも雪が積もった家の屋根に菅原文太と倍償美津子が落ちそうになりながら、なんとかしがみついている。そこに、白黒の画面で、文太が、賭場みたいなところで、すごい勢いで斬りあい、相手を斬って、自分も斬られ、屋根から道に落ちたところを、通りがかった瞽女のおりん(倍賞)にかくまわれるシーンが、カットバックで、交互に映し出され、一体、いきなり何が起きたのだろうと思いながらも、怒涛のような勢いにのま . . . 本文を読む
そこは宇宙船の底のような空間。暗くて、コンクリートの打ちっぱなしの壁に、高い天井。初めて行った時は、煙草を吸ってる人も多く、もやっとしていた。穴蔵みだいに思えた空間も、何度も行くうちに、居心地がよくなる。案外広くて、お酒を飲めるバーと別部屋になっているから、一人で手持無沙汰でも、人目を気にせず、薄暗い空間に身をうずめ、聴いたばかりの曲に思いを漂わせることができる。
大好きなあんどりいらんど。のラ . . . 本文を読む
映画は、犯人に魅力があればあるほど、おもしろくなる。淡々と犯行を進めていく中で、多くは語らず、謎を秘めながらも、根本的な動機だけは伝わる…。そういう感じ。1975年の増村保造監督の映画。冒頭、新幹線沿線の騒音被害に苦しむ、名古屋市熱田区の住民の姿が映される。患者が亡くなり、若い医者秋山は、騒音対策の実施を要求し、要求を受け入れなければ10日以内に新幹線を転覆させ、止めるという脅迫状を . . . 本文を読む
先週日曜日の午後、西宮のMusic Bar TREKという阪急高架下の小さなお店で、Shining Smile Girls Festa Vol.3というライブイベントに行ってきた。猫衣林薙さん、まりなっちさん、annちゃん、MITSUNAさん、Smile(EMI)さん、5人のGirlsのほか、今回、まりなっちさんはパンチョスさんとのユニットproject-Pとして出演。アットホームな雰囲気の中、個 . . . 本文を読む
『ONCE ダブリンの街角で』が大好きで、ジョン・カーニー監督の新作が公開とのことで、観に行ってきた。英題は『begin again』。
シンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、同じくミュージシャンの恋人(アダム レヴィーン)が、映画のサントラ曲で、一気にメジャーとなり、いっしょにNYにやってくる。でも、恋人は人気が出て、ツアー中に別の女性と恋に落ちる。グレタは、ひとりで部屋を飛 . . . 本文を読む
「はみだしっ子」は、十代のあの頃のバイブルであり、永遠だ…と思った。現実にうまく適応できなくて、ぶつかりまくり、心の傷だらけだった十代の私を受け止めてくれたのが、三原順の漫画「はみだしっ子」。美しい、色鮮やかな原画の展示を見て、私の思いが、絵の中に、言葉に溶け込んでいる…のを実感した。先週末、東京に行く機会に恵まれ、旧友と久しぶりに会って、明治大学の米沢嘉博記念図書館に . . . 本文を読む
増村保造監督は、こういうマイナーな作品でこそ、存分に遊んでいて、演出の腕が冴え渡るのではないか。
チンピラの若者達がひょんなことで旅芸人一座に転身。再興に躍起になる。そんなうまくいくわけないという話でも、増村の見事な語り口で、本郷功次郎(銀之助)、藤巻潤(松)、千波丈太郎(豊)と若い役者たちが、自由奔放に生き生きと暴れ回る。中村鴈治郎、ミヤコ蝶々らが独特の妙味を醸し出し、気骨ある、頼りがいある年 . . . 本文を読む