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No130「サヨナラ COLOR」竹中直人監督

日曜の夜。
市内中心部から少し離れた劇場は、いつもなら、がらがらのはず。
それが、どうしたことか、若者であふれている。
なぜ・・・? 竹中直人ってそんなに人気があるの????

エンディングで流れる歌がすばらしくて、調べてみて、混雑のわけがわかった。
人気ファンクバンドSUPER BUTTER DOGの名スローバラードなのだ。
この映画のタイトルも、この歌からとっている。

鎌倉の海が本当にきれいで、病院で死ぬなら、海が見える病院がいいと思った。
青い空、青い海。白い波しぶき。
特に、未知子と正平がピクニックに出る海が最高。

佐々木正平の働く病院に、高校の同級生で、あこがれのマドンナ未知子(原田知世)が入院してくる。
でも、美智子は正平のことを何も覚えてもいない。
高校時代、クラスの嫌われ者だった正平。
今も、街で女子高生に「火星人?」と聞かれたみたいに、決してカッコいい風貌ではない。
でも、未知子への想いは、あの時から変わっていない。
必死に治療を続ける正平。
ほとんどストーカーになりかねない医師、正平に、竹中直人がぴったりはまっている。

高校時代、バレリーナを目指していた未知子を正平はじっと見つめていた。
今、自分の運命を悟った正平が、
自宅で、援交相手の女子高校生を前に、同じ曲でバレエを踊る。
日本家屋で、橙色の照明に、畳の上。浴衣にねじりはちまきで踊る竹中の
上に伸ばした腕、爪先立ちの足のみごとなこと。
正平の姿を見て、やたら笑いころげる少女の溌剌さと対照的になって、
正平の心境が切々と伝わってくる、みごたえあるシーン。
夜中に、病院の屋上で正平が踊っているのを遠景でとらえたシーンともだぶって、胸に迫ってくる。

ラスト近く、退院の準備ができた未知子の病室。
看護婦は「佐々木先生、どこ行っちゃったんでしょうね」と言って病室から出て行く。
正平は来ないのだろうか。不安な面持ちで未知子も病室から廊下に探しに出て行く。
誰もいない病室。
カメラはじっとそのまま、廊下を通り過ぎる人たちをとらえていく。
静寂が漲る。
ふっと場面が変わると、男の靴がアップで映る。
カメラはそのままゆっくり上がって、後姿をとらえる。
正平が他の病室で、窓を見ながら背中を向けて立っている。〔逆光だ〕
そして、突然、痛みを訴えて崩れ落ちるようにして倒れる。
このシーンの緊張感もすごかった。劇的な瞬間。

エンディングの歌を聞いて
あらためて正平の思いが伝わってきた。
しつこくて、他人から見たら、全然かっこよくない。
けど、人になんと言われようと、彼は、最後まで自分の思いを貫いたんだってこと。

海の青、未知子のカーディガンの赤、波の白、ランプの光が暖かくて、まぶしい。

ミュージシャンがやたらチョイ役で出ていて、ファンにはたまらないのだろうが、
首をかしげたくなるほど多くて、気になった。

もっと気になったのが、
病室の仕切りのカーテンをつかって正平が未知子に影絵を見せるシーン。
光源と正平が居る位置が逆じゃないかと思ったが、
わかっていて、そうしたのだろうか。

あまりにすてきなので、最後に歌詞を紹介したい。

「サヨナラ COLOR」

そこから旅立つことは
とても力がいるよ
波風たてられること
きらう人 ばかりで

でも 君はそれでいいの?
楽がしたかっただけなの?
僕をだましてもいいけど
自分はもう だまさないで

サヨナラから はじまることが
たくさん あるんだよ
本当のことが 見えてるなら
その思いを 僕に見せて

自分をつらぬくことは
とても勇気がいるよ
だれも一人ぼっちには
なりたくはないから

でも 君はそれでいいの?
夢の続きはどうしたの?
僕を忘れても いいけど
自分はもう はなさないで

サヨナラから はじまることが
たくさん あるんだよ
本当のことが 見えてるなら
その思いを 捨てないで

サヨナラから はじまることが
たくさん あるんだよ
本当のことが 見えてるんだろ
その思いよ 消えないで
その思いを 僕に見せて

www.sayonara-color.com/
 
満足度 ★★★★★★(星10個で満点)
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (シカゴ)
2005-09-09 12:49:03
いい歌ですね



誰の歌ですか?
 
 
 
シカゴさんへ (パラパラフィン)
2005-09-11 23:56:11
いちおう、記事の冒頭に書いてあったのですが、

気づかれなかったのですね。

若者に人気のパンクバンド、

「SUPER BUTTER DOG」です。

記事も校正しておきます。
 
 
 
ありがとうございます (シカゴ)
2005-09-12 12:59:15
ぜひこの歌、聴いてみたいと思います。
 
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