(2) スカイフック型
スカイフックは、端的にいえば小型のOEVである。地球の自転周期と同期(地上に対して静止)しているものと、非同期で周回しているものに分けられる。本稿におけるスカイフック型の定義は「地上に接触せず、宇宙空間(または一部が大気圏内)に位置し、質量を上方へ持ち上げる能力を持つ小型のOEV、およびその方法」といったところか。
OEV全般をひとくくりにスカイフックと呼ぶ研究者もおり、文字通りとらえれば、ブーツストラップで建造したOEVも「地球の自転と同期して周回し、下端が地上に接したスカイフック」と見なすこともできる。当然これを完成させるまでに用いられる技術はブーツストラップ工法が用いられうるのだが、本稿ではこれらの名称で両者を分類するのが良いと判断した。
さて、スカイフックはさらに、直立型と自転型に大別できる。直立型は長い棒または紐が下端を常に地球重心に向けたまま、地球を周回するもの。地上とぶつからない限り全長は理論上いくらでもいいわけだが、軌道重心の位置により、公転速度は異なる。この研究で有名なのが、R.ズブリンの「極超音速スカイフック」である。
一方自転型の提唱者には、かのアルツターノフも名を連ねているほか、ロボット工学でも有名なH.モラヴェックなどがいる。これはスカイフック全体が、軌道重心を回転軸としてくるくる自転しながら、地球を周回しているというもの。回転のたびに一方の端が下がって、低軌道あるいは大気圏内まで達し、この時にシャトルなどが接触して人や物資を受け渡し、スカイフックの自転運動によって、より高軌道に運んでもらうというもの。
直立型にしろ自転型にしろ、下端が大気圏に達している場合は、摩擦によって角運動量に偏りが生じるほか、もちろん摂動によってもズレが生じ、常に微調整する必要がある。また、持ち上げる質量がスカイフックの運動エネルギーの一部を持って行ってしまうので、エネルギーを足してあげなければいけないことになる(宇宙から同じ分の質量が戻ってきて、スカイフックを下りに利用すれば別だが)。
冒頭で紹介したアニメ「宇宙エレベータ」に登場するモデルは、ブーツストラップ工法で非同期スカイフックを造り、最終的には巨大な静止状態のエレベーターにするというものである。
(次章に続く)
スカイフックは、端的にいえば小型のOEVである。地球の自転周期と同期(地上に対して静止)しているものと、非同期で周回しているものに分けられる。本稿におけるスカイフック型の定義は「地上に接触せず、宇宙空間(または一部が大気圏内)に位置し、質量を上方へ持ち上げる能力を持つ小型のOEV、およびその方法」といったところか。
OEV全般をひとくくりにスカイフックと呼ぶ研究者もおり、文字通りとらえれば、ブーツストラップで建造したOEVも「地球の自転と同期して周回し、下端が地上に接したスカイフック」と見なすこともできる。当然これを完成させるまでに用いられる技術はブーツストラップ工法が用いられうるのだが、本稿ではこれらの名称で両者を分類するのが良いと判断した。
さて、スカイフックはさらに、直立型と自転型に大別できる。直立型は長い棒または紐が下端を常に地球重心に向けたまま、地球を周回するもの。地上とぶつからない限り全長は理論上いくらでもいいわけだが、軌道重心の位置により、公転速度は異なる。この研究で有名なのが、R.ズブリンの「極超音速スカイフック」である。
一方自転型の提唱者には、かのアルツターノフも名を連ねているほか、ロボット工学でも有名なH.モラヴェックなどがいる。これはスカイフック全体が、軌道重心を回転軸としてくるくる自転しながら、地球を周回しているというもの。回転のたびに一方の端が下がって、低軌道あるいは大気圏内まで達し、この時にシャトルなどが接触して人や物資を受け渡し、スカイフックの自転運動によって、より高軌道に運んでもらうというもの。
直立型にしろ自転型にしろ、下端が大気圏に達している場合は、摩擦によって角運動量に偏りが生じるほか、もちろん摂動によってもズレが生じ、常に微調整する必要がある。また、持ち上げる質量がスカイフックの運動エネルギーの一部を持って行ってしまうので、エネルギーを足してあげなければいけないことになる(宇宙から同じ分の質量が戻ってきて、スカイフックを下りに利用すれば別だが)。
冒頭で紹介したアニメ「宇宙エレベータ」に登場するモデルは、ブーツストラップ工法で非同期スカイフックを造り、最終的には巨大な静止状態のエレベーターにするというものである。
(次章に続く)