目標に向かって消えた鈴田君

2012-11-19 10:34:39 | サラリーマン人生
 学校を卒業して社会人になる、その時僕には具体的な将来の夢なんて無かった。 いやそれどころか、高校の卒業間近にした時期、当時国語を担当していた教頭先生の雑談風な話の中で「君たちは社会の中堅となる、間違っても社長になろうなんて思わない方が良い!」 そんな「少年よ大志を抱け!」とは反対の言葉を贈られたものだ。 切れ長な細い眼、そして鼻の下にはチャップリン風のちょぼ髭を生やし、剣道の顧問をしていたその教頭先生の話は単に聞き流していた。(それなのに良く覚えているな > 自分)

 そして迎えた新入社員生活、 そこは同期入社した人達との付き合い開始の場ともなる。 そんな中、佐賀県の高校を出た鈴田君は「俺は2年間働いたらヨーロッパに行く」、「会社は辞める」と話していた。 それを聞いて随分ハッキリした目標というか意思を持った奴だなと思った。 引き続いて、「ヨーロッパへはウラジオストックからシベリア鉄道に乗って行く」そんな具体的な手段にまで言及するのだ。

 50年近く年月が過ぎても彼の出身地と名前を覚えていて、こんな風に書いたりするのは、それまで身近にいた友達と言えば「今度の週末、映画を見に行く」程度の言ってみれば一週間先の予定程度のものだった。 それに対して、2年も先の将来に向かって金を貯めて海外旅行に出る、こんな目標を持つ人間に出会ったのは彼が最初の人だったので強烈な印象となって50年後の今も記憶に刻み込まれた。

 ハッキリ2年後だったか覚えていないが鈴田くんは確かに会社から消えた。 当然ヨーロッパに渡ったのだと思うが、その時以降、同期入社した彼との接触は無くなり、今に至っている。 どうしているのかな?

その後、どんな人生を送っているのかな・・・
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