新年2回目の当記事からは、しばらく連続で韓国の温泉を取り上げます。
韓国(朝鮮半島南部)に地熱活動が盛んな場所は(おそらく)ありませんが、温泉浴場は各地に点在しており、庶民の憩いの場となっています。まずは韓国第二の都市である釜山市の温泉を巡ることにします。
釜山市には温泉地が複数あるのですが、手始めに海岸沿いの海雲台温泉へ向かうことにしました。海雲台温泉がある海雲台地区には、地下鉄とバスの両方でアクセス可能なのですが、ラッシュ時の渋滞が無い日中ならばバスの方が本数が多くて早いようなので、バスを利用することにしました。
釜山駅前から1003番の路線バスに乗車します。たしかに頻発していますし、座席が多い高速バス仕様の車両ですので駅前からなら座れる可能性が高く、至極便利で快適です。駅前を出発したバスは釜山の中心部から東部の近郊へと進んでゆくのですが、途中の停留所で次々にお客さんを載せ、やがて車内は大混雑・・・。
私が当地を訪れたのは2019年の夏だったのですが、海雲台はビーチリゾート地ゆえ海水浴客が大量に乗りこんで混んでしまったようです。釜山駅から約40分ほどで多くのお客さんが下車したビーチ目の前のバス停にて私も降りてみました。
この日は真っ青な空に白い砂浜が実に美しく、天高くそびえる高級リゾートの建物は夏の陽光を反射してキラキラと輝き、ビーチではたくさんの歓声が飛び交っていました。あぁ海に飛び込んで思いっきり泳ぎたい・・・。そんな感情を押し殺して街中へ。
海岸からちょっと入って路地を進むと、こんな庶民的な商店街もあるんですね。
当地には温泉浴場が複数あるのですが、まず向かったのは「海雲温泉(ヘウンオンチョン・해운온천)」という民間の施設です。私はハングルが全く読めないのですが、こちらはどうやら公衆浴場を併設した宿泊施設らしく、スマホの翻訳機能を駆使しながら外壁に書かれた文字を読んでみると、どうやら「100%食塩温泉水」と記されているようです。その言葉を信じ、入ってみることにしました。
1階駐車場の奥にある受付で湯銭を支払い、半券をもらってエレベータで上へあがります。エレベータ内の案内によれば、2階が女湯、3階が男湯で、5階と6階が客室とのこと。
3階でエレベータを下りると、すぐ目の前が男湯入口のドアでした。
中に入ると広い脱衣室があり、室内に待機している三助(おそらく垢すり)のおじさんへ券を渡します。まるで日本の銭湯のような脱衣室に文化的親近感を抱きつつ、任意のロッカーを使って着替えました(下足もロッカーへ収めます)。室内には床屋さんも併設されており、私の訪問時も実際におじさんが髪を切られている最中でした。
海外の温泉入浴で気になるのが、全裸なのかあるいは水着着用なのか、という点ですが、韓国の温泉は一般的に全裸入浴です。しかも陰部など恥ずかしいところをタオルで隠すことなく、堂々と行動するのが流儀のようです。私もご当地の流儀に従い、胸を張ってスッポンポンでお風呂へと向かいました。
浴場内も一見すると日本の大きな公衆浴場と同じように思えますが、細かく見てゆくと韓国ならではの設備も見られます。
室内の手前側には垢擦り場と洗い場が配置され、その左手に水風呂とサウナがあり、後述する浴槽を挟んだ奥の壁沿いにも洗い場が並んでいます。この後にも私は韓国各地の温泉浴場を巡るのですが、ご当地の浴場には必ずと言って良いほど、垢すり台と水風呂が設けられているのです。洗い場と浴槽の他、垢すり台と水風呂という4点セットが、韓国の公衆浴場には必需の設備のようです。
洗い場にはシャワー付き混合水栓がズラリ。たくさんあるので多少混雑しても全く問題ないでしょう。ただしシャンプーやボディーソープの備え付けは無く、使いかけの石鹸が置かれているのみなので、石鹸ではご不満の方は自分で持参する必要があるでしょう。
浴場の中央に大きな浴槽がふたつ並んでいます。脱衣室側の浴槽には亀の湯口が設けられ、亀の口からピューっとお湯が注がれていました。とはいえ亀の口から注がれるお湯の量は少なく、槽内で稼働している循環装置からの投入と吸引がメインとなっているようでした。特に槽内吸引がとても強力です。循環機能の甲斐があってか、湯加減は適温。じっくり湯浴みできる良いお湯でした。
一方、その隣にある浴槽では吸引装置などの稼働は確認できず、至って静かだったのですが、後程おじさんがこの浴槽に入って、設置されている赤いバルブを開くと、その先から熱々の温泉が大量に投入され、これに伴って浴槽縁の切り欠けからしっかりとお湯がオーバーフローしていきました。なるほど、亀がいない方の浴槽は溜め湯式で、客が任意でバルブを開けることにより新鮮源泉が注がれるわけですね。ただしお湯は熱いので常時入れっぱなしにすることはできず、適度なところでバルブを締めなければならないのです。
さてお湯に関してですが、建物の外壁に書かれていたように典型的な食塩泉であり、無色透明ほぼ無臭のお湯からははっきりとした塩味と薄い苦汁の味が感じられました。しかしながら塩辛いわけではなく、津軽平野の内陸部に点在する食塩泉のような、甘塩味とでも表現すべきものでした。海に近いからといって、ダイレクトに海水の影響を受けているわけではないようです。湯中ではツルスベの滑らかな浴感の中に引っかかる感触が混在して肌に伝わりました。食塩泉ですから体の芯までしっかり温まります。なかなか良いお湯でした。
脱衣室には分析表が掲示されていました。蒸発残留物が5970mgで、ナトリウムイオンが2133mg、塩化物イオンが2371mgという典型的な食塩泉です。効能書きには漢字が多用されているため、私でも大体読み取れました。
風呂上がりに施設のまわりをウロウロしていたら、裏手に「鉱泉」と赤く書かれた看板と、コンクリで蓋をされた構造物を発見しました。もしかしたらここが源泉かもしれませんね。
ナトリウム-塩化物温泉 61℃ pH7.3 蒸発残留物5970mg/kg
Na+:2133.0mg, Ca++:615.0mg,
Cl-:2371.0mg, SO4--:450.0mg,
釜山広域市海雲台区中1洞1128-41
(부산광역시 해운대구 중1동1128-41)
営業時間不明
7000ウォン
私の好み:★★+0.5
韓国(朝鮮半島南部)に地熱活動が盛んな場所は(おそらく)ありませんが、温泉浴場は各地に点在しており、庶民の憩いの場となっています。まずは韓国第二の都市である釜山市の温泉を巡ることにします。
釜山市には温泉地が複数あるのですが、手始めに海岸沿いの海雲台温泉へ向かうことにしました。海雲台温泉がある海雲台地区には、地下鉄とバスの両方でアクセス可能なのですが、ラッシュ時の渋滞が無い日中ならばバスの方が本数が多くて早いようなので、バスを利用することにしました。
釜山駅前から1003番の路線バスに乗車します。たしかに頻発していますし、座席が多い高速バス仕様の車両ですので駅前からなら座れる可能性が高く、至極便利で快適です。駅前を出発したバスは釜山の中心部から東部の近郊へと進んでゆくのですが、途中の停留所で次々にお客さんを載せ、やがて車内は大混雑・・・。
私が当地を訪れたのは2019年の夏だったのですが、海雲台はビーチリゾート地ゆえ海水浴客が大量に乗りこんで混んでしまったようです。釜山駅から約40分ほどで多くのお客さんが下車したビーチ目の前のバス停にて私も降りてみました。
この日は真っ青な空に白い砂浜が実に美しく、天高くそびえる高級リゾートの建物は夏の陽光を反射してキラキラと輝き、ビーチではたくさんの歓声が飛び交っていました。あぁ海に飛び込んで思いっきり泳ぎたい・・・。そんな感情を押し殺して街中へ。
海岸からちょっと入って路地を進むと、こんな庶民的な商店街もあるんですね。
当地には温泉浴場が複数あるのですが、まず向かったのは「海雲温泉(ヘウンオンチョン・해운온천)」という民間の施設です。私はハングルが全く読めないのですが、こちらはどうやら公衆浴場を併設した宿泊施設らしく、スマホの翻訳機能を駆使しながら外壁に書かれた文字を読んでみると、どうやら「100%食塩温泉水」と記されているようです。その言葉を信じ、入ってみることにしました。
1階駐車場の奥にある受付で湯銭を支払い、半券をもらってエレベータで上へあがります。エレベータ内の案内によれば、2階が女湯、3階が男湯で、5階と6階が客室とのこと。
3階でエレベータを下りると、すぐ目の前が男湯入口のドアでした。
中に入ると広い脱衣室があり、室内に待機している三助(おそらく垢すり)のおじさんへ券を渡します。まるで日本の銭湯のような脱衣室に文化的親近感を抱きつつ、任意のロッカーを使って着替えました(下足もロッカーへ収めます)。室内には床屋さんも併設されており、私の訪問時も実際におじさんが髪を切られている最中でした。
海外の温泉入浴で気になるのが、全裸なのかあるいは水着着用なのか、という点ですが、韓国の温泉は一般的に全裸入浴です。しかも陰部など恥ずかしいところをタオルで隠すことなく、堂々と行動するのが流儀のようです。私もご当地の流儀に従い、胸を張ってスッポンポンでお風呂へと向かいました。
浴場内も一見すると日本の大きな公衆浴場と同じように思えますが、細かく見てゆくと韓国ならではの設備も見られます。
室内の手前側には垢擦り場と洗い場が配置され、その左手に水風呂とサウナがあり、後述する浴槽を挟んだ奥の壁沿いにも洗い場が並んでいます。この後にも私は韓国各地の温泉浴場を巡るのですが、ご当地の浴場には必ずと言って良いほど、垢すり台と水風呂が設けられているのです。洗い場と浴槽の他、垢すり台と水風呂という4点セットが、韓国の公衆浴場には必需の設備のようです。
洗い場にはシャワー付き混合水栓がズラリ。たくさんあるので多少混雑しても全く問題ないでしょう。ただしシャンプーやボディーソープの備え付けは無く、使いかけの石鹸が置かれているのみなので、石鹸ではご不満の方は自分で持参する必要があるでしょう。
浴場の中央に大きな浴槽がふたつ並んでいます。脱衣室側の浴槽には亀の湯口が設けられ、亀の口からピューっとお湯が注がれていました。とはいえ亀の口から注がれるお湯の量は少なく、槽内で稼働している循環装置からの投入と吸引がメインとなっているようでした。特に槽内吸引がとても強力です。循環機能の甲斐があってか、湯加減は適温。じっくり湯浴みできる良いお湯でした。
一方、その隣にある浴槽では吸引装置などの稼働は確認できず、至って静かだったのですが、後程おじさんがこの浴槽に入って、設置されている赤いバルブを開くと、その先から熱々の温泉が大量に投入され、これに伴って浴槽縁の切り欠けからしっかりとお湯がオーバーフローしていきました。なるほど、亀がいない方の浴槽は溜め湯式で、客が任意でバルブを開けることにより新鮮源泉が注がれるわけですね。ただしお湯は熱いので常時入れっぱなしにすることはできず、適度なところでバルブを締めなければならないのです。
さてお湯に関してですが、建物の外壁に書かれていたように典型的な食塩泉であり、無色透明ほぼ無臭のお湯からははっきりとした塩味と薄い苦汁の味が感じられました。しかしながら塩辛いわけではなく、津軽平野の内陸部に点在する食塩泉のような、甘塩味とでも表現すべきものでした。海に近いからといって、ダイレクトに海水の影響を受けているわけではないようです。湯中ではツルスベの滑らかな浴感の中に引っかかる感触が混在して肌に伝わりました。食塩泉ですから体の芯までしっかり温まります。なかなか良いお湯でした。
脱衣室には分析表が掲示されていました。蒸発残留物が5970mgで、ナトリウムイオンが2133mg、塩化物イオンが2371mgという典型的な食塩泉です。効能書きには漢字が多用されているため、私でも大体読み取れました。
風呂上がりに施設のまわりをウロウロしていたら、裏手に「鉱泉」と赤く書かれた看板と、コンクリで蓋をされた構造物を発見しました。もしかしたらここが源泉かもしれませんね。
ナトリウム-塩化物温泉 61℃ pH7.3 蒸発残留物5970mg/kg
Na+:2133.0mg, Ca++:615.0mg,
Cl-:2371.0mg, SO4--:450.0mg,
釜山広域市海雲台区中1洞1128-41
(부산광역시 해운대구 중1동1128-41)
営業時間不明
7000ウォン
私の好み:★★+0.5