お宿&かふぇ 布屋 《主人のひとりごと》

120年経った京町家を改修した民宿『布屋』

母の日のおひるごはん

2015年05月13日 19時22分29秒 | 京都で食べること飲むこと
毎年母の日にはうちのおばあちゃんをお昼ごはんに連れて行ってあげます。いつもはうちの奥さんと二人で行き僕はいつもお留守番役でしたがなんかいつも損してる?みたいなので今年は宿を休んんで3人で行きました。ここ数年は毎回仏光寺の烏丸をはいったところにある和食の「桜田」に行ってましたが今年の2月に皆さんに惜しまれながらも閉店してしまいました。30年位続く和食の名店で、あんなに人気があっても店を拡げることをせづに清くご自分のペースで守って来られた「味」がなくなってしまい、ご贔屓の間ではかなりショックな閉店でした。今年はどこに行こうかとかなり悩んでいましたがある雑誌に「桜田」にいた人が割と近くで店を始められたとの記事をみて今年はそのお店に行くことになりました。



町家が2軒並んでいる外観です。隣はイタリアンの「東洞(とうどう)」です。このイタリアンもなかなか人気で僕も一度だけ伺いましたが3種類のパスタが食べれるランチは秀逸です。(予約が絶対です)



そして今回伺ったのが「樋渡」(ひわたし)です。もともとこの町家で以前和食の「光安」(みつやす)さんが営まれていました。光安さんの時の町家改修工事の設計担当がうちと同じ末川さんなのです。ミシュラン2つ星に輝く光安さんが千本丸太町に移転された後に入られたお店です。



オモテの間と奥の間の二間を使った小さなお店で、なんと昼、夜とも一日一組づつもてなすというお客様主体の考えで営んでおられます。奥の間に通されて心配していた畳に座布団ではなくて低い座卓に低い椅子でおばあちゃんも安心して食事が出来ました。まず



先付は「アオリイカに土佐酢のジュレ」がかかっています。下には山菜が敷かれています。



そして吸物は「あいなめ」です。一寸豆、じゅんさいと矢羽根に切ったウドを添えて。(五月の節句を意識しての仕事がしてある一品です)



造りは「鯛の薄造り、イサキ」です。なにしろ一日一組なのでご主人が丁寧に作って着物姿の奥様がゆったりサービスするという理想的なお店です。



小さな坪庭と



小さな床の間ですが季節が感じられます。



そしてここは季節の先取り「鱧落とし」です。次に



焼き物で「鱒の照り焼き」小松菜と和食では珍しいトマトが添えられています。



まだ出ます。椀物で「竹の子に蛤と若布」です。蛤もたっぷりです。そして土鍋ごはんはまづ奥様が土鍋で炊いたご飯をプレゼンして



ひとりづつ盛って供されます。鬼浅利としょうがの炊き込みごはんです。三重の浅利がまた美味しい。お漬物も竹の子、胡瓜そしてトマト。それぞれひと手間がかけられています。原価率は大丈夫かななんてうちの奥さんが心配するくらいです。そして





えんどう豆の葛饅頭。ツルツルです。お抹茶と共に。ふと時間をみると午後2時30分です。なんだかゆったりと食べていたらあっという間に二時間半も経っていました。これも昼夜とも一日一組のなせる業です。帰りにご主人にもう一つテーブルがあるから二組受けられますのにと言うと「一組だとご家族でも結構ゆったりしてもらえるし小さな子供さんを連れられても安心して召し上がられるのでこのようにしています。」とのこと。これで税別で一人¥5000です。実はお昼の予約は一か月待ちです。4月中旬に電話したら最短で5月中旬しか予約が空いていませんでした。昼、夜それぞれ一日一組だから予約はお早めに。帰りにご主人と奥様が店の前で見送ってくれます。「桜田」と同じです。でも桜田は路地なのでアプローチが短いがここは東洞院に面しているので見えなくなるまで店の前に二人が立っていて僕たち以上に大変だなあと感じました。