曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

「真田丸」最終回「疾風」の感想(その1)

2016-12-19 17:35:17 | 大河ドラマ


テーマ曲なしでスタート。幸村の説得に失敗したからか、大坂を去った信之は、尼寺で本多正信と相部屋になる。寝息がうるさくて眠れない。

大坂城では最後の軍議。中央左が勝永。中央右が幸村。左翼に大野治房、右翼に遊撃隊として明石全登。少数の明石隊が回り込んでも挟撃にはならないのでは、と思わせるところも史実通り。


「天王寺・岡山の戦い」開戦時の情況

幸村には出撃前にやることがあった。厨房に行って与左衛門を問い詰めた。娘が秀吉に手籠めにされ、それを苦にして娘と妻が自殺したらしい。理由はともかく、生かしておくわけにはいかん。斬ろうとしたら、与左衛門は串で自害した。

死体をちゃんと確認しろよと思ったが、佐助もいるし、間違いはないだろうと。それより、そういう事情があっても容赦しないのは、従来のNHKドラマの主人公らしくなくて良い。

正信が御役御免になり、徳川の第一軍師は本多正純になっていた。正純は幸村内応の噂を流す策を提案。結果的にはこれが勝因の一つになった。

茶々と幸村の最後の逢瀬。イチャコラしたのでチューくらいするかなと思ったけど、なにげに茶々もこのとき46歳だからね。ギュッとしながら「望みを捨てない者だけに未来は開ける」というテーマ的な訓話をしたのみ。さらに、この戦の勝利を材料に戦後交渉を有利に進め、四国に移動するという例の戦略を披露。


「美しい死などありません」と、あくまで生きましょうと説く幸村。

この期に及んでまだ勝つ気でいるのはどうかと思ったが、単に家康の首を取れば勝ち、みたいな単純な作戦だったら幸村も又兵衛と変わらないって話になるので、まあこれはよい。

鎧を着ながら内記と会話。

幸村「私は私がこの世に生きた証を残せるだろうか」
内記「義を貫き通し、徳川家康と渡り合った真田左衛門佐幸村は、日本一の兵として語り継がれるに相違ありません」

最終回的まとめ会話が次々に差し込まれる。決戦は近い。

幸村、勝永、全登、大野治長で現場会議。勝利条件は秀頼の出馬。もし出馬されなくても治長が千成瓢箪の馬印を持ってきてるので、雑兵は騙せる。そういうのはちょっと…的な幸村の反応。微妙に伏線。



と、唐突に開戦。毛利隊と本田忠朝隊が撃ち合いを始めてしまった。さっそく計画が崩れる豊臣勢。しかし、後に「真田ばっかり褒められて毛利が褒められないのは残念」とまで言われた勝永の快進撃が始まった。銃ではなく刀槍戦で暴れる勝永。実写は少なめだが、コーエーマップ上では次々に徳川勢を撃破してゆく。

真田隊はロケ映像。特に説明なく家康本陣に迫る。「狙うは家康の首ただひとおおおおおつ!!」と叫びながら騎馬で疾駆していく。その姿を、千姫を連れたきりが見ていた。キラキラしている。源次郎様超かっこいい。

大野治房隊が秀忠の本陣を粉砕し、秀忠が情けない表情で逃げ出した。この恥ずかしい逃走が、後で役に立つのだった。

しかし、現役の将軍の司令部を蹴散らすってのは、かなり凄いことではないだろうか。実質的な本部は家康の本陣だが、秀忠隊だって3万はいただろう。

幸村隊は東軍の真田隊を軽く蹴散らして進撃。三十郎が「源次郎さま〜!」と取りすがるが、幸村は「小物には構うな」と冷たい。これがかつての主従の永遠の別れになるとは。戦場とは非情なものだ。

突出した松平忠直隊をうまくやり過ごし、浅野長晟が裏切ったという情報を流して混乱させたという話がないので、30万の徳川軍を突破した幸村の神憑り的な用兵の納得感はイマイチ。気付けば家康本陣だった。倒しても倒しても無限に湧いてくる徳川兵団をかいくぐり、なおも突撃をかけるカッコイイ姿を期待していたのだが。

だが、内野家康の逃げっぷりは予想を超えていた。文字通り転げるように走って走って走った。家康本陣の馬印が踏み倒されたのは、三方ヶ原で信玄に負けた時以来というナレーション。

これは勝てるかも、という予想外の展開。勝ちを確実にするため、秀頼の出馬を促しに大野治長が大坂城に戻った。馬印を持って。

千成瓢箪はそんなに高くないし、林に遮られたりして見えにくいと思うのだが、目撃した雑兵共は負け戦と勘違いして士気低下。さらに、生きていた与左衛門が放火して煙が上がった。勢いを盛り返す徳川軍。

片桐且元から始まり、幸村の牢人軍団維持策も含めて豊臣側には多数の敗因があるが、今日に関しては大蔵卿局と与左衛門だった。特に、出撃しようとする秀頼を再三押しとどめた大蔵卿局の罪は万死に値する。秀頼の意志薄弱さも呆れるほどだったが。

作兵衛が被弾している隙に家康の目の前に到達した幸村。例の短銃身を十字槍で支えて家康を狙う。草原で十数人だけの護衛しかいない家康と、単騎で対決する幸村の図は、もうファンタジーの領域というか、やはり舞台劇チックである。このシーンは公式サイトに事前に掲載されていたので、僕は「やっぱりこう来たか」としか思わなかった。まあ、これはこれでいいんじゃね?



家康「殺したければ殺せ。儂を殺しても何も変わらん。お前のような戦でしか生きた証を残せぬような奴は、この先何処にも居場所がないわ!」

幸村「そのようなことは百も承知! されど私はお前を討ち果たさなければならないのだ!」

家康の意見は正しいが、後の世でヒーローになるのは幸村の方なんだよなあ。幸村は何も変えられない戦いに身を投じて、多分半永久的な名声を手にした。どちらが真の勝者なんだろうね。と、家康の耳元で囁きたい。家康の肩に手を置いて、彼の心に直接語りかけたい。



逃げた秀忠が駆けつけて、幸村の家康狙撃は失敗に終わった。ああ、豊臣勢はこの世界線でも勝てなかった。

(その2に続く)
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