2011年10月13日 21時7分 更新:10月13日 21時22分
![中部電力浜岡原発=静岡県御前崎市で2011年7月25日、本社ヘリから木葉健二撮影](http://mainichi.jp/select/today/news/images/20111014k0000m040078000p_size5.jpg)
静岡県御前崎市の中部電力浜岡原発が立地する海岸に、明応東海地震(1498年)で遡上(そじょう)高15~20メートルの津波が押し寄せていた 可能性があることが、東京大地震研究所の都司嘉宣(つじよしのぶ)准教授(地震学)の分析で分かった。中部電が津波対策の根拠としている最大想定の10 メートルに比べ、1.5~2倍もの高さとなる。静岡市で開かれている日本地震学会で13日、報道陣に明らかにした。
都司准教授は静岡県内の古文書や伝承を調べ、明応東海地震で浜岡原発から西へ約30キロの同県磐田市掛塚付近で、遡上高約10メートルの津波があったと推定した。
この分析を会場で発表後、都司准教授は報道陣に、御前崎市の周囲は浅い海底が外洋に突き出すように広がり、津波のエネルギーが集中しやすい地形に なっていると指摘。「浜岡原発には(明応東海地震で掛塚を襲った津波の)5割増し、もしくは2倍の津波が来る可能性がある」と述べた。
中部電は、東海・東南海・南海の3連動型地震よりも更に大きなマグニチュード9の地震が発生した場合、高さ10メートルの津波が浜岡原発を襲うと 想定し、浜岡原発に高さ18メートルの防波壁の建設を進めている。高さ20メートルの津波が襲う可能性があるとの分析は、今後浜岡原発の安全性を巡る論議 に一石を投じそうだ。
中部電は毎日新聞の取材に対し「都司准教授の研究の詳細を知らないのでコメントできない」と話している。【平林由梨】