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森羅万象 ~ 歩く印象派

ウォール街発 全米へ

2011年10月10日 20時42分02秒 | 時事スクラップブック(論評は短め)

2011年10月5日(水)「しんぶん赤旗」

格差問う青年ら行動


 【ワシントン=小林俊哉】米金融界の中心地ニューヨークのウォール街で9月17日から始まった抗議活動は、3週間目に入った3日も、続きました。 「人口のわずか1%の富裕層の貪欲」に抗議し、「腐敗の根絶」を求めて始まった運動ですが、ピッツバーグ、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスなど各 地に波及しています。


ニューヨークの公園泊まり込んで参加

 同活動は「ウォール街の占拠」運動と呼ばれています。各地の活動の連絡役だという団体「OCCUPY TOGETHER(一緒に占拠しよう)」によれば、カナダに本拠を置く“反消費社会運動団体”の提唱で始まったといいます。

 「党派からの中立」を建前に、反戦団体、消費者保護団体、貧困問題に取り組む団体など、さまざまな組織や市民が駆け付け、思いの丈を表明していま す。「僕の父は失業中。大学の学費が支払えない」などと訴え、若者層を中心にウォール街周辺の公園などに泊まり込んでいます。水や食料などは寄付を中心に 賄っています。

 1日には1500人規模のデモを行い、「交通妨害」を理由に700人が逮捕される事態となりました。逮捕者のほとんど全員が即日釈放されました。

 米資本主義の矛盾を告発する著名映画監督マイケル・ムーア氏も、この運動を激励。米メディアは、野党・共和党を支持する草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」の台頭と比較して、“リベラル派からの反撃”と注目しています。

 カーニー大統領報道官は3日、「オバマ大統領もこの運動を認識している」として、「現在の経済状況にどれほど国民が不満を抱いているか、われわれも理解している」と述べました。

 同運動には、特定の政治要求の実現といった個別目標はなく、現在の米経済・社会のあり方への抗議の表明という面が強く出ています。運動の参加者たちはインターネットや簡易ブログのツイッターなどを通じて情報を交換し、各地での運動の組織化に向けて助言しあっています。

 今週は、首都ワシントンでも連帯の運動が企画されています。

 主要労組は、これまでのところ、同運動への支持を表明していません。しかし米メディアは、今週末にかけて一部労組が食料の差し入れなどの面で支援を表明すると報じています。

 与党・民主党内のリベラル派運動団体「ムーブ・オン」の関係団体も5日にウォール街でデモ行進し、この運動に呼応するとしています。

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たばこ値上げ―財源より健康のために

2011年10月10日 07時12分09秒 | 私の目の前での喫煙はお断り

2011年10月10日朝日新聞 社説より

 東日本大震災の復興財源として、たばこ増税が検討されている。1本当たり2円、1箱にすれば40円になる。

 復興に多額の資金を要することは事実だが、取りやすいところからとる安易な議論でなく、たばこ価格は国民の健康の観点から考えるべきだ。

 英国の医学誌「ランセット」は先月、日本の皆保険制度導入の50周年を記念する特集号を発行し、日本の保健医療制度を高く評価すると同時に、将来に向けての課題を挙げた。その筆頭が「喫煙率の高さ」で、禁煙政策の重要性を訴えた。

 日本も批准したたばこ規制枠組み条約も、国民の健康を守るため、禁煙を進めるさまざまな政策を求めている。

 たばこの健康への害はいうまでもない。肺がんだけでなく心臓など循環器系や脳血管などにさまざまな病気を引き起こす。全国で毎年13万~20万人が亡くなっていると推定される。

 他の人のたばこの煙を吸う間接喫煙による死者が約6800人、との推計もある。

 そのリスクは、いま問題になっている放射線と比べても大きい。国立がん研究センターによれば、非喫煙者の女性のがんのリスクは、夫が喫煙者だと 0.2~0.3%高まる。一方、放射線による発がんの影響が明らかになるのは、少なくとも累積で100ミリシーベルトという高い線量の被曝(ひばく)で、 がんになるリスクは0.5%高まる。

 医療費の増加や労働力の損失など、喫煙による社会的損失は年5兆円以上との試算もある。男性の喫煙率が4割近くあり、「たばこ大国」と呼ばれる現状を放置することは許されない。

 禁煙のためにきわめて重要なのが価格だ。欧米諸国に比べて安い日本のたばこ価格を上げることは、とりわけ若年層が新たにたばこを吸わないようにするうえで効果が大きい。

 昨年10月、過去に例のない1箱100円の大幅値上げが実現した。政権交代後、政府税制調査会で初めて、健康問題としてたばこ増税が議論された結果だ。ようやく始まった健康の観点からのたばこ価格の議論を、後戻りさせてはならない。

 厚生労働省研究班の調査では、禁煙者の約7人に1人が昨年の値上げがきっかけと回答した。価格が500円なら36%、さらに600~700円なら21%の人が禁煙すると答えた。

 健康を守るには、思い切った値上げが必要だ。

 私たちはこれまで、1箱千円でもいいと主張してきた。この考えは今も変わらない。