All Things Must Pass

森羅万象 ~ 歩く印象派

キノコ採りで不明7日、71歳無事 ナメコ食べ、葉で暖

2009年11月09日 18時10分31秒 | 山関係のニュース(報道されたもの)

2009年11月9日13時1分 asahiCOM

 新潟県村上市三面(みおもて)の奥三面ダム近くの林道脇で8日午前8時すぎ、1週間前にキノコ採りに行って行方不明になった同市上相川、土木作業員鍋倉忠夫さん(71)がうずくまっているのを通行人が発見した。命に別条はなく、妻ハル子さん(74)は「もうダメだと思っていた。奇跡だ」と喜んだ。

 鍋倉さんは1日午前7時ごろ、朝食をとった後、車で約17キロ離れた同ダム方面にキノコ採りに出かけた。だが夜になっても戻らず、家族が村上署に届けた。現場は標高約400メートル。翌2日から警察や消防などの約130人が捜索にあたった。ダムの北約3キロの林道で車が見つかったが、鍋倉さんの姿はなかった。2~3日には今秋一番の寒波が到来。約5センチの積雪となった3日、捜索は打ち切られた。

 車の発見現場から約8キロ南西で偶然発見された鍋倉さん。9日、取材に応じ、元気な姿を見せた。1日午後3時ごろ、「見たことのない沢だ」と、迷ったことに気付いたという。昼食用のおにぎり2個はそれまでに食べてしまい、その後は山中で採ったナメコを食べ、ヤマブドウで空腹をしのいだ。夜は持参したポリ袋を頭からかぶり、地面の上にツバキの葉を刈って敷き、体にも葉をかけて暖をとった。

 近くの円吾山(標高771メートル)方面へ迷い込んだらしく、捜索のヘリコプターは3度通過。手を振ったが、気付かれなかった。それでも「生きるんだ。もう一回、家族に会うんだ」と思い続けていたという。「助かったのは奇跡。考えられない。でも、もう山には戻らないでおこうかな」と笑った。

 新潟地方気象台や村上市消防本部によると、現場付近の最低気温は0~4度程度の日が続いたとみられる。市消防本部の佐藤竹四副署長は「悪天候の中むやみに動かず、防寒のためポリ袋を利用するなど冷静な行動が命を救った。夜間の冷え込みの中、1週間耐え、元気でいたのは奇跡に近い」と驚いていた。