新型コロナウイルス過で意識するようになった人の「密」。 東京にはまた人口が流入しているという。
どうしても窮屈に感じる話だが、世界から見ると東京の密度はいかほどだろうか?

国連の2021年人口統計年鑑で国・地域別の密度を見ると、最も密度が高いのは中国特別行政区のマ
カオだ。 1平方㌖あたり2万682人が住んでいる。 2位はモナコで同1万9175人、3位の
シンガポールは同7485人となっている。 日本は同333人で28位だった。
だが、上位の国・地域は面積がとても小さい。 マカオは33平方㌖、モナコは2平方㌖、シンガポー
ルは729平方㌖となっている。 それに比べると、日本は37万7930平方㌖と大きい。
日本の都道府県別の人口密度を見ると、東京都(同6402人)から北海道(同66人)まで100倍
も幅がある。 もう少し同じような面積で世界の上位国と比べるとどうなるだろうか。
東京23区の区ごとの面積幅は10平方㌖(台東区)から61平方㌖(大田区)ほど。 これならマ
カオ(33平方㌖)と比べてもいいのでは。 23区で最も人口密度が高いのは豊島区(13平方㌖)
の同2万3182人。 なんとマカオの同2万682人を上回っている。
数字をみると、やはり東京の人口密度は世界でもトップ水準なのか。 そう意気込んでいると、マカオ
に暮らす日本人から待ったがかかった。 マカオ新聞編集長の”勝部さん”は「マカオは住宅街が一部
エリアに集中しており、ギュギュッと人を詰め込んだような過密さがある。 様々な高さのマンショ
ンがびっしり建ち、道路も狭い」と話す。 マカオには大規模なカジノ地区や国際空港があるためだ。
日本とは違って「どこへ行っても人、人、人で、空間的余裕がない」という。 つまり数字だけをみ
ると、どうしても体感とはズレが生じるわけ。 面積や人口だけでなく、都市計画や住宅政策も体感
の密度に関与していそうだ。
東京都立大学教授で都市計画が専門の”饗庭先生”を訪ねると「昔はせいぜい2階建てくらいで都市がつ
くられていたので、人口密度=都市の息苦しさでしたが、高層化の技術が発展した現代はそうではあ
りません」と説明された。 例えばタワーマンション。 ひとつの敷地に何百人もが暮らすわけです
から、壁でしっかりと区切られているためプライバシーは守られ、隣家から音が聞こえるといった騒
音問題も少ない。 「密度が高くても、技術の力で息苦しさは取り除けます」(饗庭教授)
日本でもバブル崩壊の前は、騒音や感染症の問題を懸念し、人口密度を下げる議論があった。 しかし
近年は高層・高密度で暮らす方が、エネルギー効率などを考慮すると地球に優しいという考えも浸透
しているそうだ。 究極のコンパクトシティーともいえる事例が、世界遺産に登録されている長崎県
の軍艦島(端島)。 海底炭鉱の開発のため整備され、最盛期の1960年には約0.065平方㌖の島内
に約5300人が住んだ。 人口密度は1平方㌖あたり8万人超。 今の東京都豊島区の4倍近い。
ぎゅうぎゅう詰めで無理して暮らしていたかというと実態は少し違うようです。
● 軍艦島に詳しい建築家の”中村さん”は「軍艦島には7階建ての高層住宅が建てられ、人々の生活に配
慮がなされた街だった」と話す。 高層化した理由は「憩いの場や商店などのスペースを捻出するた
め」。 島全体も、病院や学校、寺などの施設が効率よく配置されていた。 背景には「快適でなけ
れば労働者の生鮮性が向上しないという考えがあった」という。
さらに時代を遡ると、名古屋工業大学名誉教授だった“内藤さん(故人・都市史)”は江戸の人口密度を計算
している。 町人が住む場所は限られ、わずか8.72平方㌖の町人地におよそ60万人が暮らし、人口
密度は同6万8807人という過密状態だったという。 このため、上智大学名誉教授(歴史人口学)の
”鬼頭先生”は「江戸の庶民は感染症に苦しんだ」と指摘する。
一方、内藤名誉教授は江戸の町について「西洋や中国のたった1人の帝王にために整然と計画され尽く
した都市とは違い、雑然とはしているが意外に住みよかった」とも評価する。 人々の自由な交わり
で歌舞伎や浮世絵などの江戸文化が育まれたとみる。 生活の豊かさは一面的な数字では測れないと
言えそうです。 いろいろとあるものですな~、また一つ勉強になりました。
どうしても窮屈に感じる話だが、世界から見ると東京の密度はいかほどだろうか?

国連の2021年人口統計年鑑で国・地域別の密度を見ると、最も密度が高いのは中国特別行政区のマ
カオだ。 1平方㌖あたり2万682人が住んでいる。 2位はモナコで同1万9175人、3位の
シンガポールは同7485人となっている。 日本は同333人で28位だった。
だが、上位の国・地域は面積がとても小さい。 マカオは33平方㌖、モナコは2平方㌖、シンガポー
ルは729平方㌖となっている。 それに比べると、日本は37万7930平方㌖と大きい。
日本の都道府県別の人口密度を見ると、東京都(同6402人)から北海道(同66人)まで100倍
も幅がある。 もう少し同じような面積で世界の上位国と比べるとどうなるだろうか。
東京23区の区ごとの面積幅は10平方㌖(台東区)から61平方㌖(大田区)ほど。 これならマ
カオ(33平方㌖)と比べてもいいのでは。 23区で最も人口密度が高いのは豊島区(13平方㌖)
の同2万3182人。 なんとマカオの同2万682人を上回っている。
数字をみると、やはり東京の人口密度は世界でもトップ水準なのか。 そう意気込んでいると、マカオ
に暮らす日本人から待ったがかかった。 マカオ新聞編集長の”勝部さん”は「マカオは住宅街が一部
エリアに集中しており、ギュギュッと人を詰め込んだような過密さがある。 様々な高さのマンショ
ンがびっしり建ち、道路も狭い」と話す。 マカオには大規模なカジノ地区や国際空港があるためだ。
日本とは違って「どこへ行っても人、人、人で、空間的余裕がない」という。 つまり数字だけをみ
ると、どうしても体感とはズレが生じるわけ。 面積や人口だけでなく、都市計画や住宅政策も体感
の密度に関与していそうだ。
東京都立大学教授で都市計画が専門の”饗庭先生”を訪ねると「昔はせいぜい2階建てくらいで都市がつ
くられていたので、人口密度=都市の息苦しさでしたが、高層化の技術が発展した現代はそうではあ
りません」と説明された。 例えばタワーマンション。 ひとつの敷地に何百人もが暮らすわけです
から、壁でしっかりと区切られているためプライバシーは守られ、隣家から音が聞こえるといった騒
音問題も少ない。 「密度が高くても、技術の力で息苦しさは取り除けます」(饗庭教授)
日本でもバブル崩壊の前は、騒音や感染症の問題を懸念し、人口密度を下げる議論があった。 しかし
近年は高層・高密度で暮らす方が、エネルギー効率などを考慮すると地球に優しいという考えも浸透
しているそうだ。 究極のコンパクトシティーともいえる事例が、世界遺産に登録されている長崎県
の軍艦島(端島)。 海底炭鉱の開発のため整備され、最盛期の1960年には約0.065平方㌖の島内
に約5300人が住んだ。 人口密度は1平方㌖あたり8万人超。 今の東京都豊島区の4倍近い。
ぎゅうぎゅう詰めで無理して暮らしていたかというと実態は少し違うようです。
● 軍艦島に詳しい建築家の”中村さん”は「軍艦島には7階建ての高層住宅が建てられ、人々の生活に配
慮がなされた街だった」と話す。 高層化した理由は「憩いの場や商店などのスペースを捻出するた
め」。 島全体も、病院や学校、寺などの施設が効率よく配置されていた。 背景には「快適でなけ
れば労働者の生鮮性が向上しないという考えがあった」という。
さらに時代を遡ると、名古屋工業大学名誉教授だった“内藤さん(故人・都市史)”は江戸の人口密度を計算
している。 町人が住む場所は限られ、わずか8.72平方㌖の町人地におよそ60万人が暮らし、人口
密度は同6万8807人という過密状態だったという。 このため、上智大学名誉教授(歴史人口学)の
”鬼頭先生”は「江戸の庶民は感染症に苦しんだ」と指摘する。
一方、内藤名誉教授は江戸の町について「西洋や中国のたった1人の帝王にために整然と計画され尽く
した都市とは違い、雑然とはしているが意外に住みよかった」とも評価する。 人々の自由な交わり
で歌舞伎や浮世絵などの江戸文化が育まれたとみる。 生活の豊かさは一面的な数字では測れないと
言えそうです。 いろいろとあるものですな~、また一つ勉強になりました。