コトバ

　 半〇半△。　〇と△に言葉を入れよ‥‥。　そんな問題があったら何を入れますか。
　　食欲旺盛の人は「半ラーメン半ライス」？　　一方、フランスでは新型コロナウ
　　 イルス以降、パリと地方の両方に家を持つ「半パリ半地方」みたいな暮らし方が、
　　 パリュロー(地方で生活する人を意味するリュローをパリと合体させた新語)と呼ばれて話題にな
　　 っているという。

　　令和の奇妙なコトバは、パリや半ラーメンとも、たぶんあんまり関係ない半〇半△
　　　な言葉「半農半✕」だ。　　半分は農業、もう半分は「✕（＝天職）」、つまり
　自分が好きだったり、得意だったりする何か
　をして生活をしていく生き方のことをこう呼
　ぶのだそうだ。　「農」のほうは、本格的に
　先祖代々の土地を耕すほかベランダでちょっ
　とした野菜などを育てるだけでＯＫ。要は量
　の多少に関わらず、自分の食いぶちを、自分
　の手で育てて調達してくるマインドが大事っ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　てことのようです。
　　アルファ世代のＸ世代の「Ｘ」と同様、この「半農半Ｘ」のＸも「未知の」事柄を
　　　指すそうだ。　てっきり新語と思いきや、実は約３０年も前に生れた言葉だとい
　　　う。　作ったのは「半農半Ｘという生き方」の著者、“塩見直紀さん”だという。
　　　２０代で会社員を辞めて実家にＵターン、屋久島在住の作家、“星川淳さん”のラ
　　　イフスタイル「半農半著」をヒントに「半農半Ｘ」なるコンセプトを生み出した。
　　塩見さんのＸは「半農半“社会起業家”でしょうか」。　退職後まもなく半農半Ｘに
　　　ついてもワークショップや講演などをおこなうように‥。　半農半Ｘは「見た人
　　　が空白に言葉を入れて完成させる言葉だ。　３０年経っても注目されるのは、そ
　　　んな言葉の力も大きいと思います」。

　　特に最近は、環境意識の高まりや、食品価格の高騰、コロナによる在宅勤務、副業
　　　解禁、人生１００年時代など、「半農半Ｘ」の追い風となるキーワードが相次ぎ
　　　登場している。　注目度はますます上がっているようだ。

　　ちなみに「半農半Ｘ」を志す人が最も悩むのが「Ｘ」。　「半農半Ｘ」を実践した
　　　例では、「半農半ライター」「半農半ＳＥ］などから、「半農半歌手」「半農半
　　　神主」などの変わり種Ｘも少なくないらしい。

　　どうしてもＸが見つからないときの対策を塩見さんに聞いてみた。　「自分につい
　　　て、実によく知らないという人は多いんですよ。　そこで、マイブームや偏愛し
　　　ているものを、５０個以上書き出して、棚卸を自分の棚卸しをすることをお勧め
　　　しています」。
　　例えば「一人飲み」というマイブームを書き出したとする。　それだけなら専門家
　　　はけっこいるが、もう一つるのマイブーム、例えば「短歌」と組み合わせると専
　　　門家の数は激減する。　「いくつかを組み合わせ、ブルーオーシャンを見つけて
　　　第一人者になるんです。　そのうち『講演に来てください』とか『本にしましょ
　　　う』とか声がかかるかもしれません。

　　ちなみに自分のマイブームから専門をつくるとすると、半ラーメン半ライスＸドー
　　　ナッツＸダイエット‥‥。って、たしかに誰かが講演するなら駆けつけて聞いて
　　　みたいと思います。