2年程前までは、全アンプシステムは「トランジスターアンプ化」を考えていました。それが今では殆どが「管球アンプ」になっています。
使い勝手(寿命・故障の少なさ・熱の少なさ・重ね置き等)やデザイン性を考えるとトランジスターアンプの方が安心感が有ります。
出来るだけしっかりしたアンプと云うことで、ハーマン・カードンのサイテーションXX・XXPやアキュフェーズのC-280,C-290、A20、A30、M-60、M-100。マッキンのC29、C40、MC2500、MC2600。クラッセ CA2200、レビンソンNo29L、No380SL、No331、No431等を使ってきました。現在ではレビンソンの3台のアンプぐらいしか残っていません。
それは何故か?と云うと、「音質比較」で自作した管球アンプに負けてしまったからです。レビンソンでさえ「しかたなく」使っているくらいで、低域のコーン型ユニットをドライブするにはトランジスター型の有利性が有るからです。それ以外のプリアンプや中・高音用アンプは完全に「管球アンプ」の方が音質で圧倒しています。
「伝送ロスの極小化」をテーマとして、ケーブル類やアンプ内配線、SPBOX内配線等と自作のケーブルに交換してきましたが、それらのケーブルで全ての伝送ラインを統一すると、ネックは「アンプ」になってしまったのです。始めはブルースーナーによる内部配線で管球アンプを作っていましたが、このブルースーナー配線の管球アンプに大概のトランジスターアンプは勝てません。それでサイテーションやアキュフェーズ、マッキンのアンプを処分してきました。現在ではブルースーナーのはるか上を行くスーナーの銀線仕様でやっていますので、その差は広がるばかりです。
具体的に何が違うかと云うと、「音数の多さ」、「音色の良さ」、「質感(音の粒子の細かさ)」では圧倒的に管球アンプの方に軍配が上がります。管球アンプのネックの様に言われていたSN比でさえ、100万円以上クラスのトランジスターアンプに劣りません。使っているSPユニットのホーン型との相性では管球式の方が圧倒的にマッチします。
管球アンプを使いこなすにはそれなりに「学習費」が必要になります。同じ型番の真空管でもメーカーや制作年代、型式が違えば相当音質に差が有ります。一般的に知られている真空管にKT66、KT88、6CA7等が有りますが、メーカーが違えば、6L6G、6550、EL34と同じ規格でも型番が違います。ここ上げた3種の球は「ビーム管」と言われていますが、真空管全盛時代の球は「3極管」です。この3極管の球のアンプのサウンドを聴けば、トランジスター型のアンプのサウンドには違和感を覚えます。
どちらが「自然な音」かといえば、3極管アンプの方が自然な音に聴こえます。トランジスター型アンプの音は、複雑な回路を使って「不自然な音」を造っているように感じます。例えば高域の分解能が高い様に聴かせる様な作為を感じます。また低音もづっと出っ放しな感じに感じます。
「自然な音」を判断基準にしていますので、その様な理由で管球アンプに落ち着いていくのでしょう。