18日(2020.9月)に『桃太郎は盗人なのか?―「桃太郎」から考える鬼の正体』 (2019/9/28・倉持 よつば著)、小学校5年生の倉持よつばさんが書いた本を紹介しました、その学習をする動機付けになった『空からのぞいた桃太郎』(影山 徹著)が図書館にありました。
絵本自体は、写真のように、絵の各コマが上から見た構図になっているだけです。絵本には小さな解説書が別刷りでついていて『そんな誰もが知っている桃太郎に、知られざる「もう一つの顔」があることはご存じでしょうか? それは、このお話の中によく見ると、おかしなところがいくつもある-ということです。現代の言葉でいえば「ツッコミどころ」が満載なのです。
実は「桃太郎」は、そのおかしな点を昔から多くの人に指摘されてきました。
古くは福澤諭吉や芥川龍之介、現代では文学者の池澤夏樹やアニメ監督の高畑勲など、さまざまな人たちが批判しています。
では、「桃太郎」の「ツッコミどころ」とはどこなのか? いったいなぜ批判されてきたのか? この解説で、詳しくご説明していきます。』とあり、物語を空の上から描写することによって、その解説がクローズアップするようになっています。
解説は
2~3ページ
「桃太郎」における最初の疑問は、「おじいさんとおばあさんは何者か?」ということです。彼らは二人で暮らしていますが、なぜか近所の人たちは、まったく出てきません。
また彼らは、拾った桃太郎を何も言わずに育てました。
このことから想像できるのは、かなり裕福だったのではないかーということです。
(中略)
20~21ページ
イヌ・サル・キジは、桃太郎の友だちだったりその考えに賛同したりしたから鬼退治に参加したのではありません。彼らは報酬で雇われた傭兵なのです。
そうなると、ここでさらに疑問となってくるのはその報酬の「安さ」です。きびだんごは単なる旅の携帯食。それで戦争にかり出されるほど、彼らは生活に困窮していたのでしょうか?
22~23ページ
そうして桃太郎は、イヌ・サル・キジをお供に鬼ヶ島へ向かいます。ここで生じる新たな疑問は「鬼とは誰か?」ということです。
近年の桃太郎では、「近隣の村から物を盗んだ犯罪人」と描かれることが多いのです。やっぱり昔の桃太郎にそうした説明が一切ない、単に「悪」として描かれることがほとんどです。
また細かいですが「どうして鬼ヶ島に住んでいるのか?」ということも気になります。なぜなら鬼ヶ島は赤茶けた岩だらけの孤島で、けっして住みやすそうではありません。それに比べると、人間が暮らしている場所の方がよっぽど豊かです。
もし本当に鬼が悪なら、どうして人間の土地を奪わなかったのでしょうか?
26~28ページ
そう見ていくと、鬼は必ずしも「単なる悪」とは考えにくくなります。もし本当に人間を襲ったのだとしても、そこには何らかの理由があったのではないでしようか?
また不便なところに暮らしているのも、彼らが望んだからではなく、人間たちに追い出され仕方なくそうしているーとは考えられないでしょうか?
28~29ページ
桃太郎はとても強く、ほとんど苦戦することなく、怪我一つせずに鬼たちを倒します。
すると鬼の大将は、最後は土下座して謝り、宝物を差し出すのですが、このとき、倒された他の鬼たちはどうなったのでしょうか?改心して悪さをしなくなったというお話もありますが、傷ついたり死んだりしなかったのでしょうか?
30~32ページ
桃太郎は、宝物を家にまでもち帰ります。
その後、宝物いったいどうしたのでしょうか?「元の持ち主に返した」と説明するお話もありますが。 「自分たちのものにした」というお話も数多くあります。それは許されることでしようか? これを読んで福澤諭吉などは「桃太郎は盗人だ」と非難したほどです。(以上)
実際に絵本を見ることをオススメします。