現代の病理。今の社会で行われている商売を紹介すると、そのままその根底に現代の病理が見えてくる、そんな思いをもちます。
30年前、日比谷映画館で黒澤明監督の「デルスウザーラ」という映画を見た。映画の中で、北欧のある街で水を売り歩いているシーンがあった。水の国、日本ではありえないことだと思ったが、今は当たり前です。酸素を売っているコンビニ、8月に法話会のご講師がきて、「耳かき家」の店を紹介したら、他殺事件が起きた。耳をかくことが商売になる社会です。
そして昨夜、報道ニースを見ていると、「聞き屋」という商売があることを知った。カウンセリングが、なかなか商売とならなかったが、ここへ来て「聞き屋」という少し下品なネーミングがうけて商売になっている。30歳くらいの男性が聴く。10代後半の思われる女性が話を聞いてもらって、「昔、お母さんに話を聞いてもらった感じだった」とコメントしていた。ネットで検索するとあるわあるわ、商売として成り立っている様子がうかがえる。
ネットから:「聞き屋.netはあなたの話を否定しないで聞くサービスです。いろいろな理由であなたが人に言えない、言いたくても聞いてもらえないお話を、あなたの気が済むまでお聞きします。あなたの心の中にたまった言えない言葉のかたまりを、どうか安心して私に投げてスッキリしてください。」(以上)
カウンセリングと聞き屋、これはネーミングに違いだけではなく、それぞれが置かれている位置関係が名前から伺える。カウンセリングは、私は聞いて上げる側という、上位に位置する役割といった感がある。「聞き屋」、これは“あなたのおかげで喰っています”というへりくだった表現が安心を与える。
真宗の布教使が商売として民衆に受け入れられる時があるならば、こうしたネーミングと語る側と聴く側の位置関係が提供できた時だろうなといった感慨をもつ。
尊敬という名に親しんだ人は、上記の私のコメントに違和感をもつかも知れないが、商売という関係は、どこかでお客が優越感を感じる関係でなければ、日常において商取引の対象になりにくい。その点「聞き屋」はいい。布教において、話す側と聴く側の位置関係はどうでもいい。法が日常生活の中で躍動することが重要だ。
数年前に荻原浩氏の「母恋旅烏」 (小学館文庫) 2003年(文庫)と読んだ。主人公が家族全員を巻き込んでレンタル家族派遣業を営むという内容でした。まさに現代社会は、レンタル家族派遣業の時代が到来した。今はレンタルが家族の持つ機能である「耳かき」や「聞き屋」というパーツ産業だが、これからもっともっと家族が持っていた種々なパーツが、商売として展開されていくだろう。
今後、新しいビジネスを展開したい人は、家族がもっていた機能を分解して、パーツで売り出すことです。
30年前、日比谷映画館で黒澤明監督の「デルスウザーラ」という映画を見た。映画の中で、北欧のある街で水を売り歩いているシーンがあった。水の国、日本ではありえないことだと思ったが、今は当たり前です。酸素を売っているコンビニ、8月に法話会のご講師がきて、「耳かき家」の店を紹介したら、他殺事件が起きた。耳をかくことが商売になる社会です。
そして昨夜、報道ニースを見ていると、「聞き屋」という商売があることを知った。カウンセリングが、なかなか商売とならなかったが、ここへ来て「聞き屋」という少し下品なネーミングがうけて商売になっている。30歳くらいの男性が聴く。10代後半の思われる女性が話を聞いてもらって、「昔、お母さんに話を聞いてもらった感じだった」とコメントしていた。ネットで検索するとあるわあるわ、商売として成り立っている様子がうかがえる。
ネットから:「聞き屋.netはあなたの話を否定しないで聞くサービスです。いろいろな理由であなたが人に言えない、言いたくても聞いてもらえないお話を、あなたの気が済むまでお聞きします。あなたの心の中にたまった言えない言葉のかたまりを、どうか安心して私に投げてスッキリしてください。」(以上)
カウンセリングと聞き屋、これはネーミングに違いだけではなく、それぞれが置かれている位置関係が名前から伺える。カウンセリングは、私は聞いて上げる側という、上位に位置する役割といった感がある。「聞き屋」、これは“あなたのおかげで喰っています”というへりくだった表現が安心を与える。
真宗の布教使が商売として民衆に受け入れられる時があるならば、こうしたネーミングと語る側と聴く側の位置関係が提供できた時だろうなといった感慨をもつ。
尊敬という名に親しんだ人は、上記の私のコメントに違和感をもつかも知れないが、商売という関係は、どこかでお客が優越感を感じる関係でなければ、日常において商取引の対象になりにくい。その点「聞き屋」はいい。布教において、話す側と聴く側の位置関係はどうでもいい。法が日常生活の中で躍動することが重要だ。
数年前に荻原浩氏の「母恋旅烏」 (小学館文庫) 2003年(文庫)と読んだ。主人公が家族全員を巻き込んでレンタル家族派遣業を営むという内容でした。まさに現代社会は、レンタル家族派遣業の時代が到来した。今はレンタルが家族の持つ機能である「耳かき」や「聞き屋」というパーツ産業だが、これからもっともっと家族が持っていた種々なパーツが、商売として展開されていくだろう。
今後、新しいビジネスを展開したい人は、家族がもっていた機能を分解して、パーツで売り出すことです。