『ことわざから出会う心理学』(2022/7/1・今田寛編集)、ハウツー本だろうと思って借りてきましたが、本格的な心理学の学術書でした。例えば2章は「親の特徴は子にどれほど受け継がれるのか?」―「血は争えない」では30頁にわたって論説されています。最後の部分だけ転載します。
「皿は争えぬ」というように、親の特性が子に受け継がれることはよく知られています。本講では人の特性を、知能と性格に分け、それぞれに関して、遺伝と環境の及ぼす影響について近年の行動遺伝学を背景に講じました。その結果、第3節に要約したように、知能への遺伝の影響は52%、性格への遺伝の影響は40%となりました。残りが環境の影響ですが、知能の場合には家庭などの共有環境の影響が34%、友人・仲間などの家庭外の環境(非共有環境)の影響が14%でした。他方性格の場合は、環境の影響の60%はすべて非共有環境の影響でした。つまり性格形成に家庭環境は影響がないという事実です。この最後の事実は、心理学において遺伝-環境問題が従來(天性)-(養育)問題として取り上げられてきたことの妥当性を疑わせるごとになります。
(以下省略)
「皿は争えぬ」というように、親の特性が子に受け継がれることはよく知られています。本講では人の特性を、知能と性格に分け、それぞれに関して、遺伝と環境の及ぼす影響について近年の行動遺伝学を背景に講じました。その結果、第3節に要約したように、知能への遺伝の影響は52%、性格への遺伝の影響は40%となりました。残りが環境の影響ですが、知能の場合には家庭などの共有環境の影響が34%、友人・仲間などの家庭外の環境(非共有環境)の影響が14%でした。他方性格の場合は、環境の影響の60%はすべて非共有環境の影響でした。つまり性格形成に家庭環境は影響がないという事実です。この最後の事実は、心理学において遺伝-環境問題が従來(天性)-(養育)問題として取り上げられてきたことの妥当性を疑わせるごとになります。
(以下省略)