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仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

イノベーション

2025年01月11日 | 苦しみは成長のとびら
『イノベーションの科学-創造する人・破壊される人』 (中公新書・2024/11/20・清水洋著)。


イノベーションとは「ウィキペディア(Wikipedia)」に次のようにあります。

イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新機軸」「新結合」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すという意味に認識されることが多いが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自律的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。また、イノベーションは国の経済成長にも極めて重要な役割を果たす。(以上)


受記の本には、次のようにあります。

イノペーションとは、経済的な価値を生み出す新しいモノゴトを指します。創造的破壊とも言われ、企業の競争力や経済成長の源泉になります。私たちの生活を豊かにしてくれるものでもあります。
 創造的破壊と言うわけですから、古いモノゴトを、新しいモノゴトが創造的に破壊します。古い壬ノゴトがより良い新しいモノゴトヘ置き換わるからこそ、生産性が高まるのです。
 そしてそこには、創造する大がいると同時に、破壊される大もいます。新しいモノゴトが、古いモノゴトのためにスキルを身につけてきた大たちのスキルを破壊するのです。(以上)

イノペーションとは、経済成長の中で用いられる言葉ですが、「創造的破壊」の本質から言えば、浄土真宗の二種深信も、ある種の創造的破壊です。経済と違って、創造と破壊が同時に起こることです。
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グリーフサポートと死生学④

2024年05月14日 | 苦しみは成長のとびら
『グリーフサポートと死生学』 (放送大学教材・2024/3/20・石丸彦・山崎浩司著)からの転載です。

・ 課題モデル
 心理学者J.W.ウォーデンは,グリーフのプロセスを完了するためには,喪失体験者自身が死別後に直面する複数の課題に取り組み,それらを達成する必要がある,とする課題モデル(task model)を提起した。
達成すべき課題とは,・死別喪失の現実を受け入れる,・グリーフの苦痛を消化していく,・故人のいない世界に適応する,・故人との永続的な繋がりを見出すこと,の4つである。ただし,段階(位相)モデルと
異なり,課題モデルではこれら4つの課題に取り組み達成する順序を規定していない。
・ 継続する絆
 上記3つのモデルでは,基本的に故人との絆を断ち切って,故人のいない世界に適応することでグリーフが解消される(グリーフのプロセスが終わる)との想定がある。この想定に基づき,グリーフは乗り越えるべき,克服すべきものと位置づけられる。しかし,死別体験者の多くが,実際には故人との絆を断ち切るのではなく,墓参で供養をしたり故人の写真に話しかけて追悼したりと,死別後も多様な形で故人の存在を感じ続けながら生活している。死別体験者が,物理的にはもう存在しない故人を心の中で位置づけなおし,故人との絆を断ち切ることなく継続さていくというグリーフの捉え方は,継続する絆(continuingbonds)と呼ばれる(第12章)。この概念では,グリーフを解消し克服し,乗り越えるべきものと位置づけず,グリーフのプロセスに明俑々終わりを想定していない。
・ 二重過程モデル
 ニ重過程モデル【dual process mode】)は,喪失体験者が死別後の生活を送るなか,喪失志向コーピングと回復志向コーピングからなる2つの志向に基づく対処行動を不規則に反復し,揺らぎながら徐々に重点を前者から後者に移してゆくという動的なモデルで,グリーフのプロセスを説明する(図1-1)。これは,継続する絆の概念と同じく,死別体験者は喪失体験による悲嘆を克服したり乗り越えたりしてからでないと,日常生活へ最適応する段階に移れないという考え方をとらないモデルである。
・ 意味再構成モデル
 死別後の自分の人生のうちに故人を位置づけなおす過程は,死別を境に断絶してしまった過去と未来を,新たに意味づけしなおすことで再びつなげる過程である。死別は,人がそれぞれ想定していた自分の人生物語を,多かれ少なかれ破綻させる。死別体験者は,故人が生前とは異なる形で自分に関わり続けるような新たな未来の物語を紡ぎ,その未来と整合的な過去の物語をも紡いでいこうとする。未来と過去を意味づけなおし,新たな人生物語を紡ぎなおしていくこの行為もクリープであるとの見方は,意味再構成モデル(meaning reconstruction model)と呼ばれる。
・ 死別後の人間的成長
 人はさまざまな困難への直面を経て成長することがあるのは,よく知られている。精神医学や心理学で,外傷後成長(posttraumatic growth)やストレス関連成長(stressイelated growth)と呼ばれるこうした人間的成長は,死別喪失の体験者にも認められることがある(第3章)。留意すべきは,・苦難に直面したあらゆる人間が成長するわけではないこと,・成長が見られることと,苦難や痛みや悲しみがないことはイコールでないこと,・成長が見られるからといって,その経験や出来事が必要であり望ましいことと捉えるべきではないこと,である。(以上)
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グリーフサポートと死生学③

2024年05月13日 | 苦しみは成長のとびら
『グリーフサポートと死生学』 (放送大学教材・2024/3/20・石丸彦・山崎浩司著)からの転載です。

3)プロセス
 ただし,個別的で多様である現代のグリーフにも,特定の構造があることがこれまでの研究で明らかになっている。その構造とは,グリーフは変化を遂げながら発展するプロセスである,というものである。グリーフをプロセスとして捉える概念や理論は複数あり,以下にその代表的なものを挙げる。
・ グリーフワーク(喪の作業)
 グリーフワーク(grief work)という用語は精神医学者エリック・リンデマンによる造語であり,精神分析学の創始者ジークムント・フロイトの喪の作業(または悲哀の仕事。英語ではmouming work,原語ドイツ語ではTrauerarbeit)に由来する。フロイトによれば,大切な存在を喪失した現実に繰り返し向き合い,故人に対する愛着や絆を断ち切って,故人のいなくなった現実世界に適応することをもって喪の作業が完了する(自我の解放が起きる)。そして,この故人との分離プロセスがうまくいかずに逸脱が起きると,メランコリー(病的な悲哀)が生じるという。
・ 段階(位相)モデル
 段階(位相)モデル(stage modelまたはphase mode1)の代表的なものとして,心理学者ジョン・ボウルビイの愛着理論に基づくモデルと,精神医学者エリザベス・キューフラー=ロスの死の受容理論に基づくモデルがある。両モデルとも,グリーフのプロセスを,喪失体験者の心理面や行餘面の時系列的な展開に照準して説明する。ボウルビイの4段階モデルは,・無感覚と不信,・思慕と探究,・混乱と絶望,・再建,キューフラー=ロスの5段階モデルは,・否認,・怒り,・取引,・抑うつ,・受容,で構成されている。なお,段階は必ずしも順番に推移しない。逆行する,重複する,ある段階が飛ばされることがあると考えられている。
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グリーフサポートと死生学②

2024年05月12日 | 苦しみは成長のとびら
『グリーフサポートと死生学』 (放送大学教材・2024/3/20・石丸彦・山崎浩司著)からの転載です。


2)個人的・多様・アノミー的
 以上のとおり,グリーフを引き起こす喪失体験は死別に限定されないが,重要他者との死別は数ある喪失体験のなかでも最もストレスフルなものの一つであり,遺された者はグリーフに直面しやすい。その表出の仕方がきわめて個人的であるのが現代社会のグリーフの特徴であり,「哀の個人化(individualisation of moum・g)」(Winkle,2001)と呼ばれる。伝統社会が有していた服喪の儀礼の衰退や簡略化により,伝統的に形づくられた特定の型に則って悲しむという縛りが弱まり,現代社会では死別によるグリーフのあり方は個人に委ねられるようになった。
 つまり,私たちは伝統的な服喪の範から解放され,感じるままに多様に悲嘆する自由を得た。だが一方で,人の死に際していかに振る舞うべきか,いかに悲しみを表出すべきかといった規範の弱体化にも直面することになった。社会学者エミール・デュルケムは,近代化した社会において,社会規範が弱まり人間の行為や欲求を制御できなくなった状態を「アノミー(anomie)]と呼んだが,喪失を体験する現代人は,まさにアノミー的グリーフ(Walter,1999)に直面していると言える。模範なく個別多様に悲嘆する過程で,自らのグリーフが正常なのか異常なのかと不安に駆られてしまいかねないのが,現代社会におけるグリーフの特性の一つである。
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グリーフサポートと死生学①

2024年05月10日 | 苦しみは成長のとびら
『グリーフサポートと死生学』 (放送大学教材・2024/3/20・石丸彦・山崎浩司著)からの転載です。
1。クリープとは
(1)喪失体験に起因する多様な反応の総体
 グリーフとは,大切な人やものを喪失することで起きる多様な反応の総体である。原語のgriefは大きな悲しみを意味し,一般的に「悲嘆」と訳される。このことからわかるように喪失体験により生じる多様な反応の中心は悲しみなどの感情的・心理的反応だが,それに限定されるわけではなく,睡眠障害などの身体的反応,引きこもりなどの社会的・行動的反応,さらに生きる意味の喪失といったスピリチュアルな反応として表出することもある。
 日本では,グリーフといえば死別悲嘆を意味することがもっぱらだが,本来グリーフは死別だけでなく,あらゆる種類の喪失体験によって生じうる反応である。つまり,グリーフを引き起こす喪失の仕方も対象も実に多様であり,ときには喪失の事実が明確でない(あいまいである)場合でもグリーフが生じることがある。
 たとえば,大切な大が何らかの原因で行方不明になってしまった場合,どこかで生きているに違いない,いつか帰ってくるだろうとその人の存在を感じつつ,物理的にはここにいないという現実に直面して苦しむことがある。また,たとえば,家族が重度の認知症になってしまった場合,その人は傍にいるのだけれど,私のことを忘れてしまって,もう家族として接してもらえず悲しくなることもある。これらはあいまいな喪失(ambiguous loss)の典型で,前者は,喪失の対象が身体的には不在であるが,心理的に存在していると認知されることで経験され,後者は,逆に身体的には存在しているが,心理的に不在であると認知されることで経験される(第8章)。
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