仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

今日はメモリアル・デー

2011年05月31日 | 浄土真宗とは?
三日ぶりのウオーキングでした。二日間は梅雨のためにダメ、昨日は途中で雨が強くなってきたので30分でリタイア。早朝4時過ぎ、明るくなるのを待ってスタート。何と言っても好きな時に、好きな呼吸で念仏を称えることができるのが良い。

といっても今日の1時間40分のウオーキングの中で、念仏を称えた時間をつなぎ合わせたら15分~20分くらいだろうか。でも強制されることもなく、時には呼吸に合わせて、時には雑念をツマとして称えられることが爽快です。

5時過ぎのニュースで「ダウ平均は…。アメリカは戦没将兵追悼記念日のためにお休み…」と聴こえてきた。“ああ今日は、アメリカの戦没将兵追悼記念日か”と思ったときに、尊敬する西元宗助先生が、いつか語られて戦没将兵追悼記念日の時のエピソードを思い出しました。

先生が、かつてアメリカ仏教会に招かれてシヤトルヘ行ったときのこと。その日が5月30日でメモリアル・デー(5月最終月曜日)に際し、当時のシヤトル本願寺の輪番に伴われて、第二次世界対戦で戦死した日系2世軍人の墓地での法要に参列されたぞうです。
 最初は、うかつにも日本での法要のごとく錯覚していたそうですが、そこに集まった人たちは、先の戦争にアメリカの軍人として、サイパン島、フィリピン、沖縄 などで、日本軍と戦って戦死した20才代の若い日系アメリカ兵の戦没者であり、そのご遺族の方々であったそうです。

その場で、何か講話をせよとのご案内に、先生は、困惑し、悲痛感いっぱいになったとのこと。なぜならば、ご遺族の方々は、祖国日本と戦って死んだ息子たちへの悔みという、まことに複雑な晴れやまぬ気持で歎き悲しんでいる方々だったからです。
 ご遺族のまえに立った西元先生は、ただ念仏して浄土を念ずるほかなかったとのことです。その念仏のなかに、人間であることの悲しみ、そしてそれだけに、敵も見方もない、恩しゅうの彼方なる倶会一処の浄土が念じられたと語られていました。
 西元先生がいわれる「人間であることの悲しみ」とは、うちにどれほど素晴らしい理想を持っていても、縁によってどんな生き様をする解らない存在、その存在そのものに関わる悲しみを言ったものです。

“そうか、今日はアメリカでは戦没将兵追悼記念日か…”そんなことをツマとしながら、念仏を称えた早朝でした。さて今日は今から沼津まで研修会の出向です。
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黒光り

2011年05月30日 | 苦しみは成長のとびら
今日(23.5.30)の産経新聞「朝の歌」に次に様な歌が掲載されていました。

ぬり絵
  兵庫県宝塚市
  森口憲一 69

あなたの
絵の具箱から
暗い色淋しい色を
捨てましょう
神様が描いた輪郭に
毎日、一筆づつ
色を塗って仕上げる
人生のぬり絵
同じ塗るのなら
明るい色
楽しい色を
塗り続けましょう。

  (選者新川和江)

明るい詩ですが、時としてその明るさが、影を射すことがあります。自然の猛威の中で、あるいは震災だと言われる災害の中で、どうにまならぬままにたたずむ人には酷かもしれません。

ところがもしこの詩が災害の中で詠まれたとしたら、まったく違った響きがあります。それはこの詩に接した人の、詩を味わう立ち位置に、どこで詠んだかということが影響を与えるからです。

だから詩というものは、むやみに批判をせずに、そっとしておくことが良いのかもしれません。

この詩を読んだ時に、浮かんだ物語があります。

それは『失われた物語を求めてーキッチンテーブルの知恵』(レイチェル・ナオミ・リーメン著・中央公論社刊)に掲載されている話しです。

高校でも大学でも運動選手として活躍した彼は、右足骨肉腫の告知を受けて2週間後、脚の上部から脚を切断した。彼の怒りは強烈で、学校をやめ、大酒を飲み、自滅的な行動に向かった。ある医師と出会い、画用紙に自分の身体のイメージを書くことを進められる。

青年は乱暴に輪郭だけの花瓶をかき、中央に深いひびを描き入れた。歯ぎしりをしながら、紙が破けるほど力を入れて、黒いクレヨンでひびの上を何度もなぞった。目には怒りの涙を浮かべていたという。

その後青年は、「心の傷がだれにも理解されていない」という思いから、外科病棟に入院中の、彼と同じような問題をかかえた若者を訪ねていくようになった。21才で両方の乳房を手術で切除したある女性を訪ねた。女性は深い鬱状態で目を閉じベットに横たわり、彼の方を見ることもこばんだ。青年は今までの経験と知恵を絞り、身体の形が変わってしまった者同士でしか言えないことも言葉にし、冗談を言い、ついに腹を立てたのに、いっこうに反応がなかった。

ラジオからは静かなロックミュージックが流れていた。彼は立ち上がり、義足を外すと床にどさっと落とした。はっとした女性は彼を見る。彼は声を挙げ笑いながら音楽に合わせてはね回った。彼女も笑いだし「あなたが踊れるのなら私だって歌えるはずよね」といった。

まもなく二人で入院中の患者さんを一緒に訪ねるようになったという。最初のひび割れの絵を描いて1年後、再びその絵に向き合った。彼はその絵を手に取り、「これまだ描き終わってないんだ」と言うと、黄色いクレヨンを選びとり、花瓶のひびから、紙の端まで放射線状の線を書き込んでいった。太い黄色い線で。笑いながらひびに指を当て静かに言った。「ここから光が差し込んでくるんだ」。

いい話です。どうも私には「明るい色、楽しい色を、塗り続けましょう」よりも、「黒光り」といったマイナーな色に興味があるようです。
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光 風のごとく⑥

2011年05月29日 | 日記
梅雨に入り、昨日、今日と朝のウオーキングは中止。残念。

拙著、緑陰ポケット詩篇
「光 風のごとく」より 2題


年々にわが悲みは深くしていよよ華やぐいのちなりけり

[岡本かの子(おかもと かのこ)]『かの子の記』(岡本一平著・近代作家研究叢書)より。

[一八八九~一九三九]小説家・歌人。東京の生まれ。漫画家岡本一平と結婚。仏教研究家。歌集『かろきねたみ』、小説『鶴は病みき』『母子叙情』『老妓抄』『河明り』『生々流転』ほか。

〝悲しみが深くて華やぐ〟宗教的心境に接した人でないと理解しにくい歌かも知れない。この思いは、教えに接する者のおごりかも知れない。しかし、そのおごりさえも包んでくれる豊かさがこの歌から響いてくる。
この歌と対峙していると、経験の「経」の文字は「タテイト」という意味であると聞くが、まさに経験とは長さではなく、深さ(タテ)だということに思いが至る。宗教的経験とは、生死を貫く深さを持ったものなのだろう。


明日ありとおもうこころの仇桜夜半(よわ)に嵐のふかぬものかわ

[親鸞聖人(しんらんしょうにん)](九歳の折の歌と伝えられている)。

[一一七三~一二六三]浄土真宗の開祖。著作『顕浄土真実教行証文類』ほか。

世は無常という。しかし〝一寸の光陰軽ろんずべからず〟式の教えは、生活指導的な意味は分かるがどうにもなじめない。その、〝なじめない〟と思う私は一人であり、そのあり方は二度と繰り返すことができないと聞かせて頂くと、無常が味わえてくる。
無常とは、計算の心を離れたとき明らかになる〝今〟なのだろう。

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お寺をブレンド化する

2011年05月28日 | 都市開教
産経新聞(23.5.28)のオピニオンに元全日本教連委員長(中学教諭)の三好祐司さんが「誇れるものを探す授業」というタイトルで寄稿されていた。内容を要約すると次の通りです。

勤務する大畠中学校では合同道徳を実施している。授業の主題は 「OBPのために」(「大畠中学校をブランド化するプロジェクトの略」)で、今では生徒たちの合言葉になっている。
授業では、OBPを実現するために何をすればよいのかを発表してもらい、話し合いの中で「挨拶をしよう」 「人のために何かしよう」 「苦しくても努力しよう」など、人として大切な価値を伴う言葉が次々に出てきた。
 自分たちの学校をブランド化することは簡単なことではない。授業の最後に次の言葉で締めくくった。「このOBPは中学校卒業後も続くんだ。己をブランド化するプロジェクトとしてだ」(以上)

大分県から始まった一村一品運動が、全国に広がったように、この「学校をブランド化するプロジェクト」が全国に広がったら面白いがと思う。

実は私もお寺(西方寺)をブランド化する活動をしている。といっても私の個人の範疇を出ていないのですが。1986年に布教所を開設したときは、講演会で有名人を招くと沢山の有縁の方々が集まる。では自分が有名人になればいいんだと思っていろいろな活動を行ってきた。しかし2.3年前から、西方寺というお寺をブランド化するという意識で活動に従事しています。

布教所を開設してより、いつも不在がちな住職に代って門信徒が団体参拝の引率やセミナーの司会、挨拶を行うようになりました。そのことが自然と、門信徒会の活動は門信徒世話人の手によってということとなったようです。先の21日(23.5.21)の降誕会の築地参拝も住職は不参加で世話人の一人がチーフとなり27名の参加でした。この延長線上にプロジェクトがあるように思われます。

しかしまだ「お寺(西方寺)をブランド化する活動」は私の意識の中だけのことですが、これがプロジェクトとなっていけば面白いと思います。
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人生案内 友たちとは

2011年05月27日 | 人生案内
「人生案内」(読売新聞掲載)です。大切いしたいことは、苦しみを通して自らの不完全さに気づいて行くことです。苦しみは、深ければ深いほど、その苦しみによって洞察される気づきも深くなります。でも洞察されていくパターンは同じようです。下記の「人生案内」の記述は、一昨日(23.5.26)のものです。

自分のことばかり話す友人

 40代の専業主婦。友人関係について相談します。
 私には学生時代から20年以上つきあっている、女性の友人がいます。彼女は独身で、今も年に数回会って食事したりする関係です。
 でも、最近は彼女と会うと苦痛を感じるようになってきました。理由は、会っている間、彼女がほとんど一人でしゃべり、私の話を聞いてくれないからです。
 彼女が話すのは会社の愚痴や人間関係、自分の趣味、家族について……と、すべて自分のことばかりです。たまに私が自分の話をし出すと、彼女はきょろきょろして上の空になったり、全く違う話を始めたりします。私はとても、友人と「会話」をしている気持ちにはなれません。
 最近は彼女と会う前に「今日は黙って話を聞こう」と自分に言い聞かせるほどです。そうしないと私がイライラするからです。
 でも、こんな気持ちでは会う意味があるのだろうかと思います。彼女はもう友人ではないのでは、とも考え始めました。今後どう接していけばいいでしょうか。(大阪・M子)


 私には、あなたの気持ちがわかりません。会ってイライラする人と、どうして会うのですか。考えようによっては、相手に失礼ではないでしょうか。やんわりと断って会わなければいいのです。何度かそうしていれば、2人の仲も遠くなっていくでしょう。
 友人の女性は昔からこんな性格だったのではありませんか。昔はそんな彼女とつきあうのが苦でなかった。してみれば、あなたが変わったわけです。無理もない。学生時代は共通項が多かったが、社会に出れば、お互い違う道を歩みますから、考え方も変わってきます。ましてあなたは一家の主婦ですから、ものの見方がいわば大人のそれ。友人の見方が狭く小さく感じられることもあるでしょう。
 友達づきあいをしたいというなら、友人の考え方をじかに批判すればよい。いやだなと思うことは、たしなめる。それは相手を思うからこそできるので、お互い、励ましあい注意しあって人間を磨いていく。それが友達というものであり、友情の価値でもあるのです。
 
(出久根 達郎・作 家)
(2011年5月25日 読売新聞)

回答者のコメントは常識的なものでしょう。常識的とは、社会生活を正しく実りあるものとすることがベストという視点です。そして苦しみはない方が良いという考え方です。

では私の回答ですが、苦しみや痛みが深くないと、問題の解決を対外的な表面的な事柄へ求めてしまいがちです。それで、あえてその方を不完全さを指摘しなければならないので、そのあたりに少し無理があるようです。それが私の未熟さなのでしょう。

では回答です。

あなたのお尋ねには、会う会わないということと共に、 “友人ではないのでは”という友だちって何だろうという疑問がおありのようにも感じられます。

 確かに相手方は、自分のことばかりで、話し相手であるあなたを気遣うこともなく、人間的には未熟さ感じます。だから余計、彼女は愚痴になることが多いのでしょう。
少しお節介になるかもしれませんが思ったことをお伝えします。あなたの感じている苦痛やイライラですが、そうした彼女の態度を縁として起こったのですが、直接の原因は、あなたのもっている価値観、たとえば“友人とは自分の話も聞いてくれる関係である”という思いが、そうでない彼女との交わりを通して苦痛として感じられるのだと思います。だからもっと大きな心を持ちなさいと言いたいところですが、それは無理なことでしょう。その価値観こそあなたが自身だからです。

ただそうした自分の価値観で相手を推し量っている私であることが明らかになると、自分のことばかり話す相手の不完全さも受け入れることができるのではないでしょうか。

友人とは、自分にとって利益があるという物差しだけでなく、山あり谷ありです。そのうち彼女も自分の欠点がわかる時が来るでしょう。これが友人でない関係なら、もう会わないで終わってしまいますが、それ以上の関係だからこそ、必要以上の苦痛を感じ、またその苦痛を通して自分自身のあり方が見えてくるのだと思います。
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