仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学②

2022年06月30日 | 現代の病理

『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』(田中俊之著著)、

 

誤解された草食系男子

 やさしい、真面目、細かいことに気がつける系男子とは、要するに草食系男子です。

今では誤解が積み重なり、消極的な男子を揶揄する言葉として定石してしまった観があるので、ちょっと回りくどい表現をしていました。

 本来、草食系男子は褒め言葉です。コラムニストの深澤真紀さんが命名しています。

深澤さんが執筆した『平成男子図鑑-リスペクト男子としらふ男子』では、草食系男子だけではなく多様な男子の姿が描かれています。この本の狙いは、現代の若者を肯定的に描き、若い男性の行動率価値観の変化を年長世代に理解してもらうことでした。

 そして草食系男子についての議論を深めたのが、哲学者の森岡正博さんです。森岡さんは『草食系男子の恋愛学』の中で、草食系に男子だった自身の過去の経験に基づきながら、劣等感とのつき合い方を教えてくれています。単に世代間の相互理解というだけではなく、おとなしく物静かな男の子が自分を肯定するためにも、草食系男子という言葉は大切にする必要があるのです。

 近年、若者を叩く言葉はいくらでもあるのに、褒める言葉が全く登場していない状況が続いています。若者を批判することでしか、大人たちが自尊心を保てなくなっているのです。深澤さんや森岡さんが男子たちの変化を丁寧に論じていたのに、草食系男子もそうした波に飲み込まれてしまいました。

 いかにして草食系男子が否定されていったのかに関して、1つ例を挙げてみます。

『an・an』(2010年11月10日号)では、「サヨナラ草食男子!」という特集が組まれています。なぜ女子は草食系男子とサヨナラしなければならないのか。その言い分に耳を傾けてみましょう。

 

争いが嫌いで傷つくことは避ける。とにかく受け身な草食屶子は心の内を見せない難敵。一緒にあるとラクだったはずの彼との関係にまるで不可解なものになり、悶々とする女子がかちまたには溢れています。

                  『an・an』(2010年11月10日号)

 

まず、草食系男子という言葉が使われ始めた当初には、女子といい関係を築ける可能性に期待が集まっていたことがうかがえます。好みには多様性があるのでもちろん全員とはいいませんが、乱暴、不真面目、大雑把系男子よりも、やさしい、真面目、細かいことに気がつける系に男子と相性のいい女子は大勢いるはずです。

 しかし、男子が受け身では困るとお怒りのようです。ここでもまた本書ではお馴染みの「男性はリードする側/女性はリードされる側」という図式がくり返されています。

(以上)

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男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学

2022年06月29日 | 現代の病理

『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』(田中俊之著著)、男らしさからどう脱却できるか、実践的なアドバイスを記した本でした。現在の若者は、なぜ集団で飲み会をすることを嫌うのか、そこの部分だけ転載します。

 暴走族の人数が最も多かったのは1982年で、その数は42.510人にのぼります。グループ数が712ですから、1つの暴走族はだいたい60人ぐらいで構成されていました。

 これだけの集団が、成人の日にかぎらず、毎日のように暴走行為をくり返します。

 近年、暴走族の数は激減しています。2000年代には2万人台を割り、2010年には1万人台を下回りました。そして、2013年ではついに5干人台になっているのです。

 なぜここまで暴走族は減ったのでしょうか。

 まず、暴走や暴力といった行為、あるいは暴走族的なファッションに対してダサいという感覚が広がったという理由があります。実際、今の大学生に暴走族の映像を観せると「本当にこんなことをしていたのか」と笑いが起きるのです。彼らにとって、暴走族はコントやアニメに登場するキャラクターでしかありません。

次に、集団行動に抵抗感を持つ若者が増加したことも原因の一つです。暴走族自体の変化からも、そうした傾向はうかがえます。2000年代はじめにまだ2万人近い暴走族がいた時代でさえ、一つの暴走族あたりの構成員数は20人程度になつていました。かつては60人ぐらいだったことを考えれば、若者の間でいかに大きな集団を作るのが難しくなっているかがわかります。

 

 

若者が飲み会に参加しない理由

会計がどんぶり勘定なのも、納得がいかないところです。デートの支払いでさえ食べた分だけ払うのが主流になっています。それなのに、アルコールを飲んだ人とソフトドリンクだけの人が同じ科金では、参加する気もなくなるでしょう。

 さらに、飲み会を通じて社員の結束を固めるなどという目的があると、いよいよ逃げ出したくなってきます。暴走族が激減していることからもわかるように、自分を犠牲にしてまで集団のために尽くそうとする価値観は過去のものになりました。つき合いが悪くなったように見えますが、肯定的にとらえれば、自分なりに考えて行動できているともいえるのです。

 仕事の時間が終わったら、それぞれやりたいことに時間を使いたいわけです。やりたいことの中に飲み会が入っているのなら、参加すればいいですし、否なら参加しなければいいでしょう。

 もちろん、社員同士の交流が全くなくなってしまっては、仕事が円滑に進まなくなる側面があります。だからといって、飲酒やタバコを嫌う若い男性が増える中で、飲み会がかつての地位を取り戻すのは容易ではありません。だとすれば、新しい取り組みを始めてみる必要があります。(以上)

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収骨

2022年06月28日 | セレモニー

一昨日、昨日と通夜葬儀、10年ぶりに雅楽を入れての5人出仕で、通夜葬儀をお勤めしました。通夜に雅楽を入れることは、あまりないのですが、人出が多いいのは通夜なので、入場退出の折りに楽を入れてもらいました。

導師は私です。喪主はよく知った人で、派手なことが好きな方なので楽入りにしました。収骨まで火葬場にいたのは20年ぶりでしたが、収骨の時、火葬場の方が、壺の中に頭骨を入れながら、これは下顎、これは……と全部説明して、壺のなかに顔と頭の部分を再現していました。

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Z世代の就活に対応できる企業

2022年06月27日 | 現代の病理

『産経新聞』(2022.6.27)正論に、「Z世代の就活に対応できる企業」

同志社大学名誉教授三木 光範

 

現在、就職活動を行っている大学生や大学院生などは、いわゆるZ世代である。Z世代の一般的な定義は1990年代後半から201O年頃に生まれた若者を指し、現在の中高大学生や若い社会人も含まれる。

 

 就職の考え方大きく変化

 

Z世代の特徴は、デジタル機器しか知らない、スマホで何でも済ませる、テレビや新聞を見ずSNSで情報を得る、多様性を受け入れ自分らしさに拘る。他人の評価をかなり気にするなどである。特にSNSで発信する自分の演出が重要となる。またSNSではかなりニッチな趣味・服装・スポーツあるいは生き方などが同じ仲間と空間を超えて繋がるため、学校や地域など近くの友人と話が合わなくてもネットで個性を発揮できる友達が多い場合もある。

 こうしたZ世代は就職に対する考え方が年齢の高い社会人とは大きく変化している。私は在職中に、「情報キャリアデザイン」科目を担当し毎年、受講生に「就職する会社に求めるトップ3」を書いてもらった。20年前には「給料、仲間、成長」に類する回答が多かった。しかし、10年前になると「給料、人間関係、福利厚生」が多くなり、今の学生に尋ねると「楽しさ、個性が出せること、柔軟性や平等性」という。

 これは仕事に厳しさや規律を求める年配者から見れば甘すぎると批判が出そうだが、見方を変えれば楽しい仕事は熱中できて効率が高まる、適材適所で個性を発揮でき離職率が下がる、働く場所や時間の柔軟性があれば住む場所、子育て、介護など人生の制約に対応できる、国籍や性別などでの差別は良くないことに繋がり、極めて現代的で、コロナ禍など社会の大きな変革にも対応できる。

 

 楽しさ、個性重視、柔軟性

 

 日本の経済成長率が先進諸外国と比較して大きく低下しだのはZ世代より年齢がはるかに高いベビーブーム世代、X世代の人たちが高度経済成長に浮かれて、その後のIT技術などイノベーションに後れを取ったからである。

 生まれたときから低成長で世界企業GAFAMが先導するデジタルシステムとスマホに囲まれて、親より豊かになることはないと知り、SDGSなどの流れの中で育った若い人たち、すなわちZ世代が就職で求めるものが大きく変化しているのは当然だ。その上、コロナ禍でネット依存はさらに大きくなっている。

 Z世代の「楽しさ、個性重視、柔軟性・平等性」を実現できない企業は優秀な学生を採用することが難しくなる。無理に採用してもすぐに辞める。このため企業での仕事に必要な厳しさ、責任、規律などを新入社員が理解するためには、各社員の個性を認め、働くことで人から感謝されて楽しい、一緒に働く人といろいろ話し合えるのは楽しくて勉強になるという環境を先に作ることが重要である。

 先進性・機能性・デザイン性を高めたオフィス作りも重要である。学生達は大学のおしゃれで快適なラーニングコモンズなどの空間を体験済みであり、それよりレベルが落ちるオフィスでは働きたくないと思っている。

 優秀な人が子育てや介護など人生の制約で会社を辞めなくてもよいようにすることは各企業の努力で可能だ。ある企業では、会社に行くのは週に1回程度、通勤費は月に15万円まで飛行機も認めるという柔軟な働き方を認めており、地方で豊かな生活を送る人も少なくない。

 

  「企業の色に染め」通用せず 

 

もう一つの大きな変化はI人っ子の増加である。現在、子供の20%は一人っ子である。就職後も親の家、あるいは短時間で親の家に行ける場所に住みたい人が多く、住み慣れた場所から遠い企業や、望まない転勤がある企業が敬遠される。もちろん海外で働きたい人も少なくなく、また東京都心の高層ビルにあるオフィスで猛烈に働き、高い年収を得たい人もいる。

 このように、Z世代の学生には多様な希望があり、そうした個人的な目標や制約条件を満たしてくれる企業を探すことが学生の就活となる。一方、企業はその学生の個性・能力を正しく評価し、企業の目標実現への貢献度合いを見極めることが重要となる。

 昔なら平均的で一律の基準で学生を採用し、各企業の色に染め上げることでビジネスはうまく展開したが、企業の個性・専門性を高め、DXとSDGSを推進するにはそんな採用方法は通用しない。

なぜなら、Z世代の優秀な学生は自分の目標が叶えられないと分かればすぐに転職や起業などを実行する自己発展性が高いからである。ある大企業では優秀な社員の転職を防ぐために、社内ベンチャー制度を設け、社内起業を積極的に支援している。もちろん兼業は許可され、柔軟性のある働き方も実現している。

 Z世代が望む「楽しさ、個性重視、柔軟性・平等性」を叶えられる企業に変えることがZ世代以外の人にとっても良いことであり、働き方改革はこれを目標に考えるのが良いと思う。

       (みき みつのり)

 

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金子みすゞの人生~語りと音楽

2022年06月26日 | 日記

昨日の「金子みすゞの人生~語りと音楽」

2022/6/25(土)14:00-15:30(開場13:00)

◎会場 アミュゼ柏  クリスタルホール 
( 柏市柏6-2-22)柏駅から徒歩5分です。

出演は、 女優 城谷小夜子さんの熱演で評判が良かったです。

私は、急遽、スポットライトが落ちて、場面が切り替わるところ2箇所で、8秒ほど、音階の違う金属皿3枚を、適当に叩いて鐘の音を出す部分をお手伝いしました。

 

講演が終って、打ち上げの席で、演出家の人が「鐘の音が無常感が出ていた良かった」とのこと。そうなんだと思ったことです。

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