仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

健康とは幸せになること

2012年11月30日 | 苦しみは成長のとびら
朝5時台のNHKラジオ番組「健康ライフ」、今週は「治らない病気と どう付き合うか」虎の門病院臨床腫瘍科部長…高野利実医師でした。

 ネットで検索すると、この先生は、「人間性に基づく医療(HBM)」を提唱されています。
“人間の人間による人間のための医療”ということで、今日の番組の中でも語っておられましたが“健康とは、その人が幸せになること”を目指す医療のようです。最大多数の最大幸福ではなく、一人ひとりの人間の、その人なりの幸福を目指ともあります。

ネットの新聞記事に(2011年10月17日 読売新聞)、パッチ・アダムス医師の言葉が紹介されていました。(上記新聞より転載)

 健康とは、「病気でないこと」ではない。
 病気がなくても幸せでなければ健康ではないし、
 病気があっても幸せであれば健康だといえる。
 幸せになろうと努力すれば、
 誰でも健康になれるのである。
 以上を凝縮した1行が、
 Health is based on happiness.
 (健康は幸福の上に成り立つ)
 医療というのは、病気を治せないとしても、患者さんに幸せをもたらすべきものです。それが、本当の健康をもたらす本当の医療です。治せない病気に対して、医療のすべきことはまだまだたくさんあります。(以上)

浄土真宗で健康を定義すると「健康とは、阿弥陀さまの願いに意識が開かれること」となります。阿弥陀さまに出遇うと、病気を含めて私の人生のすべてが肯定していける価値観に開かれることだから、となります。

マーガレット・ニューマン「看護論」には、“健康とは意識の拡張である”とあります。意識の拡張という、人生観が質的に深まっていくことであり、より高いレベルへの意識の変容です。

また上記のテキストには「看護婦の責任は人々を健康な状態にしたり、彼らが病気になるのを防ぐことではなく、より高いレベルの意識へと移るために人々が自分の内部の力を認識できるように援助すること。(8)」ともあります。

浄土真宗僧侶の仕事も同様な一面があります。
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光 風のごとく

2012年11月29日 | 日記
拙著『光 風のごとく』より2編

後光

私(わたくし)の一生は
傷だらけであるが
この傷から
しみじみと手が合わさるような
後光がさしてくる

 [榎本栄一]『群生海』(難波別院刊)より。

 新聞に大学新入生の意識調査が出ていた。「若者とは、二十四・二歳までを言い、おじさんとは四十一・八歳から、おばさんとは四十・三歳からを言う」というものです。五十歳になった私から言えば、「おじさん、おばさん」の年齢は、違った評価がなされます。私という現実は、客観的な事実よりも「思う」「思える」「思ってしまう」というところで生活している。
その「思う」「思える」「思ってしまう」ことを唯一絶対なものとして追い求める。ここに心の闇がある。しかしその闇の苦しみや悲しみのただ中で、闇の深さが見えてくる。そこに仏さまの光が拝めます。


ひとしずくの涙をはらう手おのずから合掌となる教えはふかし

[井伊文子(いい ふみこ)]歌集『茶湯一会』(春秋社刊)より。

[一九一七~二〇〇四]歌人、随筆家。井伊直愛(元彦根市長)と結婚。佐々木信綱に師事し多くの作品を残す。著書『ひとすじの道』ほか。

作者は重病に悩みぬいた体験を「病気というマイナスの体験から、少しでも自分を成長させる生きがいを見出せる人間になりたい。病を病と甘受しながら、人間として病気から開放されて行きたいと努力した」と語っている。
この歌は、涙するときは涙を通してしか出会えないものに、悲しいときは悲しみを通してしか出会えないものに出会っていきなさいと語っているようです。
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あれ念仏は?

2012年11月28日 | 日記
9月から毎週水曜日は、京都の大学へ講義へ出講しています。今日で10回目ですが、半数以上は12時15分に講義を終えて、東京へ帰るためにタクシーで京都へ、12時33分の新幹線へ乗車しています。それは急いで帰えらなければならない理由があるからですが、今日も、そんな日でした。

京都へ行く日は、ウオーキングは休みです。朝起きて、少し仕事をし、朝のお勤めを終え6時過ぎに出発。京都の日帰りというと忙しいようですが、朝のウオーキングはないし、新幹線の車中は爆睡。京都へ行く日は、新幹線の中でフリーの時間があり、ゆっくりできます。

帰りの新幹線は、学生のから提出された感想を読み、後は寝ていて、いつもにない時間を過ごします。今日はお通夜があり、寺に帰り、少しの時間でしたが手紙を書き、速達の手紙なので、ポストへ投函。そして帰りぎわ、やれやれと車中、タップりと称名念仏しました。

ふとその時、あれ今日は、朝事で念仏して、今まで念仏をしたかなーと疑問符が浮かびました。無意識のうちに念仏をしていることはありますが、もしかしたら称名念仏のないままに、今日一日、過ごしていたかもしれません。そのような思いがご縁となって、私は忘れていても、阿弥陀さまはお忘れなでないと、小さな喜びが車の中に念仏と共に広がりました。

称名念仏するときも有り難いことですが、称名念仏していない時も、有り難いことになっているようです。
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生きることの援助

2012年11月27日 | 日記
今朝は強い風の中を歩きました。5時30分過ぎの医療のコーナーは、治らない病気と生きると言った内容でした。

がん疾患で治療できない人に対しては、治療ではなく、生きることの援助が、医師の役割だといったことを医師が語っていました。

この3、4日、朝から晩まで日程がつまっていて、かろうじて、ブログを書く時間を確保していましたが、今日は、パソコンに向かう時間がないので、お葬儀の合間に携帯電話で、このブログを書いています。

さて、思いつくままに、ラジオの生きることの援助と書きました。
そして葬儀でした。葬儀の最中、白骨のご文章を拝読していて、先程書いていました生きることの援助の言葉と重なりました。

ご文章には、ただ阿弥陀仏を頼むばかりなり、とあります。

そうです。浄土真宗にとって生きることの援助とは、どのような生き方であっても、無駄に終わらせないという、阿弥陀仏を告げる以上のものはない。そんな感慨をもちました。では、どのようなに告げるか。それが問題です。
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唯識を体験する

2012年11月26日 | 仏教とは?
本棚に岡野守也さんの『生きる自信の心理学―コスモ・セラピー入門』(PHP新書)があります。次々回に大学の講義で、体験型の布教法として紹介しようと思っていますが、ワーク(体験)を通して、意識の変容を体験するものです。上記の本には24のワークが紹介されています。著者は牧師ですが唯識や禅などに深い理解を持った心理学者です。

まずアマゾンの本の紹介は下記の通りです。

落ち込み、劣等感、虚しさ、不安―。現代人の多くは、他人や社会の評価に振り回され、ネガティブな感情に支配されている。そんな時代に、揺るぎない自信を確立する特効薬はあるのか?本書では、人間性心理学(アドラー心理学や論理療法)、トランスパーソナル心理学、さらに、現代宇宙論や進化論を手がかりに、生きる意欲と自信を深める理論とワークショップを紹介。“私”と“大地・宇宙”のつながり感覚の回復が、自信喪失=ニヒリズムを超える哲学だと唱える。数々の教育現場で効果実証済みの心理学講座。 (以上)

63項より転載 

ワーク⑨ 10円玉のワーク

まず10円王を用意しよう。それを親指と人差し指にはさみ、斤目をつぶって、開いているもう一方の目にぴったりとあててみよう。視界、つまり見える世界はどういうふうになっているだろう。もちろんほとんど何も見えないというか、真っ暗というか、そういう状態だろう。
 次に10円玉を目から五センチくらい離す。すると視界はどうなっただろう。暗い色の10円玉がまだ視界の大部分を占めてはいるが、まわにはほかの明るい色も少し見えている。
 さらに一五センチくらい、それから手をいっぱいに伸ばした位置に10円玉を離していってくだきたい。そしてそのたびに、視界、見えている世界がどう変わるかをよく感じるのである。はじめは視界いっぱいだった10円玉が、かなり小さく見えてきたこと、そしてまわりには10円王以外のものがたくさんあることがわかるはずである。
 それから、ワーグをしている場所の自分からいちばん遠いところに10円玉を置いて、もう一度見てみよう。10円玉はとても小さく見えることだろう。
 客観的にある10円が、見る位置によって、主観的には大きくも小さくも見えることを実感していただきたい。(以上)

これは悪いことや短所を近くで見ている日常生活の誤りや、今こだわっていることの主観的な修正の余地を教えています。こうした体験を通して意識の変容をなしとげていくワークです。

同じ見えている世界でも、全く違ったとらえ方ができる体験ですが、こんな具合に唯識の世界を人に伝えられたら、仏教がもっともっと現代によみがえることだと思います。
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