2日前のインクルーシブ教育の続きです。
インクルーシブ教育の本質は障害うんぬんじゃなく、一人一人,誰もが「違う」ことを前提とした教育で、障害のある子が困らないようにすることだけを考えるんじゃなく,「誰もが違うこと」を前提とした教育の在り方そのものを考えていく必要があるという。
本願寺派宗報2016.3月号に、文部科学大臣補佐官の鈴木寛氏が「教育の現状と今後―公教育における宗教知識教育についてー」の講演録が掲載されていました。示唆さしに富んだ内容でした。
その中で今後の大きな課題だと思った点は、次の論旨です。
今、日立にしても、パナソニックにしても従業員の半分は外国人です。今度はその人たちが上司にも部下にもなります。まさに、さまざまな宗教と文化、すべての大陸の人たちの一緒に仕事をしていく。そうした複雑多様な時代を生きていくことになります。
そうすると、何か起こるかというと、ジレンマ、衝突、取引が続出します。結局、私か申し上げているのは、さまざまな板挟みに会い続ける人生を、これからの子どもたらは歩んでいかざるを得ないということです。(以上)
21世紀を生きる力
フランス政府からは、2018年にはGlobal Competencyを加えてほしいという提案を受けました。まさに、異宗教・異文化・異民族がどうやって共生をしていくのかということです。21世紀を生きる大変大事な共生する力を、Global Competencyとして定義し、その測定方法を議論しようという提案です。議論を経て、34力国はじめ全世界に対してGlobal Competencyの重要さについて、メッセージを発してくれという提案が、フランスから来ていました。
今回、フランスーパリで同時多発テロが発生しました。このような状況の中、世界の人が共生する力(Global Competency)は、ますます重要になってくると思います。
私は、慶應大学助教授時代マサチューセッツエ科大学と共同研究を行っていました。そのときの研究テーマが「Collaborative Creative Artwork」です。
Collaborativeは作業を一緒にすることですが、違う文化や能力、才能を持った人だちか、チームを組んで試行錯誤しながら問題解決していくことをcollaborationといいます。Artworkは芸術のことだけではありません。人びとが一期一会でつくり上げていく価値、こうしたことを全部artworkと呼んでいます。教育はArtworkです。
この世に一人しか存在しない子どもに、そのときの最善の教育は何かを考える。そして、その最善の教育は、昨日と今日、明日では変わります。例えば2人で非行したときに、A君は叱るけど、B君はそっとしておこう。これが教育です。法律は、A君もB君も同じ非行をしたら同じ処罰を下しますが、教育は法律ではありませんから、まさにartworkです。 医療も介護もそうです。昨日と今日の病状は違いますし、心のありようも違います。まさに、この世に、一つしかないことにどう向き合えるか。それを最善のものにするためにそれぞれのTPOで合わせていく。(以上)
インクルーシブ教育の目指ざす本質は、これからの世界に教育の基本のようです。このインクルーシブ教育に実践的立場で浄土真宗のどう関わっていけるかが問題です。