一般社団法人 言の葉協会が主催している「言の葉大賞」という賞があります。
第7回「言の葉大賞®」言の葉大賞のオフィシャルサイトを覗いていました。その中から一遍転載します。
http://www.kotonoha-taisho.jp/about/
優秀賞高校生部門《家族の死》
父の日記
私立麗澤瑞浪高校3年 橋本 容行
父の闘病生活が始まったのは僕が小学二年生の時だった。癌だった。後になっての話だが、癌が発覚したころはすでに末期だったそうだ。一年間続いた父と癌の戦いは 父にとっても毋や僕、弟や妹にとっても過酷なものになった。母は、日中に仕事をしで四十分かかる病院へ通う日々を繰り返した。僕は学校から帰ってくると幼い弟と妹の面倒を見た。お見舞いにもいった。だんだん弱っていく父を見るのは辛かった。祈ることしかできなかった。
結局、僕が小学3年生の秋に父は死んでしまった。
父がいない生活は辛いことが多かった。父を恨んだことさえあった。今になって考えると愚かなこともたくさんして、だんだん僕はぐれていった。家族や親せきたくさん迷惑をかけていたようだ。
そんなある日、僕は父の本棚に残っていた数冊の日記を見付けた。何気無く開いたノートには懐かしい、父の丸文字が並んでいた。少し涙が流れた。そして夢中で父の過ごした日々をを追いかけた。癌が発覚してからのものもあった。検査をしたことや家族が見舞いに来たこととがが一行一行、丁寧に書かれていた。しかしあるページに差しかかって急に文字が乱れ、大きく書き殴るように書かれていた。そこには、「死にたくない。生きたい。このまま家族を残したまま死ねない。まだまだ生きたい」と書いてあった。猛烈に涙が出た。ただその涙は単に悲しかっただけではなく、自分の今の姿が情けなかったから出たのだった。堕落した今の自分が情けなかった。今この瞬間、自分が生きているのは父が生を日々なのだと思った。
高校生になった僕は最近、色々な人に父に似てきたと言われるようになった。精一杯に今を生きることが死んだ父への親孝行なのかなと思う。(以上)
いい話です。早速昨日、法話会で紹介しました。
第7回「言の葉大賞®」言の葉大賞のオフィシャルサイトを覗いていました。その中から一遍転載します。
http://www.kotonoha-taisho.jp/about/
優秀賞高校生部門《家族の死》
父の日記
私立麗澤瑞浪高校3年 橋本 容行
父の闘病生活が始まったのは僕が小学二年生の時だった。癌だった。後になっての話だが、癌が発覚したころはすでに末期だったそうだ。一年間続いた父と癌の戦いは 父にとっても毋や僕、弟や妹にとっても過酷なものになった。母は、日中に仕事をしで四十分かかる病院へ通う日々を繰り返した。僕は学校から帰ってくると幼い弟と妹の面倒を見た。お見舞いにもいった。だんだん弱っていく父を見るのは辛かった。祈ることしかできなかった。
結局、僕が小学3年生の秋に父は死んでしまった。
父がいない生活は辛いことが多かった。父を恨んだことさえあった。今になって考えると愚かなこともたくさんして、だんだん僕はぐれていった。家族や親せきたくさん迷惑をかけていたようだ。
そんなある日、僕は父の本棚に残っていた数冊の日記を見付けた。何気無く開いたノートには懐かしい、父の丸文字が並んでいた。少し涙が流れた。そして夢中で父の過ごした日々をを追いかけた。癌が発覚してからのものもあった。検査をしたことや家族が見舞いに来たこととがが一行一行、丁寧に書かれていた。しかしあるページに差しかかって急に文字が乱れ、大きく書き殴るように書かれていた。そこには、「死にたくない。生きたい。このまま家族を残したまま死ねない。まだまだ生きたい」と書いてあった。猛烈に涙が出た。ただその涙は単に悲しかっただけではなく、自分の今の姿が情けなかったから出たのだった。堕落した今の自分が情けなかった。今この瞬間、自分が生きているのは父が生を日々なのだと思った。
高校生になった僕は最近、色々な人に父に似てきたと言われるようになった。精一杯に今を生きることが死んだ父への親孝行なのかなと思う。(以上)
いい話です。早速昨日、法話会で紹介しました。