『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか? 結婚・出産が回避される本当の原因』 (光文社新書・ 2020/5/19・山田 昌弘著)は、かなり内容のある本であり、現代社会の有り様を考えさせられる本です。
新聞報道に「厚生労働省が5日発表した2019年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に生む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.36となり、前年から0.06ポイント下がった。」とありますが、この数は未婚女性を含めての出生率です。
2015年の合計特殊出生率は1.45ですが、2015年の夫婦ありの子どもの数1.94です。明らかに、出生率の低さは、未婚女性の多さが原因です。上記の本から、その当りを転載してみます。
結婚した夫婦の子ども数は減っているのか?
女性一人あたりが産むこともの数といえば、通常、夫婦が持つ子どもの数と思う人が多いかもしれないが、実際はそうではない。
日本では、結婚している女性は、2005年くらいまでは、だいたい平均2人以上産んでいた。これは、難しい分析をするまでもなく、『出生動向基本調査』(国逞社会保障・人口問題研究所)の数字を並べてみれば簡単に分かることである(資料7)。
つまり、全ての若者が結婚して、この前提(結婚したら平均2人産む)を当てはめれば、日本の合計特殊出生率は、2を上回っていたはずである。
しかし、日本では、未婚者はほとんど子どもを持たない(数値は後述する)。ゆえに、結婚しない人が増える、すなわち、未婚率が上昇すれば、日本の合計特殊出生率は下がる。
これは、誰が考えても簡単なロジックである。
つまり、保育所が不足していようが、育児休業がなかろうが、夫が家事・育児を手伝わなかろうが、2005年くらいまでは、既婚女性は平均2人、子どもを産み育ててきたのである。(つづく)