テレビのドキュメンタリーで、タクシードライバー歌人の高山邦夫さんを取り上げていました。
高山さんは、早稲田大学文学部を出たあと、製薬会社の営業をしていましたが、
ひとりになれる時間が欲しいとタクシードライバーになりました。
独り暮らしをしていましたが、六年前に実母が認知症になり
実家に帰り、母と二人で暮らしています。
母は要介護3で、邦夫さんが介護しなければ生活できません。
そのため、夜九時に寝付かせつけてから、夜10時頃から朝方まで仕事をして居ます。
途中で目覚めて、徘徊することもあり、ハラハラする日々です。
短歌を詠むことで、現実をありのまま、受け止められる気がします。
★満ちたりていても かなしい夕酒をのみつつ呆けた母の眼みつつ
★あとどれ程生きられるだろう穏やかな死に顔のやうに眠れる母は
★まっすぐに行って右への突き当たり 母には遠いトイレへの道
★笑い顔は昔の母にしてケイトウの赤い花を喜ぶ
★なにもすることはないけど母と居る夕べのテーブルわれはよく笑う
★ポンコツになってしまった母だけど 笑顔がぼくの心を救う
車窓から人々のセイカツヲ見て歌にして来た高山さんは、
全ての人々にも、色々な悲しみや悩みがあり、誰もが楽しく、
輝いて居る訳じゃない。
見えない生活があるのだと、歌います。
★一等星しか見えなくて輪郭のはっきりしない街なり 東京
生きるということは、大変だけれど、認知症のお母さんの面倒を献身的に見ながら、
「苦しいばかりじゃない。
母に助けられていることもある」と、話しておられました。
これからも、お体に気を付けて、素敵な歌を作ってください。
とても、励まされました。
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