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ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

密教と空海

2010-05-30 14:45:50 | 読書/新聞/映画など
ゾロアスター教、バラモン教と読みながら、空海の純密に到達すると、少し思想の流れが見えるようになってきました。

「密教には、二つの体系がある。精神原理を説く金剛頂経系の密教と、物質原理を説く大日経系のそれだ」

「密教は、釈迦が嫌悪した護摩をとりいれた。」「護摩は、インド古来の土着宗教であるバラモン教から系譜をひいているのであろう」
もちろん、それは、ゾロアスター教(拝火教)の系譜をひく。

「純密とは、仏教本来の目的である解脱をめざしつつも同時に雑密的現世利益をかなえさせるという、一見矛盾の両要素を統合している」

空海は、「禁欲についての自信をえたということではなく、禁欲という次元からはるかに飛翔し、欲望を絶対肯定する思想体系を、雑密を純化することによってかれながらに打ち樹てることができたときに、僧になってもいいと思ったにちがいない。」

「密教世界というのは、光線の当てられぐあいによってはそのまま性欲を思想化した世界でもあった」「男女の愛縛を菩薩の位であるとする理趣経をもって密教の主要経典ににした」「インドのブンデルカンドの嚝野にある廃都カジュラホの、そこに遺っているおびただしい数の愛の石造彫刻こそ愛縛という字義のすさまじさをものがたるであろう。」
そこに司馬遼太郎は、「なまなましさを感じる。」

「密教は、その密教仏においてみるかぎり、人間の富貴への願望を丸吞みするようにして大肯定するところに立っている。」

ヒンズー教やバラモン教の世界を感じます。

インドにおいて、仏教思想家たちが「本来低次元の宗教現象という意味で棒にも箸にもかからなかった土くさい雑密のたぐいのものを、あたかも化学変化させたように他のもの(純粋密教)に飛躍させてしまったそのかぎというのは、多分にこの華厳経にあった。」
華厳経に注目したい。

「おそらく人類がもった虚構のなかで。大日如来ほど思想的に完璧なものはほかにないだろう。」「大日如来は、無限なる宇宙のすべてであるとともに、宇宙に存在するすべてのものに内在していると説かれるのである。」

「大日経にはじめて接した空海のよろこびは、想像を絶するものがあったにちがいない。」
大日経を知りたい。

司馬遼太郎『空海の風景』