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世阿弥『風姿花伝』

2009-03-15 21:59:41 | 読書/新聞/映画など
世阿弥『風姿花伝』

能の極意を伝える一子相伝の書であり、今だからわれわれにもその秘伝を読む機会があります。花伝には序、第一から第七までと、途中に「奥義」があります。感動の書です。まちがいなく、極意書といっていい。

署名の由来は、「その風を得て、心より心に伝ふる花なれば、風姿花伝と名づく」とあります。なかには、こんなきびしい言葉も。「この条々、心ざしの芸人より外は、一見も許すべからず」と。

花伝第一は、「年来稽古条々」7歳からはじめて、年齢ごとの教育や学び方をのべています。この年齢の子どもには、「心のままにせさすべし。さのみに「よき」「悪しき」とは教ふべからず」24、5歳では、「稽古をいやましにすべし」34,5歳はきびしい分かれ目。「もし極めずば、40より能は下がるべし」

花伝第二は、「物学(ものまね)条々」女、老人、物狂、法師、修羅などの個別の演技論

花伝第三は、「問答条々」見物席をみれば当日の演能の成否がわかるというのはどういうことか、能に序破急をいかに設定するか、申楽の勝負の立ち合いにいかにのぞむか、・・・などなど。「得手得手」といって、「上手は下手の手本、下手は上手の手本」という言葉もでてきます。

花を伝える。「花は心、種は態(わざ)」「能を尽くし、工夫を極めて後、この花の失せぬ所をば知るべし。この物数を極むる心、すなはち花の種なるべし」

観客が面白いと見るところが能の花であるはずだ。「この面白しとみるは、花なるべし」「極め極めて、諸道ことごとく寿福延長(幸福を増進させる)ならんとなり。」「能を知る心にて、公案を尽くして見ば、花の種を知るべし」

花を知る。「申楽も、人の心にめづらしきと知るところ、すなはち面白き心なり。花と面白きとめづらしきと、これ三つは同じ心なり」

「花は、人の心にめづらしきが花なり」

「ただかへすがへす、初心を忘るべからず」(この有名な言葉は世阿弥のものです)

そして、
「秘する花を知る事、秘すれば花なり、秘せずば花なるべからずとなり。この分け目を知る事、肝要の花なり」

さらに、
「因果の花を知る事。極めなるべし。一切みな因果なり。」

結局、
「されば、この道を極め終わりてみれば、花とて別にはなきものなり。奥義をきわめて、よろづにめづらしき理を我と知るならでは、花はあるべからず」

「ただ、時に用ゆるを以て、花と知るべし」